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チーム天狼院

ねぇねぇ、『ズートピア』のジュディとニックって、どうして恋愛関係にならないの? ≪三宅のはんなり京だより≫



先日、天狼院でも大人気の映画『ズートピア』を友達と見てきました。

そうそう、あの『アナ雪』『ベイマックス』に続くディズニー映画。
面白いんだろうなーと思って見に行ったら、実際面白かったです。
動物たちみんなかわいかったし、伏線もキャラもメッセージもうまくて、これぞディズニーっという明るく楽しく面白い映画!
面白かった、面白かったんですが。ひとつ、思ったことが。

ねぇ、
主人公のウサギちゃん・ジュディと、その相方のキツネくん・ニックって………、
恋愛しないよねーーーーー!!!!!!

『ズートピア』見たみなさん、思いませんでした???
主人公たちに、恋愛って概念、なくね!?
なんで? ねえなんで? これ「女の子」が主人公のディズニー映画でしょー!?
……って思ったのは私だけでないはず。
ここについて、今日は少し考えてみよーと思います。

 

1. ジュディとニックは「男同士」の関係!?

さて、まずは『ズートピア』のあらすじをさくっとご紹介しますと。
主人公は、ウサギの女の子・ジュディ。動物たちが暮らす「ズートピア」という町で、彼女は立派な警察官になることを目指しています。そこに現れるのが、キツネの男の子・ニック。こいつ、最初詐欺を働いてたりするんですが、いつしかジュディと協力して戦うようになる、いいヤツなんです。

で、このズートピアという町は「頑張れば、誰もが何にでもなれる!」というアメリカンドリームにあふれた町なんですね。だから、普通はライオンとかサイとか強い動物がつとめる「警察官」という夢を、小さいウサギの女の子であるジュディが、「ズートピアなら」叶えられる。
そして、誰もが何にでもなれる町だからこそ、ここには様々な動物たちが共存してるわけです。ウサギなどの草食動物も、キツネなどの肉食動物も、一緒に住んでいる。(これがこの話の一番大きなポイントなのです)

 

で、冒頭でも言いましたが、気になるのが。
ジュディとニック、あんなに仲いいのに、恋愛っぽいシーンひとつもないんですよ……!

絆を深め、お互い理解し合い、困難を乗り越える男女が、恋愛関係にならないんです。
もちろん子どもが対象となるアニメだからとか、恋愛が必要な物語じゃないからって理由もあるでしょう。
ズートピアの描写を見る限り、種族ごとに家族つくってる感じだったし、キツネとウサギじゃそもそも交配できない気もするし。

でもね、今までのディズニーに、女の子(メス)を主人公にして、しかも相方に親密な男の子(オス)がいて、恋愛関係にならんかったことなんてあるのかっ!?ってところに、私は驚きました。

この映画の中で、あくまでジュディとニックは「仲間」なんですよね。戦友とか、バディとか、そういうもの。
もちろんそこはかとなく流れる好意は感じます。ジュディとニックは、お互いよきパートナーになれると思ってるでしょうし、ただの知り合いではもちろんない。恋愛関係になっても不思議じゃない。

だけど、ならない。

私が思うに、この「ただの友達より親密だけど、恋人にはなってないバディもの」って、今までは「男同士」で描かれてたと思うんです。
ホモソーシャルな関係ってやつ。この上なく大切に思い合ってる二人だけど、あくまで「戦友」。性的嗜好が男じゃないからね。

だけど、今回、ジュディとニックという妙齢(?)の男女で「バディ」を描いた。
しかも、今までロマンチック・ラブを散々描いてきたディズニーが!
私にとって、わりと驚くべきことでした。

 

2. 「王子様」がいなくなるディズニーヒロイン

はい、それではここで、『ズートピア』の前にディズニーが出した「ディズニーヒロイン」を考えてみましょう。

言わずもがな。
『アナと雪の女王』ですね。

れりご~~と高らかに歌い上げた『アナ雪』で、ディズニ―は、それまでのプリンセスものとは一味違う展開を押し出しました。

それは、「男なんて信用ならないわっ、私たちは姉妹(つまり女同士)で結託してがんばってくんだからっ! 男なんて従者でじゅーぶんなのよー!!」というメッセージ。

ディズニーの描くプリンセスものというのは、全世界の女の子たちが見るものです。つまりディズニーが送るメッセージは、全世界の女の子たちへ向けている。
『アナ雪』を作っていた当時、ディズニーの方々はこう考えたのではないでしょうか?――今のご時世、「ありのままでいいんだからっ」と開き直って、信用できない男を蹴散らすようなプリンセスが必要とされているんだ――だからこそ、おねーさんを救ったのは王子のキスではなく、愛する姉妹のキスだった。
そして主人公・アナにあてがわれたヒーローは、王子様ではなく、どちらかというと召使いっぽい男の子。ピンチの時に助けてくれるけど、あくまで「上」の存在ではない。対等、あるいは自分より下にいる男の子でした。

で、ここにきての『ズートピア』。

もはや、恋愛すらそこにはない。

一方的に助けられるんじゃなくて、がっぷりお互い助け合うふたり。
女だからできないことを、努力によってどんどんなくしてゆくヒロイン。
多様性を認め、偏見を除き、みんなの「ありのまま」を認めようとする世界。

そこでは、「女だから」と思うことは偏見になるし、
男女とか関係なく、目の前にいる人自身を見ることが必要になる。
それは現実世界でだってとても大事で必要なことだと思いますし、実際ジュディとニックは結果的にそうなることによって、いいパートナーになってるわけです。難しいですが、私も偏見に惑わされずにその人自身を見れたらなぁ、と思います。

だけど……、
別に、ジュディとニック、恋愛関係になったってよくない??
お互い協力し合って、理解できて、偏見もなくて。最高のカップルになれそうだけどなぁ。

単純に仕事と恋愛は別、とか、種として交配できない、って話もあるでしょうけれど、

それ以上に、『ズートピア』には、ディズニーの「いや、このふたりは恋愛関係じゃないパートナーなんだ」という明確なメッセージが見えませんか。

そう、今の時代のヒロインに必要なのは、恋人でも王子様でもなく、「同士」なんだ、と。

 

3. 分身を探し続ける女たち

さて、ここで唐突ですが、中村うさぎさんという著者の『私という病』という本をご紹介いたします。
著者は買い物依存症や整形の体験から、「女の自意識」や「ナルシシズムの病」等のテーマを生涯追及している方なのですが、この『私という病』は「女たちの自己」というテーマに深く切り込んでおりまして。
ここに書かれてあったこの文に、私ははっと息をのみました。

――九〇年代から、女たちはずっと「自分探し」をしてきた。おそらく、その「自分探し」は、これから「分身探し」へと発展するだろう。男ではなく、女やゲイといった他者たちが、私たちの分身を引き受けてくれるかもしれない。「恋愛」ではなく「家族愛」や「同士愛」の絆で結ばれた分身こそが生涯を共にするパートナーとなり、男たちは家の外で恋愛やセックスをする相手としてだけ機能する。――
(『私という病』中村うさぎ、新潮社 から引用)

中村うさぎさんは、少女漫画『NANA』を例に、「お姫様な自分」と「女であることにウンザリしてる自分」の矛盾を解決するために女は「分身としての他者」を求めること、そしてそんな「分身」としての他者こそが、女の生きる苦しみをやわらげてくれるのではないかということを説いています。

「恋愛」ではなく「家族愛」や「同士愛」の絆で結ばれた分身こそが生涯を共にするパートナー。
これはまさに、ジュディとニックの関係ではないでしょうか。

ディズニーが恋をせず仕事という夢に邁進するヒロインを描いたように、
私たちにはもう、理解も共感もしてくれない「恋愛でのパートナー」なんて必要ないのかもしれない。
出産やデートのために恋愛をすることはあっても、人生で一番大切なパートナーに選ぶのは、恋の相手ではないのかもしれない。

そう、私たち女子の夢は、いつからか「恋」でなく「仕事」になったから。

だってもう、ただ王子様にうっとりしてるだけなんてできない。
「きみはプリンセスでいていいよ」って言われたって嬉しくなんかない。
自分の夢は自分でつかみたい。

私たちには、もう、王子様なんて、いらない!

………いや、ほんとは、そうじゃない。

そうじゃなくて。

ほんとは、そんな自分とは反対の「女としての自分」が心の奥に住んでるのを知っている。
ほんとは、「プリンセスになりたい」し、「王子様にうっとり」したいんですよね、今も。
小さいころに憧れた、シンデレラや白雪姫の面影を私たちは今もどこかでなぞってる。

でも、もう一人の自分が「そんなんじゃやだ」って叫ぶ。
やだ、女だからってそんな扱い受けたくない。
だって、だって、そんなに男が頼れるもんじゃないって、私、知ってるんだもん!

そんな分裂した女の叫びが、ディズニー映画にはくらくらと立ちのぼってるように見えます。

だからこそジュディは、恋愛を口にしない。ただ、夢のことだけ考える。分裂した自分なんて、夢のためにはいらないもの。――ここまでいくと考えすぎかもしれませんが、ジュディにとってのニックはあくまで「同士」でいなきゃいけないんだと思うのです。

いつだって夢を見せるのがディズニーのお仕事だから。
どこに自分の理解者はいるのか。だれが夢を助けてくれるのか。女の子たちは、きっとずっと今も彷徨い続けてる。
だから、ガラスの靴を落としてみたり、レリゴーと歌ってみたり、キツネの男の子とバディを組んでみたりするんです、ディズニーヒロインは。ずうっと。

 

プリンセスだけがディズニーヒロインだった時代から、私たちはずいぶん遠くに来てしまいました。
アナからジュディへうつりかわり、今度のヒロインは一体どこへ行くのでしょう。
きっと次のヒロイン像をつくるのは、ほかならぬ私たちに依っているのですが。

まぁディズニーがどう言ったって、私たちは私たちなりの夢を叶えるべく、頑張るしかないのです。
それがお嫁さんになることであろうと、立派な警察官になることであろうと、みんなそれぞれそこに向かってくしかないですよね。
たまにはディズニー映画でも見て励まされながら、ね。

 

……さてさて、『ズートピア』は、はたして続編があるのでしょうか。
多様性を求めてニックと初の種外結婚にいたるのか。
それともウサギのニューヒーローが現れるのか。
はたまたジュディは永遠に独身の立派な警察官になるのか。

めちゃくちゃ興味あるので、ディズニーさんにはぜひ続編をつくって頂きたいとこだと思いますっ!

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