チーム天狼院

彼氏、いずれは空気になる問題。


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記事:吉岡 莉奈(チーム天狼院)

 

《この話はフィクションです。》

 

「えー、今日もお疲れ様でした! 良いライブでした! ……それでは皆さん、乾杯!!!!」
「「かんぱーい!!」」

飲み放題付き、3時間3000円のチェーン居酒屋。
今日はサークルのライブ後恒例の打ち上げだ。

「ギター上手くなったねえ」
「本当!? そう言ってもらえるのが一番嬉しい~」

打ち上げ開始直後は先輩や後輩に乾杯をするための席移動や、ライブの感想を言い合うためとても騒がしい。
しかし、いつまでも楽しそうにしているのは1、2回生が多い。

私を含む3回生以上は騒ぐ体力も無くなり、飲み会中盤には自然と同回生女子で集まり話すことが多くなる。

 

「あー、疲れた。みんな、最近就活どう?」
私たちの最近の話題は専ら就活だ。

「うーん、なんか微妙。とりあえず合説に行ってるだけって感じ」
「分かる。行っても体力だけ消耗して、時間の無駄な気がするなあ」
「今まで赤とか緑の髪色で個性的な格好だった子でさえ、真っ黒のスーツに真っ黒の髪って、すごく異様だよね」

こんな風にお互いに不満を言い合うことで、漠然とした不安を解消している。

 

「……ていうかさあ、みんな何歳までに結婚したい?」

そして就活について一通り話した後、必ず辿り着く話題が【結婚】だ。
女子は就活で企業を探す際に、何歳まで働きたいか、子供が出来た後も復職するか、などについて考える。

だから、何歳までに結婚したいな、と考えるのは至極真っ当な流れである。
「えー。やっぱり三十歳までに子供は産みたいから……27、8歳までには結婚したいねえ」
「分かるー!!」

「私もそうだわ~」
「結婚する人とは最低2、3年は付き合いたいよね。……ていうことはさ、少なくとも25歳までにはそういう人と出会って、しかも付き合わなきゃダメじゃん! やばくない?」
「え、やばい! 今年で私たち22歳になるから、
あと3年しかないってこと!? 時間全然ないじゃん~」
「私のお母さんは、23歳で結婚して私を産んでるしなあ。
結婚なんてまだまだ先の話だと思っていたけど、案外そうでもないよね……」
「「はあ~……」」

この場の空気を色に例えるとしたら、グレーだ。それも、すっごく濃いやつ。

今にも雨が降り出しそうな、そんな重々しいグレー。

 

「そういえばさ、ミユって今の彼氏と付き合ってもうすぐ3年だよね? 結婚とか考えるの? アイコもなんだかんだ2年半付き合ってるよね」
「そうだね。お互い良いところも悪いところも知ってるし、話も一番合うし……流石に3年付き合うと考えるなあ。アイコは?」
「うん。私も彼氏と結婚についてよく話すよ」

いいなあ。もう二人とも人生のパートナーに出会ってるんだ。
もう結婚相手に悩むことないじゃん。羨ましい。

そう思っていた矢先、

「でもねー、早く出会いすぎた感はある」
「え、ミユ、それすごく分かるわ!」
と二人で意気投合し始めたのだ。

「早く出会いすぎた感って、どういうこと? いいじゃん。早く出会えばその分、より仲が深められるんだから」
全く意味が分からない、と疑問に思った私は、すかさず二人に聞いてみる。

「なんていうかね、段々、家族になるんだよね。存在が。

何でも話せて、一緒にいて一番落ち着く人だし、自分の弱いところも見せられる。

とても大切な存在なんだけど……もう、家族と変わらないんだよ。ドキドキなんてしないの。

言ってしまえば、お父さんみたいな存在なんだよね」

「そうそう。新鮮さ、ゼロ。安心感だけはあるんだよなあ。
でも、まだ21歳じゃん? これから社会人になって環境が変わると、今までのように上手くいく保証はない。

それに、もし今の彼氏と結婚したら、ドキドキしない状態がこれから一生続くんだよ? 」

「遊んで色々と経験した後、今の人と出会いたかったなあ。
結婚適齢期の3年くらい前に。出会うのがちょっと早すぎたわ」

 

……羨ましいな。
二人の愚痴を一通り聞いた後も、やはり私は二人が羨ましかった。

 

これが、きっと大人の恋愛なのだろう。
昔は大人の恋愛って、二人で素敵なバーに行って、毎日お互いにドキドキして、たまに不安になって

……キラキラして少し苦いものだと思っていた。
でも、きっとそれは違う。バーに行く必要はなくて、ただ二人で何の変哲も無い道を歩くだけでとても幸せで、ドキドキはしないけど他の誰といるよりも安心する存在。
そういう二人にとっての恋人は、普段は居なくても平気だと思っているけど、いざ居なくなると苦しい。

そんな空気みたいな存在なのだろうな。

 

気が付けば、さっきまで散々文句を言っていたミユとアイコの惚気タイムになっていた。
結局、今の彼といるのが幸せなんじゃん、と心の中で密かに突っ込みを入れた。

 

「失礼いたします。お客様、ドリンクのラストオーダーのお時間です」

もうそんな時間か。
いつか、私にも空気みたいな恋人が出来るといいな。
グラスに残ったビールを飲み干しながら、そんなことを考えていた。

 

 

***

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