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リーディング・ハイ

新生活に戸惑う新社会人こそ、東京天狼院店長の三浦さんが選ぶこのフルスロットル本だけは読んだ方がいいかもしれない《リーディング・ハイ》


記事:kiku(リーディング・ライティング講座)

 

 

「何でお前はこんなにも仕事ができないんだ!」

私は上司にそう怒られていた。

 

「すいません、すいません」

私はただ謝るしかなかった。

連日続く徹夜で頭がマヒしていて、上司の怒鳴り声が頭に入らないくらい私はノイローゼになっていたと思う。

 

人間は生命を維持するのに、最低限1日に3時間以上寝ないと体が持たないものだ。

当時、私は1日平均睡眠時間30分の中、死に物狂いで働いていた。

同期は次々と辞めていった。

辞めていけばいくほど、残った社員に仕事が蓄積されていき、辞めづらくなるという悪循環に陥っていた。

 

私は完全にノイローゼだった。

こんなはずじゃなかった。そう思えて仕方がなかった。

よく考えれば、自分で選んだ道のりだ。

テレビ制作会社と言ったら過酷な労働環境で有名なはずだった。

普通のサラリーマンよりかは楽だろうと思い、入社したが、

現実はこんなにも厳しいものかと驚いた。

 

めまいがするほど死にものぐるい働き、一ヶ月に一度、奇跡的にあった休みを利用して、私は中学時代の友人に会いに行くことにした。

友人は私の死にそうな顔を見て驚いたという。

 

「体調悪そうだけど大丈夫か?」

 

当時、私は度重なるストレスで精神的に病んでいたためか、約2ヶ月で8キロも体重が減っていた。

常にふらふらしていて、どう見ても精神的におかしくなっていると彼は思ったみたいだった。

 

私は現在の置かれている状況と体調を友人に相談していった。

友人は真剣な眼差しで聞いてくれた。

 

「そんな会社いますぐに辞めたほうがいい」

彼はそう言っていた。

「三年は続けたほうがいいってみんな言うけど、好きでもないことに3年も時間を費やすのはもったいない。今すぐ転職したほうがいい」

 

私はめまいでふらふらしながらも彼の真剣なアドバイスを聞いていたと思う。

3年は続けたほうがいいのはわかっている。

だけど、私はもう限界だった。

このままではさすがに死ぬと思ったのだ。

 

私は結局、退職届を出すことにした。

上司の反応は呆気なかった。

 

そんなあっさりと終わるものなんだなと私は思った。

会社の同僚や先輩は私に声をかけてきてくれた。

「もうちょっと頑張れよ」

「残された俺たちはどうなるんだ」

 

私は申し訳ない気持ちが芽生えていた。

 

 

 

退職前、先輩ディレクターとタクシーが一緒になる時があった。

そのディレクターは鬼のような人で、私は毎日怒鳴られてばかりだった。

会社中でもめちゃくちゃ怖い人で有名だった。

 

あ、この人と一緒にタクシーに乗るのか……

やだな。

 

私はそう思いながら先輩ディレクターと一緒にタクシーに乗ることにした。

ま、これで会うのも最後だし、局から会社までの30分間耐えればいいんだな。

そう思い、私は黙ってタクシーに乗ることにした。

 

車内では重い沈黙が流れていた。

私はひたすら時が過ぎるのを待っていたと思う。

 

先輩ディレクターは重い沈黙を破るように口を開けた。

 

「お前はちょっとテレビの世界に入るのが早すぎたんだな。若い時はいろんな経験をしたほうがいい。俺は20代、ずっとフラフラしていた。テレビ業界に入ったのも30歳過ぎだった」

 

私は驚いた。

先輩ディレクターは明らか20代前半からバリバリ業界内で活躍してきたような風貌をしていたので、テレビの世界に入ったのが30歳だと聞いて本当に驚いたのだ。

 

「若い時は本当にフラフラしていた。寄り道ばっかりしていたな。

それで、遠回りして結局テレビの世界にたどり着いたんだ」

 

タクシーの中で聞いたところによると、その先輩ディレクターは20代前半はとび職をしていたらしく、金を貯めて、アメリカに渡り、そこで世界を動かしていくマスコミの世界に魅了されたという。

 

「ずっとフラフラしていたけど、30歳でようやく今の業界にたどり着けた。人よりも寄り道ばかりしていたけど、寄り道は自分の財産になっている。お前ももっと寄り道すればいい」

 

先輩ディレクターはそう言ってくれた。

いつも怒鳴ってばかりだった上司だったが、最後は暖かい言葉を私に投げかけてくれたのだ。

私はそんな上司の姿を見ていると、なんだか申し訳ない気持ちになってきた。

怒鳴り散らしていたのも私への愛情だったのかもしれない。

そのことに気づいた私は、仕事ができず逃げ出してしまった自分の弱さを痛感した。

なんて弱い人間なのだろうか……

そう思えて仕方がなかった。

会社を辞めた日から私は抜け殻状態になった。

 

このままではいけない。

そう思い、海外を放浪してみたが、答えは見つからなかった。

 

自分の居場所はどこなんだ。

どうすればいいんだ。

 

日本に帰ってきてからも私は抜け殻状態のまま毎日を過ごしていたと思う。

さすがにお金も尽きてきたので、アルバイトをしなきゃと思い、求人を探すが、どうしても働くことができなかった。

 

アルバイトの仕事でさえ怖くなってしまったのだ。

私は学生時代にはいろんなアルバイトを経験していた。

飲食もやったし、接客業も挑戦していた。

 

しかし、新卒で入った会社をノイローゼになって辞めたしまったというトラウマがあったせいか、アルバイトの仕事ですら怖くなってしまったのだ。

 

また辞めてしまうのではないかという恐怖心が芽生えてきて、仕事ができなくなったのだ。

 

親は呆れていた。

「いい加減、家から出なさい!」と私を無理矢理でも外に出そうとしていた。

 

たぶん、このままでは人間的に腐ってしまうと思ったのだろう。

 

私は親の声に背中を押されるようにして何個かアルバイトを始めてみた。

しかし、どれも続かなかった。

一週間ほど働いたが、タイムカードを切っただけで頭痛が止まらなくなり、吐き気がするのだ。

職場や人間関係に異常なまでに敏感になり、ノイローゼ状態になってとてもじゃないが仕事ができる精神状態じゃなかった。

 

 

このままでは自分でもまずいと思った。

少しずつ社会復帰していかなければ。

 

私にもできるような仕事はないか必死に考えてみた。

それで思いついたのがレンタルビデオ店のアルバイトだった。

私は学生時代、狂ったように映画を見ていた時期があった。

自主映画を作っては映画を浴びるように見まくっていた。

本数でいうと年間350本以上だった。

TSUTAYAから年賀状が届くくらい映画を見まくっていたのだ。

 

レンタルビデオ店ならほぼ全てのDVDの棚を把握できているから自分でも働けるんじゃないか?

そう思った私は近所にあったレンタルビデオ店にアルバイトの面接に行くことにした。

一日中プー太郎のフリーターという身分の私は、即採用された。

 

出社当日、私は不安で仕方がなかった。

自分は働けるのか?

もしここでもノイローゼになって逃げ出してしまったら、もう二度と社会復帰できなくなる。

 

そう思いながら私は出社したと思う。

レンタルビデオの棚を戻す作業はなんとかできた。

それもそのはずである。

学生時代にほぼ全ての棚にあるDVDをチェックしていたので、新人とは思えないほどの速さでレンタルDVDを返却できたのだ。

 

店長は驚いていたらしい。

「なんであいつ、棚のDVDの場所、全部把握しているんだ?」

そんなことを言っていた。

 

 

レンタルDVDなら自分の得意ジャンルだ。

ここなら働けるかもしれない。

そう思った私は,藁を掴む勢いでレンタルビデオ屋のアルバイトに挑んでいった。

 

なんとか私の精神状態も落ち着いて行った。

 

働く感覚も少しずつ取り戻してきた頃、私はこのままアルバイトを続けているのもどうかと思い、転職活動をすることにした。

 

転職活動は大変だった。

新卒で入った会社を数ヶ月で辞めた人間を雇ってくれる会社はどこにもなかった。

それでも、ノイローゼになり地獄だったあの日々に比べたらマシだと思って、私は転職活動を続けていた。

 

数ヶ月かけてなんとか4月から雇ってくれる会社を見つけることができた。

私は安堵した。

やっとこれで安心できると思ったのだ。

 

しかし、4月が近づくにつれて不安は大きくなっていった。

このままでいいのか……

また、会社を辞めはしないか。

 

私は不安で仕方がなかった。

もしまた会社を辞めることになったらもう二度と社会復帰することができなくなるだろう。

そうなったら私の人生は終わりなのではないか?

またどん底の日々を送ることになるのではないか?

 

そんな不安がグルグル私の脳裏の中で渦巻いていた。

本当に自分は働くことができるのか?

もう一度社会人としてのスタートを切れるのか?

 

そう思って不安で仕方がなかった。

 

そんな時、天狼院店主の三浦さんがフェイスブック上でこんな記事を投稿していた。池袋にある天狼院書店は、私が人生どん底の日々を送っている時に、何かにとりつかれるかのようにして辿り着いた本屋さんだった。

月に数回は通っていた。

 

そういえば3月になってからあまり天狼院に行ってないなと思っていると、

店主の三浦さんがこんなことを発表していたのだ。

 

「4月1日をもって天狼院書店「東京天狼院」店長に任命します」

 

天狼院の店主として日本中を走り回っているのに、神戸天狼院などの開店準備で忙しいはずの三浦さんが突然、東京天狼院の店長になると言い出したのだ。

 

相変わらず、面白いこと考えるよな……と思った私は、

土日は基本的に店主の三浦さんが東京天狼院の店頭に立って、本を売りまくっているらしいので、その日に東京天狼院に行ってみることにした。

 

天狼院のドアを開けた途端、三浦さんが立っていた。

最近だと、全国を走り回り、店頭に立つこともなくなった店主の三浦さんだが、今日だけは朝から晩まで店頭に立ち、本を売りまくるという。

エプロン姿にスキンヘッドという変わった風貌だった。

 

 

私は店主の三浦さんに、二度目の社会人としてのスタートを切るにふさわしい本を選んでもらうことにした。

「なんの職種なんですか?」

と三浦さんは聞いてきた。

 

「営業職です。仕事ができるか不安なんです」

そう素直に答えると、とある一冊の本を本棚から選んでもらった。

 

「この本は絶対オススメです。体の中から燃え上がるようなパワーをもらいます。いますぐにでも営業の仕事がしたくてたまらなくなるんですよ」

 

その本を手に持った三浦さんはとてもイキイキとしていた。

何だパワーをもらう本って?

 

私は、店主の三浦さんが絶賛する本を買って読んでみることにした。

 

その本は真っ赤な表紙で囲まれた本だった。

どうやら営業マンとして大切な教えが詰まった本らしいのだ。

 

私は早速読んでみることにした。

 

驚いた。

三浦さんがいつも実行してきたことが、本の中にまとまって書かれていたのだ。

ハゲの利点などもこの本の中に書かれてあったのだ。

(天狼院店主、三浦さんは自身がハゲであることを利点だといつも言っている)

 

 

 

そうか!

三浦さんがこの本をイキイキと語っていたのは、三浦さん自身が、この本に書かれてあることをこれまでに実践してきて、自分の人生を変えてきたんだな。

だから、あんなに熱狂的にこの本を語っていたのか。

そう思えて仕方がなかった。

 

 

それは営業のノウハウを学べるだけでなく、人生の教えも書かれた

熱い熱いビジネス書だった。

 

 

自分がこれまで仕事に対し、悩み苦しんできたことがすべてこの本の中には書かれてあったのだ。

 

この本のとある一節ではこう書かれてあった。

「信じることが熱意を生み出す。営業マンとして一流になれないのは、スキルが足りないというよりも、自分を信じる気持ちが足りないからである」

 

常に物事をポジティブに捉え、人々を熱狂的に動かす大切さが本に書かれてあるのだ。

 

ポジティブに捉え、楽しみながら仕事に向き合っていると、自然と商品も売れてくるようになる。大切なことは物事をポジティブに捉えること。ポジティブに考え、自分を信じることから熱意が生まれていき、お客様を動かしていくのだ。

 

 

 

私はこれまでずっと、物事をネガティブに捉え、どうせ自分なんてダメだと思い、いろんなことから逃げてきたのだと思う。

どんな時も物事をネガティブに考えてきたのだ。

 

しかし、この情熱的な内容の本を読んでいるうちに、そんなネガティブ思考の自分ではダメだと思い知った。

 

仕事ができないとかは関係ない!

 

大切なことはその仕事をどれだけ夢中になって取り組み、常にポジティブ思考で仕事に向き合えるかなのだ。

 

 

どんな辛い仕事も常にポジティブに捉えられる人が、上にのし上がっていくのだと思う。

 

店主の三浦さんに天狼院のブックカバーをかけてもらったその本は私にとって、人生を変えてくれるような情熱的な本となった。

 

「営業の赤本」

真っ赤に燃え上がるこの本は新生活に戸惑いを抱く、私のような新入社員には一度は読んでもらいたい本だと思う。

 

きっと情熱的なエネルギーが腹の底から湧き上がり、仕事がしたくてたまらなくなる。

営業のノウハウだけでなく、仕事をする上で、人生を歩む上で、最も大切なことを教えてくれる本なのだ。

 

私は再び働き始めて間もないが、この本を繰り返し読み直すことで、どんな仕事にもポジティブに前向きになって頑張っていこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

 

紹介したい本

「営業の赤本」 日経BP社  ジェフリー・ギトマー著

 

  

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2017-04-28 | Posted in リーディング・ハイ, 記事

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