チーム天狼院

『銃・病原菌・鉄』を読んで、私たちが生き抜くには奴隷を使って麻薬を作らなければいけないと悟った。


あなたは、「なぜだろう?」と思ったことはないだろうか。

白人と黒人で大きく社会的ステータスが異なることを。

歴史において「やられる側」は決まって黒人で、「やる側」は白人であることを。

 

『銃・病原菌・鉄』(ジャレド・ダイアモンド著/草思社)では、この問いを人類学の視点で、初心者にもわかりやすく解説している。タイトルになっている銃、病原菌、鉄は、新世界を征服するために必要だったアイテムである。この本を手に取ったときは、その意味が全く分からなかったのだが、読み終えると納得の結論である。一見不思議な組み合わせの三種に、ヨーロッパ諸国は助けられたのだ。

ここに書かれている話は、人間が発生し、人間らしくなった、その過程であり、紀元前数万年前から紀元前数千年前の話がほとんどである。そこに、現代社会の仕組みであったり、現代ビジネスの心得だったりは全く書かれていない。遠い昔の祖先が世界中で起こした出来事が、坦々と綴られている。

私はこの本を読んで、時代は何万年と異なるものの、現代社会を生き抜くには「奴隷」を使って「麻薬」と作り続けなければならない、と強く思ったのだ。

 

 

白人が優れているという錯覚


なんとなく生活をしていると、なんとなく手に入る情報から、「優れているのは欧米諸国である」ように感じてしまう。

現に私は、欧米人の端正な容姿や最先端の技術や文化に憧れている。それに、アフリカで生活するよりもヨーロッパで生活したいと思うのも、無意識に人種間の優越の概念にとらわれているからだと言えよう。

私のように、欧米に憧れている日本人は、決して少なくないように思う。

 

そんな疑問から派生して、「優れているのは欧米諸国であるのか?」「人種間で貧富の差が出来た理由は何か?」を、すこし変わった視点から解説している本に出合った。経済学者や凄腕経営者、心理学者などが、現代社会や経済を紐解く本は、本屋に数多く並べられているが、その本は違った。人間が人間らしく生きるようになる過程を追った、人類学の視点から人種間の差を紐解いているのだ。

 

著者は、はっきりと述べる。

「ステータスの差は、人種間の能力の差ではない」と。

「白人は賢くて、黒人は賢くない」という概念は、全くのデタラメである、と。

 

しかし、国によって富の差は歴然としているのは、まぎれもない事実である。

持っている能力が仮に同じなのであれば、国家間の大きすぎる格差は生まれないのではないだろうか。

 

この本では、格差が生まれる原因を「環境」としている。しかも、この「環境」は、教育環境や社会保障環境といった作られたものではなく、地域の温度や降雨量といった気候、土壌の質や大陸の形などである。人間ではどうしようもできない、自然の側面なのだ。

 

人間が社会を構成するには、大きな流れがある。

「放浪型狩猟採集民から定住型農耕民」という流れだ。

そして、富を得られたのは「いち早く定住型農耕民になれた人々」なのだ。

 

定住型農耕民になるメリットは、計り知れない。

私はこの本を読むと、その大きすぎる恩恵に身震いした。

 

定住型農耕民の最大のメリットは、「安定した食料が得られる」ということだ。

自ら畑を耕したり、家畜を育てたりして、気候に左右されることなく食料を得ることが可能になった。

そうなると、次に起ることは、人口増加と知識人の出現である。

食料を安定して供給できるようになったため、人口を増やすことができた。また、ひとりの母親が産むことができる子どもの数も増えた。狩猟採集民は移動生活をするため、子どもが自立するまで背負わなければならず、産める子どもの人数に限りがあった。

人口が増えるということは、人口密度も増え、人を利用して生き延びる細菌(=病原菌)も現れるようになった。人間は生まれつき免疫という能力を持っていたため、人口密集地域に住む人は病原菌に対する免疫を獲得した。

食料の余剰が生まれたことで、知識人を養うことも可能となった。彼らは、生活必需品や武器、文字などを生み出し、新たな文化を作った。

のちに、銃を発明し、鉄の精錬方法を習得した。

 

「いち早く定住型農耕民になれた人々」は、世界を征服するに必要だったアイテムをいつの間にか取得し、世界の覇者になった。

 

また、人口が増加して文化が出来ると、集権化社会を構成するようになり、現代のような超複雑な社会が生まれたのだ。

すなわち、私たちの社会は、「食料の余剰」によって成り立っているのである。そして、今この瞬間でも誰かが「食料の余剰」を生み出してくれるからこそ、私は学生でいられるし、働く大人の多くは第三次産業に従事できるのだ。

 

 

大陸の形が運命を分けた


「いち早く定住型農耕民になれた人々」が得をしたということは、説明できたが、これではヨーロッパ諸国が優れると錯覚されるように至ったことは説明できていない。これには、大陸の形が大きく影響する。

 

定住型農耕民が世界で初めて誕生したのは、ユーラシア大陸である。

ユーラシア大陸は、東西に広がる大陸である。一方で、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸は南北に広がっている。これが運命を分けた。

南北に長いということは、緯度の変化が大きく、大陸間で気候が大きく異なるということである。しかし、東西に長いと、ユーラシア大陸では距離は圧倒的に長いけれど気候はあまり変化しないのだ。

農耕するには気候が多大な影響を及ぼすため、南北に広がる大陸では、農耕が浸透しにくかったのだ。

だから、南北アメリカ大陸やアフリカ大陸では、「いち早く定住型農耕民になる」ことができず、狩猟採集生活を余儀なくされ、世界征服アイテムをゲットすることが出来なかったのだ。

なお、現在アメリカ合衆国は世界的影響力が大きいが、これは移民が流入してからのことで、元々住んでいたのはインディアンであり、現在の彼らのステータスは低いと聞く。

 

 

拭い去ることのできない「奴隷」の存在


『銃・病原菌・鉄』では、環境が原因の根本的な人種間格差については説明されていたが、一歩進んだ現代社会の貧富の格差は触れられていなかった。

しかし私は、書籍内容と全く関係ないのにも関わらず、現代社会を生き抜くには「奴隷」を使って「麻薬」と作り続けなければならない、と思ったのだ。なぜなら、書籍に書かれていた人間の姿は、いままで学校で習った歴史に酷似する部分が多く、「人間の行動は繰り返される」ことを実感したからだ。

 

『銃・病原菌・鉄』で書かれていた格差の原因は、「環境」であると先に述べた。

たしかにそれも一因であるが、もっと大切なことは、「奴隷」の存在である。

定住型農耕民の中でも、ステータスの差はあったはずだ。そして上位を占める人は、間違いなく知識人と呼ばれる人だっただろう。身を粉にして食料を作るのではなく、それらを消費するかわりに他の価値を創造する人たちだ。このことは、新たに生み出されたアイデアやものは、非常に価値が高いことを示している。

ヨーロッパ諸国が世界を征服したのは、自分たちが高いステータスを得るために、狩猟採集民を奴隷化し、食料の生産をさせたからだ。もっと時代が進むと、奴隷は工場で働いたり、嗜好品を作るようになったりしたのかもしれない。

 

この現象は現代でも変わらないと思う。

財産や安定、安心、余裕を得ようとすると、必ず「奴隷」が必要なのだ。空いた時間を生きるためには、誰かに代わりに働いてもらわなければならないのだ。

 

そして、重要なことは「奴隷」は人間に限らないことだ。

古代人は家畜を生み出し、農業効率を飛躍的に向上させた。現代人も機械を生み出し、生産効率を一気に高めた。これからはコンピュータやAIが、今まで人間しか行うことのできなかった判断まで代わりに担ってくれるだろう。

 

 

さあ、「麻薬」をつくろう


では、私たちは「奴隷」を使って、何を作ればよいのだろうか?

私は「麻薬」だと思う。

 

生き延びるための「食料」は、現在ほとんどの工程を機械が担っている。また、品種改良と技術革新のおかげで、食料生産は国内に限らず海外から輸入することもできるようになった。すでに高効率で生産でき、人件費の高い日本では、食料生産という一手はビジネスの視点からは厳しいものがあると思う。

 

だから、「麻薬」を作らねばいけないのだ。

ここでいう「麻薬」とは、「人々が熱狂し、その存在を渇望するもの」のことである。「食料」のように、それがなければ生きていけない人がいるもののことだ。決して、身体に害を及ぼすもののことではない。

 

「麻薬」のように「どうしても欲しい」と思うものやサービスを作らなければ、あっという間に淘汰されてしまう。

なぜ何かを作る必要があるのか、と考える人もいるだろうが、それは「麻薬」を生み出した人でないと高い「価値」が生まれないからだ。ロイヤリティは生みの親にあって、手足となってそれを機械のように作る人や、マニュアルどおりに動く人は、「奴隷」とさして変わらない。また、二番煎じでは「価値」が生まれない。

 

「麻薬」というアイデアを生み出し、それを作るのに必要な労働を「奴隷」に任せることで、ビジネス社会を生き抜くことが出来る。

 

生き抜くために重要となる「麻薬」づくりは、私たち個人にとって最高の時代がやってきている。

というのも、インターネットの発達で、個人が情報を発信できるようになったからだ。

大企業が作った商品と個人が作った商品をネットで対等に見比べることができるようになった。莫大な広告をうたなくても、消費者に商品が届くようになったというのはとても良い兆しだ。

また、消費者が欲しいものに沿った商品を細かく探せるようになったため、非常にニッチな「麻薬」であっても、消費者に訴求できるようになった。

 

どうしても欲しいと思わせる「麻薬」を「奴隷」に頼って作ることが出来れば、私たちはビジネスの勝者になれるのだ。

 
記事:飛田弥咲(京都天狼院スタッフ)

 

「麻薬」づくりには、「0から1を生み出す能力」が欠かせない。

それらを消費者に届ける際には、自分を表現する能力も必要だろう。

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