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チーム天狼院

田舎から、上京してきました。〜もの書き女優を目指す書店スタッフが見た「恐怖」と「希望」〜【のぞみの赤裸々日記】


記事:田中望美(チーム天狼院)
 
 
キャーリーケースを二つも抱えて、私は電車に揺られていた。
 
 
バーーッという音を立てて、私の目の前に現れたのは、おびただしいほどの窓があるビルと、湖のような海だった。それが東京湾であることは、後で調べてわかった。
その日は天気が良くて、東京モノレールの大きな窓から見える景色は太陽の光が海とビルにピカピカと反射して眩しかった。
 
 
ああ、私は東京にいるのだ、そう実感して「はあ」と深く息を落とした。
東京に来て初めてみたこの景色が、とても、美しく思えた。自然と心も弾んだ。
 
 
モノレールで羽田から浜松町へ向かう途中、いろんな景色をみた。びっくりするほど、建物すれすれを通ったり、ビルとビルの間を通るまっすぐ伸びた道路も印象的だった。変な落書きのされたボロボロの建物や、生活感溢れる町並み。高層ビルばかりではないんだなと、少しホッとした。だけど、たくさんの人がうごめいているのをみると、さすが東京だなと思った。何百回建てなのだろう、と想像もつかない高層ビルの一つ一つに人が存在していると思うと、途方にくれた。いや〜、すごすぎる。天空の城ラピュタのムスカがいう、「人がゴミのようだ」という言葉が浮かんだ。
 
 
 
そんなふうに思っていたとき、数え切れないほどある窓の一つに丁寧に世話をされていることを思わせる観葉植物があった。そこで働く人が、毎日手入れしているのかな、と思った。そしてまたあるときは、窓の外に虹の装飾がされているのをみた。幼稚園の先生が作ったのかな、と微笑ましく思った。
 
 
 
なんだか、私には東京が「恐怖」と「希望」を兼ね備えているように思えた。
東京にはおびただしいほどの人間が集まってきている。それだから、私のように夢を追って上京してくるものにとっては、恐怖だ。この中でやっていけるのだろうか。容赦無く、蹴落とされ、引きずり込まれる芸能の世界。自分は何か、その中で埋もれずにいられる「光」を持っているのだろうか。東京には才能のある人が大勢集まっていることは、よく知っている。厳しい世界で生き残るには、相当な勇気と覚悟と努力が必要になる。あらゆるリスクと立ち向かっていかなければならない。そうやって頑張っても、本当に目標を実現できるのはほんの一握りだ。
 
 
 
「誰も、自分のことなんかみていない」
「いてもいなくても、同じ」
「誰が何をしようが、関係ない」
 
 
 
そんな冷たさを、おびただしい人の住む景色を見て感じた。
 
 
 
だけど、私のことを知らないのが当たり前な誰かの育てた花や、虹飾りを見て、私は「希望」も、確かに感じた。相手は私のために花を手入れしたり、飾りを作ったのではない。だけど私は勝手にそれを見て感動した。ああ、すごくいいな、と思った。大げさかもしれないけれど、何気ないものに人が救われることがあるのと同じことだと思う。自分がやりたくてやったことが、偶然か必然か、誰かの心に響くことがあるのかもしれない。「誰が何をしようが関係ない」ということはつまり、「何をやってもいい」ということでもあるのだ。一気に自由を感じた。大きく深呼吸して、新しい空気を身体中に取り込んだ。
ああ、なんて自由なんだ。誰も気にしていない、誰も見ていない。だからこそ、なんでもやっちゃえ、と思える環境がある。そして、もしかするとそれを誰かが見てくれるかもしれない。だったら、遠慮せず何事もガンガンやった方がいい。そう思うことができた。
 
 
 
「恐怖」と「希望」の二面性を持つ東京。
上京するということは、その間で戦っていくということかもしれない。
 
 
 
一生誰にも気づかれないかもしれない。だけど、なんでもできやすい刺激的な環境の中にいる。その中で私は生きていくことを決めたのだ。
 
 
 
ぼーっといろいろなことを考えているうちに目的地に着いた。
私の新たな生活がここから始まるのだ。
私と同じように上京をする人はたくさんいるだろう。
夢を追いかけて。入学や就職、引っ越しで。
色んな思いを抱えて東京という日本を動かす情報に溢れる街にやってくる。
 
 
 
私はそんな人々の心に響いたらいいなという思いに駆られ、今、書いている。
これから上京する人、今上京している人。あるいは、新しい境地へ立ち向かおうとしている人。
 
 
その人々の心と繋がりたいと本気で思っている。
本気で思って、書いている。
 
 
今からでも、どんな状況でも、遅くはないと、強く思いたい。
人生にスタートは何度だってあってもいいのではないか。
さあ、ここから始まる生活に私の鼓動は高鳴っている。
 
 
あなたはどうだろうか?
 
 
 

◽︎田中望美(チーム天狼院)
東京天狼院スタッフ。
1995年生まれ25歳。福岡県出身。
大学卒業後、2年間福岡天狼院で働き、2019年9月から東京天狼院へ。
2016年8月開講のライティング・ゼミを受講。3年継続し、ライターズ倶楽部にも所属。
自分をさらけ出す、赤裸々な文章を持ち前にする。
上位記事には、
『映画監督から告白され、両想いになったのは《プロフェッショナル・ゼミ》』
『君が私をダメにする《プロフェッショナル・ゼミ》』
などがある。
舞台活動を中心に、アルバイトスタッフとしても活躍中。

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