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「もう、好きすぎてたまらんとよ…私…」


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記事:小堺ラム(ライティング・ラボ)

 

「今日もまた、来ちゃった……」

今週、何度通っただろうか。
行きたくて行きたくて仕方なくなる。
好きすぎる私の気持ちも、きっと見透かしているんでしょ?
照れくさすぎて、次に会ったとき、何て言ったらいいのだろうか。

こんなことを考えながら、私は西鉄電車のガラス窓に映る自分の顔を見つめていた。
これから逢えることを想像して、顔がほころんでいる。
昼間のお仕事モードの時とは、全然違う「女」な私の顔、してると思う。

職場のとっちらかった机の上の書類を、体裁だけ揃え、殆どうやむやにした状態でそそくさと退社し、最寄りの駅から西鉄電車に飛び乗って、私はあなたが居を構える天神今泉へと急いだ。

 

私、38歳。
女あまりの地方都市福岡に暮らす、独り身の女だ。
勤続ン十年働いている職場では、部下を15人抱え、責任ある仕事を任されていて、隣の席の男性部下が一家5人を食わせているよりも多いサラリーを、私自身のために好きなように使い、悠々自適に暮らしている。
15畳のリビングのある2LDKのマンションを手に入れ、週末はエステに行き、夜はセラーを抱えているフレンチレストランで友人とオーガニックワインを楽しみ、年に1度の海外旅行は欠かさない。
人が見たら、うらやましい生活かもしれない。
しかし、絶対的に何かが足りなかった。
でも、何が欠けているのか、自分にはわからなかった。

自分ではどうしようもできない慢性的な欠乏感に対する答えを、私は本に求めようとした。
ここ5年ほどは、自己啓発、恋愛本、ビジネス書、純文学、詩等、あらゆるジャンルの本を読み漁り、一向に埋まることがないこの感覚を、知識で埋めようとして必死になっていた。
大型書店やインターネット販売で、本を買い、むさぼり読んだ。
しかし、自分で選んだ本を読んだところで、答えは得られなかった。

ところが、この秋、私はその答えを知ることになった。
ある一つの出会いが、私がずっと探していた「足りなかったモノ」をもたらしてくれたのだった。

私に欠けていた「モノ」、それは、物質でも経験でもなかった。

それは、一つの感覚だった。

「好き」だという、素朴な感覚だった。
人として、ごく、まっとうな感覚だった。

西鉄電車が目的地の福岡天神駅に着く。
長い階段を軽快に駆け下りて、警固公演を通り抜け、あなたが居を構える今泉へと急ぐ。
お洒落なショップやカフェに混ざって、ラブホテルも建っているような、高い感度とカオスも入り混じるそんな包容力のある町を見守る公園の前にあるビルの2階に、あなたはいる。
今の時刻は午後7時。
ビルの2階を見上げると、電気が点いていた。
私は、もうすぐ会えると思うと嬉しくなって、ビルの1階から2階までの13段ある階段を一気に駆け上がった。

入口の開き戸を勢いよく開けると、コーヒーを立てる香りが私を包む。
一気に幸せな気分になった。
「今日もまた、来ちゃいました」
私は、先ほど西鉄電車の中で考えていたセリフを、レジカウンターの中で仕事をしていた嘉村店長に言った。
入口に設置してある本棚に、ランダムに並べられている、他の書店では素通りして出会うことがなかったであろう本を手に取ってページをめくる。
また、新しい世界と出会ってしまった。
これだから、この書店は素敵なのだ。
本と自分との出会いを、何故かドラマチックに演出してくれるのだ。

私はオーダーしたカフェラテを飲みながら、今泉公園が見渡せるコタツに入ってくつろいでいると、これから20分後に始まる「ライティングラボ」に参加する仲間たちがやってきた。
私も、仲間も、みんなこの書店「福岡天狼院」が大好きだ。

福岡天狼院は、この秋、福岡の今泉にオープンした書店なのだ。
ただ本を小売りするための書店ではなく、本をきっかけとして、今までに知らなかった世界や仲間とのつながりを提供してくれて、新しい自分が発見できる、そんな場所なのだ。
瞬く間に私はとりこになった。
好きだから、いつもここに来てしまう。
好きだから、好き過ぎて、行ってしまうのだ。
他に、理由なんていらなかった。

蔵書数が九州一!
ターミナル駅に併設していて便利!
そんなスペックだけでみたら、他の全国展開している大型書店には到底かなわないだろう。

だけど、だけど。

そんな条件なんて、どうでもいいの…。
私は、福岡天狼院が好きなの。

ここにいるだけで、毎日がワクワクしてるから!
一切の条件を抜きにして、ただもう、好きだから、行きたくなるの。

福岡天狼院は、私が長年探し求めていた、「好きという感覚」を、私に思い出させてくれた。
それは、一切の掛け値なしの感覚である。
楽しいから、面白いから、好きだから、ついつい行ってしまう。
あの本を買わなきゃとか、必要にかられて足を運ぶ書店ではない。
好き、面白い、楽しい、何か気になる。
だから、行っちゃうの。

 

もう、好き過ぎてたまらんとよ、福岡天狼院。
今週もまた、行くけんね。

 

***
この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。
ライティング・ラボのメンバーになり直近のイベントに参加していただくか、年間パスポートをお持ちであれば、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 
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