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プロフェッショナル・ゼミ

ありがとう、私の中のお福。《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:田中望美(ライティング・プロフェッショナル)

大学4年生の今日この頃。
わたしは、珍しく風邪をこじらせました。それもそのはず、圧倒的に睡眠が足りていなかったからです。眠らないと死んでしまう種族の私は、数日間の間でも3,4時間睡眠になると、すーぐバタンキュウしてしまうのでした。規則正しい生活をすれば、最強なのですが。

風邪で身体がだるい中、わたしは初めて家事が好きになりました。大学4年間、親元を離れ、一度も家事が好きだなんて思ったことがなかったのに、このおかしなタイミングで、家事っていいかも、と思うようになったのです。それはなぜか。

それはわたしが「逃げた」からだと思います。

そもそも、わたしが睡眠不足のために風邪をこじらせた原因は一つ。劇団天狼院~咲~という、演劇は素人で書くことが大好きというだけのいろんな人が集まった劇団の練習が早朝から、夜遅くまで行なわれていたからです。ほぼ全員が素人だというのに、演劇を一からするなんて、異常すぎるにもほどがあります。ただでさえ時間が限られる中、無理をしない、なんてことができる余裕すらありませんでした。そんな生活が続けば、身体を壊すことなんて当たり前です。壊さないほうがおかしい。案の定わたしは体調を崩しました。家事も溜まっていました。家事と言っても一人暮らしの私がすることは食器を洗うことと洗濯をすることが主なもので、たまに部屋の掃除をするくらいです。なんてことはないのですが、やっぱりめんどくさい。忙しいときなんて溜まっている洗濯物や食器を見るだけでイライラしてしまいます。でも、その日は全くそんなことありませんでした。

その日は、劇団の練習が始まるまで、少し時間がありました。わたしはその時間を使って食器洗いと洗濯をしようと考えました。いつもなら、劇団が始まる前のその時間さえセリフを覚えたり、録音した音声を聞いたり、と個人練習の時間に使っていました。でも、その時ばかりはなんだか今日はいいや、と思ったのです。家事もしないといけないし、と。

私は洗濯機から溜まりに溜まった洋服をかごに詰め込み、ベランダに出ました。少し熱っぽいわたしの体にひやっとした風があたります。でも、空は雲一つないほどのきれいな青で、快晴でした。

はあああああ。きれいだなー。気持ちいいなー。

深いため息が出ると同時に、肩の力がすっと抜けていくのを感じました。わたしは無心で自分の服を干してゆきます。何も考えず、頭を空っぽにして、です。ただただ茫然と手を動かしました。半分くらい洗濯物を干した後、わたしは携帯で好きな音楽をかけました。音楽を聴きながら洗濯物を干すと、なぜだかとても前向きな気持ちになっていきます。私の頭の中がどんどん整理されていく感覚に襲われました。そして、ふと思いました。

家事っていいな。いや、別に家事でなくてもよかったのかもしれません。自分を見つめなおす時間を持てる行動であれば、何でもいいのです。だけど、わたしの場合、家事だった。無心で家事をしていると、良い気分転換になり、リラックスすることができたのです。最近はずっと、劇団の練習で気をはり続けていたな、それがプレッシャーとストレスになっていたんだな。そうやって自分をいたわるきっかけにもなりました。

そしてそれは、わたしが一時的に劇団の練習から「逃げた」から気づけたことなのです。いつものように個人練習をしていたら、気がつかなかっただろうし、リラックスすることも、気をとりなおして前向きな気持ちになることもなかったでしょう。

家事だって、忙しい日々の気晴らしになり得るんだ。そう思いました。これが、わたしが大学4年生にもなって家事を好きになれた理由です。

さらに、洗濯物を干し終えると、わたしは食器を洗い始めました。

わたしは「逃げる」というワードに敏感になっていました。なぜなら、劇団天狼院~咲~で演じられる「青空どろぼう」の一大テーマが「逃げる」ということだからです。そして私が演じる「福」はそのテーマのキーパーソンで、「逃げてもいいとよ」というのです。そんな演劇をやっていたために、最近話題になっているガッキー主演の「逃げるは恥だが役に立つ」にも興味津々でした。

なんか最近、私の身の回り、「逃げる」で溢れてるぞ? 「逃げる」を引き寄せてんのかなー? わたし。とも思っていました(笑)
何はともあれ、谷口あいこさん脚本の「青空どろぼう」に、「逃げる」ということを考えさせられるきっかけを与えてもらっていたので、わたしは食べカスがカピカピに乾いたし食器を洗いながら、そのことについて考えていました。

そういえば、わたしは今、記事を書いたり、ダンスをしたり、演劇にだって挑戦している。卒業論文にも取り組んでいる。この演劇の練習がきつくて嫌だ~と思っていると、無性に踊りたくなって、ダンスの練習に通っていた。そうかと思えば、ダンスで体がくたくたになったときには、無性に記事を書きたくなって、ダンスそっちのけで記事を書いた。そうかと思えば、本を読みたくなって、卒論に関する本を読んでいた。

劇団が直前に迫っているにもかかわらず、学祭にだって行きました。罪の意識はありましたが、わたしはそれが決して悪いことではないと思うようになっていました。身体を動かして、別の場所で心を動かすことは、決して無駄な逃げではないと思ったからです。

最近そんな生活をしていたことに、改めて気づいたのです。人はずーーーーっと同じことをすると、どんなにそれが好きで、大事なことであっても疲れてきます。嫌になってしまうこともあるもんです。それがやらなければならないことであれば、なおさらです。そんな時に、人は「逃げること」が必要なんじゃないか。わたしが劇団の練習から逃げて、家事で気晴らしをしたように、毎日のダンスの練習に疲れ、記事を書くことでまた頑張ろうと思えたように、人には「逃げること」が大切なことなんではないか、と。要は、その逃げた後、何をするのか、どうするのかが重要で、わたしはいつだって思いのままに逃げてしまっていたけど、結果的にはそれは全て自分のためになる逃げ、だったように思えてならないのです。

追い詰められた時にこそ、その逃げ場が私の背中を温かくさすってくれて、ポンッと押してくれるんだ。

わたしは食器を洗い終えると、体のだるさも少しだけよくなって、演劇の練習にも明るく取り組む姿勢ができていました。

まあ、それでも劇団の練習は大変でした。楽しかったけど、いろんな想いを抱いた時間でした。今までにあまり感じたことのないような感情も生まれました。

わたしはよく、まっすぐな文章を書くねと言われます。それは本当にうれしくて、ありがたいことでもあるのですが、やっぱり人ってそんないっつも真っ直ぐってことはないわけで。わたしが劇団で抱いた思いは、全然真っ直ぐではなかったな~と思うのです。

それは、本番の前日のことでした。前日ということもあり、心なしか、空気がピリピリとしていました。それは別に悪いことではなく、良いことでもあるのですが、わたしは寝不足と疲れから、少しイライラしていたように思います。でもそんな自分がばれるのは嫌で、少しヘラっとしたり、無理に明るく振舞っていたような気がします。あ、自分てちょっと変なプライドを持っているんだな、と思いました。最終リハーサルを終え、わたしはいろんな人からダメ出しをもらいます。もちろんみんながいろんな課題を抱えていました。だけどわたしは、こんな直前までたくさんダメ出しをされることに腹が立ったのです。でもそれは、ダメ出しをしてくれる人に対してだけでなく、自分に対しても、でした。

今更そんなにたくさんのダメ出しをしたところで、やろ。もっと今できているところを伸ばすことで、明日へのモチベーションにつなげたほうがよくない? そう思わんとやか?

こうしたほうがいいっていうけど、わたしのイメージはそうじゃないし。その人が絶対っていうことでもないやろ。

ブラックハートはいろんなところで現れたのですが、どれも私の口から出ていくことはありませんでした。

それは、こうも思っていたからです。
演劇を成功させるために、お客さんに楽しんでもらうために客観的にアドバイスをしてくださのに、それをできないという自分が嫌だ。できないと言って甘えていると思われるのが嫌だ。自分の思いを口にすることで、嫌われたり、否定されたり、変な空気になることに脅えていたのです。実際には、そういうことになったかはわかりませんが。

それに、他の人が褒められているのに、わたしにはそれがないという時も、何でもないふりをしていましたが、内心ムッとしました。逆に、わたしが褒められてほかの人がそう出ない時は、表には出さなくとも、優越感に浸っていました。

そんなとき、ああ、わたしって全然真っ直ぐじゃない。全然ひん曲がった考え方も持ってる。弱い自分もいる。自分のことも周りのことも嫌になることだってあるし、やるせない気持ちになることだってある。悔しさからうらやむ気持ちもかなりある。そしてそれを表に表すことのできない弱い自分にくそったれ、と思う。

私自身、いろんなものから逃げていたのだろうと思います。

でも。

わたしが今日演じた福という女の子は、私の中のその女の子は、わたしに本当の意味での「逃げる」ということを教ええてくれました。その「逃げる」というのは、自分が本当は向き合いたいものと向き合うための逃げ道であって、むしろ逃げてなくて、逃げるという言葉の中には必ず、「立ち向かう」という意味が含まれているのだと思います。

スポーツ選手だってそうです。スケート選手の真央ちゃんだって、一度スケートから逃げました。プロゴルファーの石川遼だってスランプ時はテニスをし、堂々とゴルフから逃げたのです。それでもまた、自分が本当に向き合いたいものに戻ることができている。それはやっぱり、その逃げるという行為が無駄ではないことの強い証拠です。

今日、劇団天狼院~咲~の初日の舞台が終わりました。私の演じたお福は精一杯そのことを私に教えてくれました。私の中のお福は、この劇団を通してずっと一緒にいて、逃げることの大切さを、身をもって私に教えくれたのです。

わたしが、来週が劇団天狼院~咲~の千秋楽であるにもかかわらず、一回目の公演終わりにこんな締めっぽい記事を書いているのにはわけがあります。

わたしは来週の千秋楽も、その後の劇団天狼院~FUKUOKA~のほうの劇団も、いい塩梅で逃げて、自分の心をコントロールしながらやっていくだろうから、そうやって乗り越えていくだろうから、今、ここ数週間に感じたことを書いたのです。

こうやって記事を書くということも私にとっては、これから超えていかなければならないであろう壁に立ち向かっていくための逃げなのですから。

***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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