リーディング・ハイ

現代に蘇る艦隊《リーディング・ハイ》


橋本さん かんこれ記事:住所不定☆ジョブズ

 

私は最近、読書をする時には付箋紙を持ち歩いている。それは、気になったところや印象に残った項目、文章、単語などに片っ端からマーキングとして貼るためだ。あとから読み返した時に、ポイントがすぐにわかるし、なぜ自分がそこにマーキングをしたのか客観的に考える手がかりとなる。

 

そんな中、読み終わったにも関わらず全く付箋紙が貼られていない本がある。それは、戦時中に活躍した戦艦の解説本である。そこには、「艦娘(かんむす)」たちの最後が書かれていた。

 

みなさんは、「艦隊これくしょん」をご存知だろうか。艦隊これくしょんは、web上で遊ぶブラウザゲームであり、プレイヤーは提督となって艦隊に指示を出し、敵を殲滅する事を目的としている。その指揮する艦隊は史実に出てくる軍艦をもとにしているが、ここで重要なのは全て「女の子に擬人化」されている事だ。可愛らしい娘から凛々しい娘、大人しい娘や元気な娘、お姉さま系から妹系まで、必ずお気に入りが見つかるはずだ。そんな事もあり爆発的なヒットとなり、アニメも制作された。さらにはゲームセンターにも進出し、「艦これアーケード」として現在稼働中である。あまりにも人気があり過ぎて、ゲームセンターによっては、ファミレスなどで混んでいる時に入口に設置される予約表を置いているところもある。

 

ゲームは艦娘を戦闘に参加させ、レベルを上げる事で改装も出来る事から育成要素もあり、ますます愛着が湧く仕組みだ。戦闘シミュレーションとしての面白さも重要だが、やはり「艦娘」あっての艦隊これくしょんといえる。擬人化しているという事で、彼女たちにはキャラクター設定があるが、実はモデルになった軍艦の性能やエピソードが元になっている。

 

例えば、巫女さんみたいな格好をしている人気キャラクターの「金剛さん」は、たどたどしい怪しい日本語を使うが、生まれがイギリスという事でそういう設定になっている。金剛型は全部で4隻建造されているが、金剛さん以外の残り3隻は純日本製である。技術的に劣る当時の日本軍は、先行している列強国に軍艦を注文し、出来上がった船を徹底的に研究する事で追いつこうとした。そして出来上がったのが残りの三姉妹というわけである。そのため、妹たちは長女のように怪しい日本語ではなく、きちんと話す事が出来る。

 

また、スペック的には同等であるにも関わらず、運のパラメーターが大きく違っている娘もいる。その代表格は「長門さん」と「陸奥さん」だ。軍艦に詳しくない方は知らないかもしれないが、「大和さん」が誕生するまでは彼女たちが日本軍最大口径の主砲を持っていた。日本軍の象徴、誇りといってもよいかもしれない。そんな彼女たちだが、陸奥さんの「運」の数値が異常に低い。それは、原因不明の爆発が起きて沈没してしまったからに他ならない。爆発の原因は、現在も不明である。

 

そんなエピソードを踏まえながらキャラクター設定を行っているので、その理由が丸わかりになるのが本書というわけだ。だか、そんな事くらいで付箋紙を貼らないという理由にはならない。冒頭にも書いたが、彼女たちの最後がここに記されている。確かに書かれている事は史実の「軍艦」の事なのだが、艦隊これくしょんのせいで彼女たちの姿を思い浮かべてしまい、「沈没」ではなく「戦死」と捉えてしまうのだ。本の中でも「彼女」と表記されているので、この感覚はあながち間違ってはいないようだ。まるで、終戦まで生きる事が出来なかった少女の日記を読んでいるようであった。もっと言えば、終戦を迎えてもまだ役目を終える事ができず、核爆弾の実験台になった娘もいる。そんな事からひどく感情移入してしまい、ひとつひとつのエピソードが心に突き刺さり、読んでいる時は「ここがポイント」などという余裕は全くなかった。要するに、全部がポイントということだ。

 

私は戦争は嫌いだ。そんな事もあって、軍艦に興味はなかった。だが、「艦隊これくしょん」を知った事から興味を持ち、彼女たちの末路を知る事となった。現代に生きる日本人として、彼女たちの活躍と挫折を知っていても良いのではないだろうか。

 
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2016-06-13 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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