メディアグランプリ

素敵なおばあちゃんになるために迷路を攻略する 


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【12月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
 
記事:志希歩(ライティング・ゼミ 通信専用コース)
 
また迷った。完全に迷子だ。
どっちに向かえばいいのか分からない。
もっと若い頃は難なく進めたのに、ここ最近はどうも迷いやすい。
まっすぐ颯爽と歩く姿が理想なのに。
 
 
クローゼットの前でしばし考える。
う~ん、着るものがない。
いや、あるのだけどどれもぱっとしない。
そういえば暫く新しい服を買ってないな。
ああ、また迷路に迷い込んでしまった。
 
 
若い頃は、大してTPOも考えず、ただ好きな服を着ていればよかったので買物をするのが楽しくて仕方なかった。自分の好みのカジュアルスタイルを貫いても困らなかった。
しかし、だんだん歳を重ねると、それなりにきちんとした格好をしなければならない場面も多いし、今までのような服装が見た目にも似合わなくなってくる。
自分の好みと年齢とがかけ離れてしまった。
かといって、自分の好みや選ぶ服をいきなりアップデートできない。
 
 
たかが服装、だけどそれが自分に与える力は大きいと思う。
自分でイマイチだと思う服装をしているとなんとなく自信が持てなくて、ばったり知り合いに会いませんように、と思いながら背中を丸めて歩いている。そんなときはきっと冴えない顔をしている。
 
逆に自分が気にいっている服装をしていると自信たっぷりになれる。
仮にそれが傍から見てイマイチだったとしても、自分がよければ胸を張って堂々と道の真ん中を歩ける。顔つきだって生き生きしているはずだ。
 
 
自分に自信を持とうとただ思ったって持てるもんじゃない。
服装ひとつ変えるだけでそれが叶うなら簡単なことだ。
 
 
だけど私は迷路に迷い込んだ。
何を選んだらよいか分からない。
アップデートされていない私が服を選んでもそれは旧バージョン、つまりはぱっとしない自信の持てない服の範疇を越えないのだ。
 
 
 
そんなとき、たまたま目に入ったのが「パーソナルスタイリスト」という文字。
スタイリストって芸能人とかに付く人じゃないの?
ブログ記事だったが、読んでみると一般の人の服を選んだり、コーディネートのアドバイスをしてくれるようだ。
確かにビジネスとかお見合いとか、服装の第一印象が大切な場面ってたくさんあるよね、と思いながら色々検索してみると、パーソナルスタイリストの出番は、そういう一張羅を選ぶ場面だけではなかった。
普通の人が普段に着る服のアドバイスや買物の同行が主なのだ。
そんなことまでやるの? 服くらい自分で選べばいいじゃん。この人に払う料金で服1着買えるよ? 
そう思いながらも、私の迷路に一筋の光が差し、自分の住んでいる地域で「パーソナルスタイリスト」を検索していた。
 
 
スタイリストに、自分に似合う服と似合わない服の区別を教えてもらった。
似合わない服はそれを選んだ自分のセンスの問題だと思っていたが、それは単に理論上、私に似合わないだけだったのだ。
色にも同じように似合う色と似合わない色とがある。今や一般的に浸透している「パーソナルカラー」と言われるもので、服を選ぶ上でどうそれを駆使するか。これもセンスだけの問題ではなかった。
センスの一言で片づけてしまいがちなファッションの世界に理論があった。
こういう理論を頭で理解する以前に自然と使いこなしているのが、「センスがいい人」なんだろう。
 
 
こうやって服を選ぶ上でのマップを手に入れた。
いざ迷路から脱出だ。
マップ通りに行けば簡単に抜けられる、はずだった。
 
 
 
「この形のこの色の服が似合う」と言われてもドンピシャなものはない。似たような形、色でもちょっと違う。理論を知ると、微妙な違いで「似合う」からズレてしまうことも分かる。
せっかく手に入れたマップだ。間違いない方向に進みたい。
しかし、ごまんとある服の中から正しいアイテムに辿り着くことがなかなかできない。
 
マップを手に入れても実際の迷路上でのその使い方が分かってなかった。
 
 
そこでマップの使い方実践編、買物同行を利用してみた。
私の好みと似合うものをうまく取り入れて、ぱっぱと服を選ぶスタイリストさん。
着せ替え人形のように試着を繰り返す。
そうすると着た瞬間に「うわ、これすごく似合う」「これはダメだね」というのが一目瞭然だった。
シンプルなニット1枚ですら、ちょっとした形や丈で似合い度が全然違う。もちろん色も重要。
なぜ似合うか、似合わないかを試着しながら説明してもらい、お店の移動中も目に入るアイテムで「あれは絶対似合う」「あれはダメ」というのをレクチャーしてもらう。
 
 
よし、マップの使い方が分かってきた。
マップ通りに探し当てた服はもちろん自分に似合う上、スタイリストさんと一緒に選んだものには太鼓判が押されている。
なるほど、自分が迷子になっていたときには絶対に見つからなかったアイテムだ。
 
 
やっと迷路から抜け出せた。
新しいアイテムを手に入れ、自信を持って颯爽と歩き出す。
そうそう、このイメージ。
 
 
しかし、ふと気付けばまた迷路だった。
また迷い込んでいた。
 
 
どうやら次のアップデートの時期が来たようだ。
手元のアイテムも古くなってきた。
だけど、今の私には迷路を攻略するマップがあるし、使い方も知っている。
新しいアイテムを探してまた歩き出そう。
 
 
たかが服装、だけど自分に似合う服を着ている、というだけで内側から自信が湧いてくる。自信を持つと自然と背筋を伸ばして堂々と歩ける。そうするだけで、物の見方や生き方すら変わる気がする、と言ったら大袈裟だろうか。
 
 
次々と迷路を攻略していけば、とても素敵なおばあちゃんになれるかな。
 
 
***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

http://tenro-in.com/zemi/42175

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



2017-11-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事