ありさのスケッチブック

素敵な大人になるために足りていないもの《ありさのスケッチブック》


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「あー、また忘れてる、いつも忘れちゃうんだよな……」

北海道旅行の二日目、私はホテルのソファの上に居た。
一日中旭山動物園を歩き回っていたため、足はパンパンに張っていた。
少しでも楽になりたいと思って、履いていたサンダルを脱ぎ棄てた……のだが。

問題発生である。
問題と言っても、足が腫れていたりケガしていたりしたわけではない。
足の形状はまったく問題はない。

ただ……足元の色が……パンダになってるー!
私の足元はサンダルのバンドの跡がくっきり。
一日中歩き回っていたせいで足元まで日焼けしていたのだ。

別に日焼けするのは構わない。
ただ、焼け方が良くなかった。
全体が焼けているのではなく、サンダル型に焼けている。
それがどうにもこうにも間抜けに見えて仕方ないのだ。

日焼け止めは塗ったのだ、手と足と顔には。
しかし、見事に足元だけ忘れてしまった。
そのせいで足元が焼けてしまったのだった。

「こういうところだよなあ……」
私はひとり、ため息をついた。

 

***

実際私は油断していたのかもしれない。
その日一日居た動物園はもちろん屋外の施設だが、
北海道だしそんなに日差しはきつくないだろう、と。

だが、その日は北海道でも猛暑。
タクシーのおじさんに「今年で一番暑いですよー」とも言われた。

そして、自分の動物好きさ加減も忘れていた。
最初のうちは日傘をさしてペンギンやらホッキョクグマやらトラを観ていたのだが、
歩いているうちに日傘をさしたり閉じたりするのが面倒くさくなった。
その結果、私はリュックの側面に日傘をさして歩いていたのである。

予想外にダチョウが可愛くて、追跡しながらカメラを構えていたり。
カバの柵の前でカバが水から出てくるのを待ったり。
それだけ夢中になって動物たちを見て歩いていたのである。

どの動物も、時間をかけてじっくりと。
今考えるとずいぶんと油断していたように思う。

だから、日焼け止めを塗り直していないことにも、
足元が日に当たっていることにも気づけなかったのだろう。

そんなことを部屋の中で動物園の地図を観ながら分析していたところ、
もう一つの問題が発生した。

「カピバラ見てない!!!!」

私は地図にカピバラが載っているのを見て、見ていないことに気づいたのだった。
いや、しかし不思議だ。
どの動物もじっくり見ていたし順路は守っていたのにどうして見過ごしてしまったのだろう?

私は首をかしげながら地図をぼんやりと見つめる。
そして、カピバラ館の前がサル山であることに気づく。

ああ、これのせいだ。

原因を突き止めた。

私は、サル山のたどり着いたとき、今日は別にいいや、と飛ばしてしまっていたのだった。
その時はコースの中盤で、めちゃくちゃ暑かったし疲れていた。
だから私はサル山ってサル居すぎて嫌だわーとかよくわからない理由でサル山を見るのを止めたのだった。
そのせいでサル山の後ろにあったカピバラ館に気づけなかった。
それだけのこと。

しかし、私にとっては重大事件である。
お金を払っただけの元は取りたいとどんな場所でも思ってしまうケチな性格なので、
バイキングでも、水族館でも、イベントでも、見たいものは隅々まで見ないと気が済まないのだ。
それが、今回はカピバラを見逃してしまった。これは落ち込む。

「うわー、まじかー」
私はげんなりしながら呟いた。

 

***

ふと、頭をよぎる言葉があった。

「詰めが甘いよねえ」

いつか誰かに言われた言葉だった。

いやー、本当にそうですよね。
日焼け止め塗るのに足元だけ塗り忘れるし、
隈なく見てたはずなのにカピバラ見落とすし。
自分は詰めが甘い、とこの日の出来事を思い返すだけで実感したのだった。

詰めが甘いのはこの日に限らない。
様々な場面で詰めの甘さが言える気がする。

割り振られた課題をあとちょっとのところまでは前日までにしっかり終わらせるのに、
そのちょっとが全然終わらず、提出がぎりぎりになったこともある。

友達と待ち合わせする時、何十回と乗り継ぎを検索し直すのに
肝心の乗り換えで逆方向に乗ってしまったこともある。

メイクは毎日欠かさないのに、
唇がべた付くのが嫌だからとグロスや口紅を塗らなかったりするのはしょっちゅうだ。

私は何故かよくわからないけれど、「何か」が抜けてしまうことが多い。
まあ、詰めが甘いのである。
客観的に見て私は「何だか残念な人」の部類である気がする。

毎回完璧にできたらいいのに、私はいつも7割、8割な気がする。
あとちょっと、を忘れてしまったり、頑張れなかったり。
自分でもここさえできれば完璧なのに、と思うのにそれができない。

今までは、足りなかった部分や至らない点は周りの大人や傍にいる人が手助けしてくれていた。
そういう場面で手を差し伸べてくれる大人は本当にかっこいいし、素敵だと思う。

しかし、後半年少しで社会人になる身である私が、助けられてばかりでは絶対に良くない。
助けられることが多いがために、どこかが欠けていても誰かが補完してくれる、とどこかで思ってしまっているからだ。
そうなっては、いつまでも仕事や他のすべきことは中途半端なままだ。

社会人になれば、私のミスが私だけの責任ではなくなる。
これからは、所属する組織の責任に関わる可能性だってある。
周りに助けてもらうどころか、周りに頼られる人になるべき時である。

今までは、「学生」という身分で「学校」や「大人」に守られてきたけれど、
これからは自分の身は自分で守らなければならない。
むしろ、今度は誰かを守る立場になる日だって、そう遠くはないはずである。

やるべきことはしっかりできなければならない。
身なりだって、きちんとしなければならない。
もう、子供だからと甘えてられないのだ。

素敵な大人になるために今の私に足りていないもの。
それは、「自分の力で100%やり切る覚悟」だと思う。

自分でできることはしっかりやろう。
100%やり切る癖をつけよう。
頼り甲斐のある素敵な大人になるために。

私はそう思いつつも、今日はこれから乗る電車の時間のぎりぎりまで記事を書いている。
まだまだ、詰めが甘い。
やることを余裕を持ってしっかりやり切れる素敵な大人になる日は、
もうちょっと先の話かもしれない。

***

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