チーム天狼院

やりたいことが分からない人は、裸の先輩に会ったらいいと思う。≪リーディング・ハイ≫


私たちは社会の一員として生きています。だから、一定の年齢に達したら自立して、仕事をしなくちゃいけない。

だからこそ、どんな仕事をするのかは、人生にとって非常に重要な事項だと思います。

 

うん、分かってる。分かってるんだけど……。

私は今、就職活動を終えて、運よくある企業から内定をいただきましたが、それが正しい選択なのかは分かりません。ずーーーっと悩んでいます。

自分にとって何が正しい仕事なのか、働くとは何なのか、ということを考えてしまうのです。

 

そんなときに、ある先輩に出会いました。

先輩はまとっている服をスルリと脱ぎ去り、裸になった。それは、背伸びしてエステやジムに通った身体なんかじゃなくて、その人の人生がきっちりと刻まれた身体。決してモデルみたいなきらびやかさはないけれど、とっても美しかった。

私はそれを見た途端、心に溜まっていたわだかまりがすーっと消えました。自信と決意が生まれました。

そして、真っ裸の彼女と対話していくと、誰も言ってくれなかったことが、誰にも相談できなかったことが、どんどん解決されていったんです。

 

もしもあなたが、私と同じように就職や転職、仕事のことで悩んでいるならば、私は自信をもって、裸の先輩を紹介します

私が救われたように、きっとあなたも救われると思います。

 

自己実現難民だった私


私は、半年くらい前まで新卒の就活生でした。

真っ黒なスーツと靴に身を包み、示し合わせたように同じ髪型とメイクをして、いろんな企業の面接を受けていました。

私は、論理的に物事を捉える癖があるのと、大阪人ならではの話術で、就活は案外うまくいったほうでした。少なくとも100社以上エントリーシートを出すということはなかったし、内定が一つもないということもありませんでした。

だけど、私は分からなかった、やりたいことが。

就活の面接では、決まって「やりたいこと」を聞かれます。

私は大学で医療のことを学びましたが、本心は舞台や絵画、音楽などの芸術に携われる仕事に憧れていました。今までの人生は、どこか自分に嘘をついていて、なんだかしっくりこない側面があったんです。

しかし、本当のやりたいことを述べても、面接官には見向きもされません。だって、畑が違いすぎるから。それにエンタメ業界は人気企業ですし。私は一生懸命想いを伝えたけれど、学歴からその意味を見いだせてもらえませんでした。悔しかったけれど、それが現実でした。

やりたいことを拒否される日々。やりたいことと現実の溝は深まるばかりでした。

頭の中で思い描く将来と目の前のギャップに苦しみ、その溝を埋めようと考えていると、働くとは何か、さえも分からなくなったんです。

私のやりたいことは幻想だったのではないか? 仕事のやりがいってなんだ? 「仕事がつまらない=人生がつまらない」なのか? 働くってなんだ? と。

社会でちゃんと働いたこともないのに、人生の理想と現実の間で迷い、ひとりで閉じこもってしまいました。

私は完全に自己実現難民に陥ってしまった……。

 

「人生に彷徨っていても、腹をくくって前を向かなきゃ生きていけない」

そう頭では分かっていても、くすぶっていたんですよね、就職に対して心から納得できていないことが。

それに、なんとなくの決断では、社会の荒波を乗り越えていくことは出来ないと思っていました。

だから、私は、社会人として仕事をする前に、働く意味をきちんと理解しておきたい、仕事における自分の核、目的のようなものをはっきりさせておきたいと思いました。

そう思っていた矢先に、先輩に出会ったんです。

 

出会った瞬間、先輩は裸になった


先輩は突然やってきました。

彼女はなにも包み隠さず、坦々と話していきます。自分が失敗したこと、見栄を張っていたこと、悩んでいたこと。まさに、裸だった。

就職や働くことの意味を見失っていた私は、すぐに彼女の言葉に魅了され、そしてその言葉は、固く結ばれた紐を丁寧に解くように私の悩みをほぐしていきました。

こんなに優しく的確なアドバイスがあるのか、と感銘を受けたのです。

自己実現難民になっている私に対して、先輩は言います。

――会社は自己実現の場ではないのだ、皮肉なことに。

――(やりたいことは)自分には決められない

――社会に出る「道」を探ってほしい。

 

私は、やりたいことの解答ばかりを考えていました。けれど、こんなアプローチもあるのかと、安心しました。

結果ばかり求められる世の中、こんな風に言ってくれる人は彼女くらいだ、と心から思いました。

 

また、先輩は、仕事を選択するときに関してこう語っています。

――「選ぶ自分」はいるのか?

――「他者」(=自分の仕事を待つ人=あなた)が見つかっている人は強い

 

そうか、そういう視点で仕事を見ると、働くということがすごく納得できる。

ああ、なんでこんなにも私が、今まさに悩んでいることを、この本は正確に示してくれるのだろう。

読めば読むほど、そう思いました。

 

そう、私にとっての先輩とは、『おとなの進路教室。』山田ズーニー著/河出文庫です。

山田ズーニー先生のたくましい人生とは裏腹に、柔らかな文体で描かれる考えは、まさに人生の先輩そのものでした。

なぜ、そこまで心に響くのでしょうか。

肌触りの良い読みやすい文章で、しっかりとした内容なのです。しかし、そんな優しい文章は世に溢れていて、真の理由は、「迷い」がきちんと書かれているからです。

「迷い」とは、山田ズーニーさんや読者(ネットの人気コラムがもとになっている)の体験談における、結果に至るまでの感情の揺れ動きのことです。

どの体験談も、きっと心の中にしまっておきたかったことばかりだけれど、冷静に自分を分析し、包み隠さず記載しています。

はあぁ、これが良いんです!!!

相手(本)は、とにかく、丸腰でまっすぐに私に投げかけるのです!

「私はこう思うんだけど、あなたはどう思いますか?」って。

相手が一生懸命迷って、考えて、さらにひけらかすことなく裸になって語りかけてくれるからこそ、読んでいる私にも共感し納得できることがあります。

すーっと心の中に入り込んでくるから、私も心をひらくしかなくなるのです。

まさに風呂場で知り合いと仲良くなるのと同じ感覚です。

一般的なハウツー本は、一方的に問題点とその解法を教えてくれます。でも、それでは読み手の実感は得られません。一人ひとり個性があって、考えがあって、納得のできる解法は人それぞれだからです。

それに、苦悩から成功への道を描いた人物伝は、「迷い」は描かれているものの、大抵一つ(あるいは、2,3)の考えしか紹介されていなくて、それが必ずしも自分に当てはまるとは限りません。

だからこそ、一緒に悩んで、一緒に考えてくれる人が必要なんです! 親身になってくれる、人生の先輩が!

 

筆者は、私には想像のできないほど壮絶な人生を送っていると思います。

絶望し、苦悩し、そこから這い上がり、自分の居場所を見つけ、人生を歩んでいる。そして、人生の時々できちんと止まって、思案してきた。そういう人が人生を包み隠さずに、私を優しく諭してくれるのです。「こういう道もあるよ」「こういう考え方もできるんじゃないかな」と。

全力で語りかけてくれる人を、無視することなんてできるでしょうか。

人生に迷ったときには、紆余曲折を経た人こそ身に沁みるのだと思います。

 

表現することがつながりを生む


「迷い」を共有して、それを一緒に咀嚼していく読書体験は、私にたくさんのことを教えてくれました。彼女の書く文章に、たくさん助けられました。

その中に、

――人とつながりたいなら、自分の中にあるものを出して、表現するしかない。

という一文があります。

これを読んだときに、本当にそうだよなあ、と確かな実感がありました。

 

というのも、『おとなの進路教室。』に出合ったきっかけは、とある文章だったからです。

知人が本への愛をブログにつづったことがきっかけで、『人生を狂わす名著50』三宅香帆著/ライツ社が出版されました。そこに、『おとなの進路教室。』が紹介されていて、興味を持って、早速読んで、今に至ります。

無名の女子大生が書籍出版なんて夢物語のようですが、現実はこれなんですよね!

たとえ周囲の人には見向きもされなくても、好きなことを外に発信したら、きちんとそれを見てくれる人がいて、未来が大きく拓けるんです。

「人とつながりたいなら、自分の中にあるものを出して、表現するしかない」とは、まさにこのことです。

本を愛する女子大生がその想いを表現したことで本を出版し、そこに紹介されていた本を私が面白そうと思い、読んだ結果、働くことを肯定できました。

そして、私は今、お世話になった『おとなの進路教室。』をたくさんの方に知ってほしくてこの文章を書きました。そして、この文章をきっかけに、新たなつながりができることを心から望みます。

 

文:飛田弥咲(京都天狼院スタッフ)

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