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【オカマが説く】風俗嬢なんてやめなさい! 〜28歳普通のOLが泡姫になった理由とは?!〜《プロフェッショナル・ゼミ》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:市岡弥恵(プロフェッショナル・ゼミ)

「いい加減にしなさい! 泣き言なんか聞きたくないわよ!」

あぁ、出た出た、いつもの毒舌。
私は、カウンターの隅に座っている女性を見た。オカマバーに女1人で来るぐらいだから、「夜の女」を想像するだろう。
しかし、意外にも彼女は「普通」だった。派手な訳ではないし、どちらかというと真面目そうな女性だった。ゴテゴテのブランド物を持っているわけでもなく、清楚な女性という印象だ。まだ20代だろうと思われるそんな彼女が、怪しげなオカマバーにお一人様で?

「あんたねぇ、昼間まともに会社勤めしてるじゃない。十分立派にやってるじゃない。それなのに風俗からは足洗えないって? そんなことなら、もう私に相談してくるんじゃないわよ!」

ママは、相変わらず毒舌を吐き続ける。いや、毒舌ではないかもしれない。ママは、周りが心の中で思っている事を、素直に目の前の女性に言っているだけだ。

このオカマバーのママ。
私に対しては貧乳だとストレートに言ってくる女だ。でも豊胸手術はやめとけという。だって、私はどう見たって孤独死するタイプで、死んだ後、誰にも気づいてもらえないから。そうそう、そのまま腐乱死体になって、シリコンパットが死体の横に転がっているのが目に見えるから、豊胸手術なんてやめとけと言われた。
そんな事を、ドストレートに言ってくる女だ。あぁ、一応言っておくと、ママは生物学的には男だ。ついでに、下の工事はまだ終わってないらしい。

これだけ毒を吐くのに、彼女のバーには男だけではなく、こうして女が一人でやってくる。えっ、私もその一人かって? いやいや、私は特に悩んでいる訳でもなく、たまにママの毒舌が恋しくなるだけだ。このバーは、いつもなぜか悩める女性が迷い込んで来る。そしてこの日の晩も、私はそんな悩める一人の女性と出会う事になった。

「ちょっとあんた! なーにそんな何食わぬ顔して聞き耳立ててんのよ!」
「えっ?! わたくしですか?! いえいえ、そんな聞き耳を立てるだなんて、そんなことしてないですよ!」

ママが突然私に話しかけてきたのに驚いたが、実のところ、私も話に混じりたかったので、変な口調で答えながらカウンターの女性の隣まで移動した。

「あんたその顔ムカつくわー! 話に入りたいんなら、素直にそう言いなさいよ!」
「えへへっ! ママありがと!」
もちろん、「ありがと」の後には特大のハートマークが付いている。

この日、ママに悩みを打ち明けていたのはカオリさんという28歳の女性だった。もちろん、仮名。彼女は、新卒で就職した会社に5年間勤めている。お給料は高くはないが、それなりに女性の平均年収ぐらいの稼ぎはある。しかし、彼女は仕事が終わると風俗店で働いているらしいのだ。

「ねぇねぇ、キャバクラじゃなくて、風俗なの?」
私は、素朴な疑問を投げかけた。

「はい、私話すのそんなに得意じゃないし、お酒の場も好きじゃないですし……」
そう答える彼女は、全くもって風俗嬢のイメージとはかけ離れていた。言葉遣いも丁寧だし、控えめに私に受け答えしてくれる彼女は、まさに真面目なOLそのものだった。

「風俗って、えーっと、ソープなの?」
「はい……」
風俗には何種類かある。
中でも、ソープは所謂「本番」までできるヤツだ。

「えー?! そうなんだ! どした?! 何が起こった!」
「あぁもう、あんたうるさいわね! まぁ、簡単に言うとあれよ。その前に付き合ってた男が浮気してたらしいのよ。それで、カオリはなぜか風俗で働くようになったのよ。そしたら、まぁギャル系よりもこういう清楚系が売れるのよねー」
「えー! ちょっとママ待って! 端折りすぎ! つーか、そうなの?! ギャル系じゃなくて清楚系?!」

「はい、なんか浮気されてたの知ったら私鬱々しちゃって……。それで、ある日街でチャラいお兄さんに声かけられちゃったんです。それで……その……」
「泡姫になったのね?!」
「えぇ、泡姫に……」

カオリさんには、大学生の頃から付き合っていた男性が居たらしい。根が真面目なカオリさんは、もちろんその男性とお付き合いを続けて、彼との結婚を夢見ていたそうだ。就職した会社も腰かけ程度にしか考えていなかった。彼は東京の会社に就職し、大学を卒業してからは遠距離恋愛を続けた。うーん、その流れ……その先が目に見えるようだ……。

「でも、なんかカオリさんの彼氏って、いかにも良い人そうなイメージをわたくし勝手に持っておりますが……」
「あんたねー、そんなだから悪い男にしか引っかからないのよ。男ってのはね、そういう生き物よ。性の捌け口は必要だわ」
「ママ……頼むから、まだ結婚に淡い夢を持っている私に、現実を突きつけないでくれるかな……」
「あんたが、そんな期待持ってたところで、これは動物としての本能よ。遠くにいる彼女の事は想っている。しかし、近くに自分の好みの女が現れれば、そりゃ狩りに行くわ」
「あら、カオリさんの元彼は肉食系?」

「うーん、草食系ではないですね……。まぁ普通です。でもショックで……」
カオリさんってやっぱり、めちゃくちゃ普通の女子だ。

「なんで浮気してるって分かったの?」
「3ヶ月ぶりに会った時……その……なんでしょう……彼のセックスの仕方が変わってて……」

「あぁ……」
ママも私も、声を揃えて「分かる……」という顔をカオリさんに投げかけた。

ママ:セブンスターに火を付ける
私:遠い顔(しかできない……)
なぜか、劇の台本風な言葉が私の中で自動再生される。そうそう、それ私も経験したことある。

「えっ……そこフォローしてくれないんですか?! やっぱりこれって浮気されてましたかね?!」
カオリさんは、泣きそうな顔で聞いてきた。

「当たり前よ。浮気よ浮気。風俗行ってたらセックスの仕方は変わらないわよ。あんたが一番分かってるでしょ? 風俗に行ったら男はなされるままなんだから」
「ママ……。そんなストレートに言わなくても……」
私は、相変わらずオブラートに包まないママの言葉に、さすがにカオリさんが可哀想になる。

「気休めでフォローしてもダメよ。現実は現実で受け止めた方が生きやすいわ」
「おぉ、オカマ名言……でもさ、カオリさん。それで、なんで風俗始めたの? お金に困ってたわけでもないんでしょ?」

「それが……花開いたというか……」
「花開いた?! えっと……もっと詳しく聞いてもいいのかしら……」
「その、なんか私すごく指名もらえるようになっちゃって……」

そう、私は勘違いをしていたのだ。
どうも、夜の世界って、グリングリンの巻き髪ヘアにアイラインで目の周りが真っ黒で、露出の高いドレスを着た女性がNo. 1になっているイメージだった。しかし、ママが言うように風俗の世界は違うらしい。高飛車な傲慢チキなギャル系の女性よりも、カオリさんのような清楚系が指名されるそうなのだ。

「それで、人気が出てくると、お店の人もちやほやしてくれるし、私が嫌なお客さんは断れるようになるんです。だから、今は私も気持ち良くお仕事やれていて……」
「なるほど。んで、この仕事嫌いじゃないんだ?」
「そうなんです……むしろ、天職ぐらいに思えてくるんです」

カオリさんは、彼に浮気をされたことで、実は自分を責めていたらしい。やはり根が真面目なカオリさんは、彼氏に怒るどころか、男が浮気をするのは女がつまらないからだ、と思っていたそうだ。
浮気されてもなお、彼氏のことが好きだったカオリさんは、自分から別れることもできなかった。むしろ、彼が居なくなってしまうことの方が、カオリさんには辛かったのだ。しかし、そんなカオリさんの気持ちは届かず、彼はカオリさんに別れを告げた。
カオリさんは、食事が喉を通らなくなり、1ヶ月で10キロも痩せてしまった。もう死んでしまおうかと思う程だったらしい。会社にはなんとか通ったが、夜眠れない。朝方3時・4時になってやっと眠くなる。しかし、翌朝は7時に起きて会社に行かなければならない。家で一人でご飯を食べていると、なぜか涙が出てきてしまう。そんな状態にまでなっていた。

そんなある日、カオリさんは街で風俗のスカウトに声を掛けられる。根が真面目なカオリさんは、スカウトに声を掛けられても、どうもまともに話を聞いてしまうらしい……。
そして、精神状態があまり良くなかったカオリさんは、そのまま「どうにでもなれ」という気持ちで風俗の世界に入ったのだった。

しかし、カオリさんにとっては、これが転機になった。堕ちるではなく、彼女にとってはむしろ、自分の存在価値を見つける場所となったのだ。彼女にとっては、「指名」という名の「愛」だった。自分が悪いから浮気をされたと思っていたのに、ここではカオリさんは男に求められる。彼女はここで、自分への自信を取り戻したのだ。

「んじゃ、別に今は悩んでないんだ? ママなんでそんな怒ってんの?」
私は、他のオカマさんにポテチを頼みながらそう聞いた。このオカマさん、オジさんにしか見えないのだが、今日はフリフリのメルヘンな服を着ている。

「あんた、ほんと相変わらずバカね。バカな女ってほんとムカつく。今さえ良ければいいって話じゃないのよ」
「バカって……」
私は、相変わらずバカバカ言われるが、まぁなんかもうお決まりのやり取りだから、軽く流すことにする。

「あんたね、ソープは体力仕事なのよ。見なさいよこのガサガサの腕」

確かに……。私より若いのに、カオリさんの腕はサメ肌だった。

「一日で4人も5人も相手するんだから。その度にローション塗って、シャワー浴びて。こんな仕事いつまでも続けられないわよ」
「カオリさん……。それは、結構なダメージだね……」
「そうなんです……。結構体力的にはしんどいんです……。だからママにはやめろって前から言われてて……」
「それなのに、この女、全然やめないのよ! そのくせ、体がキツイとか泣き言言ってくるから腹立つわ!」

「だって、私これやめちゃうと、また自信無くしちゃいそうで……」

私は、なんとなく彼女の気持ちが分かる気がした。
私たちは、誰かに認めてもらわないと自分のことを肯定できない。会社では「仕事ができる」と言われたいし、男からは「かわいい」と言われたい。会社にはお前が必要だと言われたいし、男からもお前じゃなきゃダメだと言われたい。一人で歩くって実はすごく難しい。一人で生きているつもりでも、ただ強がっているだけの場合もあるんじゃないか? 誰かに認めてもらう為に、がむしゃらに働いて、そうやってがむしゃらになれている自分がカッコイイと思えてくる。しかし本当は、自分に自信がないから、他に出来る人を見ると嫉妬の塊と化す。自分で自分の事を認めてあげられないから、常に誰かに褒めていて欲しい。いつも誰かに必要とされていたい。
カオリさんの場合は、女としての自信がなかっただけだ。ただ、一度浮気された経験で、彼女は自分の女としてのプライドも全て傷つけられてしまったんだ。そして、そのプライドや自信を、まだ取り戻せていないだけだ。

「ママは、自分のこと好き?」
私はポツリとママに聞いてみた。

「好きよ。好きじゃないとオカマなんてやってられないわよ」
「だよね……。でも、不安になることない? 私愛されてるかって」
「あるわよ。むしろそっちの方が多いわ。大変なんだから、同性愛者見つけるの」
「ママでもそうなんだ……」
「でもね、私思うわけ。私のこと裏切るような男はいらないわ。でもね、私が彼の事を本気で愛しているなら、それでいいとも思うわけ。私なんか、愛されたいと思ってもなかなか男から愛してもらえることが少ないのよ。だったら、私が彼を愛してる。それでいいじゃない」

私もカオリさんも、何も言えなくなってしまった。

「私が彼を愛してる。それでいいじゃない」
想定50歳を超えているらしいママ。彼女は、これまでどんな気持ちで女として生きてきたんだろう。男から愛されたいのに、愛されない。男を愛したいのに、それが許されることの方が少ない。
でも、ママにとっては揺るぎない真実があった。

「私が、彼を愛してる」

ママはこうやって生きてきたんだ。
「愛されてる」じゃなくて、「愛してる」。
私の恋の悩みなんて、なんてワガママな悩みだったんだろうと思う。どうして愛してくれないの、どうしてそんな仕打ちを私にするの。どうして、どうして、どうして。そんな事ばかり思ってきた気がする。私は本気でママみたいに言えただろうか。

「私が、あなたを愛してる」

本気で私はこう言えただろうか……。

カオリさんは、その後2ヶ月ぐらいして店を辞めたらしい。もちろん、カオリさんは未だに不安を抱えている。男に愛してもらえるかどうか。でも、彼女はママにこう言っていたらしい。

「私、前の彼氏の事は、ただの執着だったんだと思う。浮気されて、私が悪いと思ってた。でもそれって、彼の事を愛してたからそう思ったんじゃないの。元々自分に自信がなかっただけ。だから、やっぱり私ダメなんだって思ったの。もちろん、自分に自信が持てるようになることも大事だと思う。でもね、なんかママの話聞いたら、誰かのこと愛したいって思った!」

彼女は、それを最後にママのバーには来ていないらしい。

「あんたも、カオリぐらい素直になりなさいよ!」
「うるさいなー。私今そんなに悩んでないもん」
「あんた、顔枯れてるわよ」
そう言って、ママはニヤニヤと私を見てきた。

くっそ、この女……。いつか、殴ってやる……。

恋に悩めば、オカマバーに行ってみるのもありかもしれない。真実の愛ってのも分かるかもしれない。
ただし、オカマは女に厳しいけどね。
***
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
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