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選手だけでなく、観客も体力勝負!?〜「冬季五輪に魅せられて」——天狼院書店特派員ライター・関谷智紀が行く! ピョンチャン五輪紀行〜


 

座席争奪戦に敗れ、立ち席で2時間揺られ続けて……

 

とにかく、オリンピック観戦は体力を削られます。
疲れ切って「明日は宿で寝ていたいなー」と思うこともしばしば。

「おい、お前、楽しみに行っているんだからそんな弱音を吐いてどうする?」
というご意見・お叱りがあるのはごもっとも。でも、実際に五輪会場に行ってみると、世界中からファンや選手・関係者が来るというビッグイベントだけあって、とにかく移動のストレスが半端ではありません。

まず、今回のオリンピックは、会場になる街がそれぞれとても小さく、ホテルや宿舎の数自体が少ないうえに、主立ったホテルは五輪組織委員会や各国の関係者に押さえられており、ファン向けのホテルがとても少ない。
そのため、値段も高騰します。

「ちょっとここ大丈夫なの……」というレベルのモーテルが1泊2万円なんてのはざら。あるネット予約サイトでは、1泊10万円なんて数字も見かけて、泡を吹いて倒れかけました。

ですので、なんの後ろ盾も持たないファンはソウルから電車やバスで通うしかないんですよね。
KTXという韓国版新幹線で2時間弱揺られ、最寄り駅に到着。そこからシャトルバスで会場によっては10〜45分揺られてようやく到着です。

まずKTXの座席をとるのが、大変です。
ネットで予約を取れるのですが、すでにめぼしい時間帯の予約はほとんど取られており席が空いていない。そのため、ソウルから会場へは早朝6時、7時台の電車でなんとか席を取って、現地深夜発で戻るしかありません。
それでもまだよいほうで、席が取れないときは立ち席で約2時間、ドア付近でひたすら立って移動するしかありません。

立ってでも宿に帰りたいという思いは、世界どの国の人でも同じようで、ロシアにアメリカ、ドイツに中国……とKTXのデッキは立ち席の乗客であふれています。
そこで彼らがビールなど飲み始めたらもう大変!
デッキは一気にお酒くさくなり、「ぐわっははは」と豪快な笑い声。疲れているとこれは心身にこたえますね(泣)。

さらに、今大会は2月9日〜2月25日まで行われているのですが、なんと「ソルラル」という韓国の旧正月(今年は2月15日〜2月18日)と重なっているのです。「ソルラル」期間は、日本のお盆や正月と同様、ソウルで働いている人が一斉に田舎に帰るため、電車は満員、道路は大渋滞というのが例年の光景とのことですが、そこに五輪が加わり、もうとんでもない大混雑となっています。

そんな感じで、ようやく最寄りの駅にたどり着いて疲れているところに、さらに追い打ちを掛けるのが、シャトルバスの案内の悪さ、そして乗車時間の長さ。

シャトルバス乗り場の案内は、当初「TS22」といった番号での案内しかないのがほとんど。しかも英語も書かれていない。そのため、事前にシャトルバスのルート図を手にした人でないと、バスがどこ行きかなのかわからない!
駅に行くのか、それとも駐車場へ行くのか? 看板では判断できないんですね。
結局、必死にボランティアに聞いて、なんとか行き先がわかり安堵するということに……(看板はようやく大会3日目くらいに、ボランティアさんの機転か、駅名が書かれた紙が貼られるようになりました)。

スノーボードの会場に行ったときには、なんと数十分バスが来ない、という事態にも遭遇しました。そんな感じで移動のたびにいろいろとストレスがたまり、体力が削られます。

 

現地の人々との交流に癒されて

 

そして、移動時間の長さもキツい……。
スキーやスノボの会場までは、約30〜40分、観光用の大きなバスに乗って揺られて移動します。
ところが、ところどころ道がでこぼこしていたり、スピードを落とさせるための段差がワザと作られたりしていて、もうどっかんどっかんバスが揺れるのです。さらに、多くの観光バスでは、なぜか窓が閉められていて、正面にテレビがある。
さらにそのテレビが大音量で流されているという……。
移動中もテレビで五輪を見られるのはいいのですが、これでははっきり言って「酔います」。

韓国在住歴の長い友人いわく、「韓国は観光バスで旅行するとき、窓を閉め切ってなかで宴会するんですよ。もう、カラオケを歌って、立って踊りまくって大騒ぎですわ」とのこと。
だから、なぜか観光バスの運転手の側には、音楽用のミキサーが。これがない観光バスは見たことありません。
さらに、「観光バスは運転手個人が所有していることが多いので、運転手たちはこれが俺のバスだ! とばかりに好き放題デコレーションしますね」と先ほどの友人。だから、内装はもうギンギラです(笑)。

寒い外に合わせて、上着を着込んでいるので、バスの暖房で「1人サウナ状態」。そこから外に出ると、一気に汗が引いていくのがよくわかる……。
ということで、バスもけっこうな修行の場。待ち時間も含めて、五輪では移動しているだけでも徐々に体力が削られていくのです。

でも、そんな状態のなかでも救いなのは、ボランティアも運転手もとてもフレンドリーなところなんですね。「来てくれてありがとう」とか「また来てねー」とか笑顔で手を振ってくれると、疲れも多少は和らぎます。
「このバス派手だねー」とつたない英語で伝えると、運転手さんはニヤリと笑って「どーだ、すごいだろ」とばかりに親指を立ててくれました。

こんなちょっとした交流も悪くないんですよね。
選手にも観客にも予想外の出来事が起こるのが五輪というもの。そう思って、なんとか倒れないように頑張りたいと思います。

 

【プロフィール】
関谷智紀(せきや・ともき)
フリーライター。大学卒業後、TV制作会社にてスポーツ中継や情報番組などのディレクターをしていたが、会社解散にともない紆余曲折を経て情報誌のライターになり、グルメのお店情報から経済関係まで記事を執筆。その後、単行本・ムック本の企画・ライティングも担当。スポーツライターとしては、アイスホッケーをはじめとした冬季スポーツ、バスケットボール、野球などを中心に取材を続けている。

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