チーム天狼院

最近よく言われる「闇が深い」ってどういう意味? ≪三宅のはんなり京だより≫



「闇が深い」としばし言われる22歳、三宅香帆ですこんばんは!

はい、こんばんは、こんばんは。いきなり変な自己紹介で失礼致しました。
私は大学で国文学を学んでおりまして、時々「気になる」言葉というのが存在するんですけれども、ここ数日気になるのはこちら。“闇が深い”。

物理的な暗がりのことを言っているのではなく、人や団体や物事の性質を表す言葉としての「闇が深い」。これ、最近よく言われるようになったなぁと感じます。
(ちなみにGoogle Trend先生に教えてもらったデータはこちら↓ Googleで「闇が深い」という言葉が検索された数が縦軸のグラフになっております)

確実に2015年あたりから増えていますよね。
”闇が深い”、ひそかなる流行語だなと私は睨んでおります。

「闇が深い人」「あの企業は闇が深い」「元カノの闇が深い」……ネット上に散らばる言葉たち。“闇が深い”って、なんとなく意味はわかるけど、実際どういうことなのでしょう。

そもそも遡ってみると、「闇(やみ)」の語源は「夜+見」ではないかと言われています。「黄泉の国」のヨミもこの変化形じゃないかな。また古語では「月のない夜」のことを指したりしていました。(このへんは『時代別国語大辞典 上代編』参照)

つまり、“闇”とは、その景色が黒いことそれ自体というよりも、光のない状態であることを指していた。
そこから「思慮分別のなくなること。理性を失った状態」(「恋は闇と、いふ事をしらずや」by『好色一代男』)って意味とか、「希望をもつことができないこと」(『一寸先は闇』ってやつですね)、そして今回使われている「世人の目に触れないこと、表沙汰にならないこと」という意味ができあがったようです。
つまり「表沙汰にしないことが多すぎる」という意味の“闇が深い”は、昔からあったわけですね。深い闇が明らかになった、とか言いますもんね。
じゃあ、なんで今になって“闇が深い”って言葉が流行ってるの???

 

そもそも”闇が深い人”ってつまり、「裏で何考えてるか分からない人」「他人に心を開いてない人」、つまりは「表に出さないことがやたら多い」人、ってことですよね。人間だれしも闇(=人に見せない部分)は抱えているけれど、その闇の量が多そうな人、ってこと。

とすると浮かび上がってくるのが、“闇”という言葉の本質は「見えないという状態であることを意識に上げる」ということ。
“無知の知”みたいな構造の言葉ですよね。“一寸先は闇”ってそれ結局「一寸先はどうなるかわからないけれど、少なくともどうなるかわからないということを認識している」わけですから。
だから、たとえばひたすらポジティブな人に「闇が深い」と言う場合は、「少なくとも私にはポジティブ以外の面が見えている」ということを主張してるわけですよ。「そのポジティブ以外の面が何なのかわからないけれど」、と。
そこにあるのが何なのか分からないのです。だけどそこに何かあることは分かる。
要は「本音出してない!」ってことですね。

 
そしてこれって、ある種の「自然体ブーム」の煽りを受けているのではないでしょうか。つまり、「自然体が一番」「本音が一番」信仰の反転として、「闇が深い」というカテゴライズが生まれた。そういえばキャラ作りって言葉もありますね。自然体じゃなくて自分でキャラを作為的に作ってることを揶揄する言葉。
もちろん自然体や本音は信頼できるし素晴らしい事なのですが、結局、“自然体”や“本音”に反しているものを“キャラ作り”、そしてそこから零れ落ちる隙間を“闇”と私たちは呼んでいるのではないでしょうか。

 

さてさて。
私たちは、2012年頃(これもGoogle Trendさん調べ)から“メンヘラ”とか“中二病”とか「性格に難のある人に対するもやもや」をカテゴライズする言葉を使ってきました。その昔だったら“ネクラ”とかいった言葉が流行った系譜。
その系譜の行く末に、今“闇が深い”という新風がじわじわと起こっています。
表面上はともかく、どうも裏に何かあることを私は知っている。――そんなもやもやとした主張をうまく言葉に表したのが“闇が深い”という言葉だったのでしょう。

もちろん、その裏には(私はこんなに開示してるけどね)というカッコつきの声が含まれていることも忘れてはなりません。

騙されていることが嬉しい人間はいません。それは騙されているということはすなわち自分が下にいるということだから。
また人間は情報が不等分に隠されていることも嫌います。そこにあるベールを剥がして見たい、というのは人間の普遍的な欲望です。

だけど、100パーセント本音、自然体という人間がいるはずもないこともまた真実です。
どんなに「本音で俺は生きてるぜ!」「私は完全に自然体!」って言ったって、そもそも人間は社会の要請によって仮面を変える生き物ですから。どれだけ隠してるものを自覚してるかの差でしかない。本音で生きてるって言う人に限ってそれ本音じゃねぇ! というツッコミは古今東西絶えません。
とすると、闇がない人間なんていないし、闇がない社会なんて存在し得ない。

だとしたら、「闇が深い」という言葉を使うとき、そもそも、闇が深いはずの人間が相手の開示する情報量を気にしてでもそれを本音で言いたくはないから「闇」という言葉を使って……(混乱してきた)、うん、闇が深いって言葉が一番闇深いよ!!!!

 

ここまで読んでくださってありがとうございました。なんだかだらだら話してしまってスミマセン。しかしこんな話をしてる私も結局、闇が深いんですけどね。現代日本の闇は深いです。ん? ってことは私は闇が深い?
嗚呼、闇は今日も深くなるばかりです。ちゃんちゃん。

 
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