チーム天狼院

お母さんごめんなさい。わたし、脱いじゃった。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:田岡尚子(チーム天狼院)
 
 
「くそー! なんでみんな、そんなに綺麗なんだ!」
天狼院書店に置いてある、なんともSEXYで、思わず二度見してしまうようなあのチラシを、みなさんは目にしたことがあるだろうか。
「READING LIFE」のご提供をするというのがコンセプトで、本の先の体験を提供するため、様々なゼミやイベントを行っている。わたしも、ライティング・ゼミやフォト系の講座に参加して、日々色々なことを学んでいる最中だ。
にしても。それにしても。
「秘めフォト」って、何?
SEXYな写真を撮ってもらえる。それだけ?
えっ、カメラマン男性だし、しかも、天狼院書店の店主の三浦さん?
いやいやいやいや、危なすぎる。これ、危ないやつだ。お母さんにバレたら、絶対怒られる。
 
「やばい、昨日また最高記録出したよ」
三浦さんとお会いしてまだ2回目のとき、そう言われて、一体何のことを言っているのか全くわからなかった。ぽかーんとしているわたしに向かってパソコンの画面を向ける三浦さん。
「うわぁ……」
綺麗。画面に手を伸ばして、今にも触れたくなるような肌に、透き通っている瞳に、目を奪われた。表情もポージングも、さすがモデルさんだ。なんて思っていると、
「この方、モデルさんじゃないからね。お客さんだからね」
えっ? 素人の方で、しかもお客さん? そんなこと言われたら、わたしでもできそう? とか、思っちゃうじゃん!
「いいなぁ」
わたしも、こんな風に撮ってもらいたい。かわいくなりたい。綺麗になりたい。女性らしく、美しくなりたい。心の奥底に隠れていた欲求が、じわじわと滲み出てきた。
「わたしも撮ってほしいです!」
 
「いや、何言ってるんだ」
中学生のときのわたしが見ていたら、きっとこう言うはず。
だって、もう、諦めていた。高校2年生ぐらいのときに、もう、やっと諦めた。
「あぁ、目がぱっちり二重で、鼻がすらっと高かったらなぁ」
小学生のとき、目が悪くなってメガネを始めてつくろうとしたときぐらいから、人より自分の鼻が低いことに気づいて。中学生のときに、周りの女の子たちに二重の子が多くて、自分のびくともしない一重がコンプレックスになった。毎日寝る前にアイプチをしたり、セロテープを貼って二重のクセをつけようとしたりしたけど、22歳になった今でもわたしのまぶたはびくともしていない。
顔面コンプレックス。そう言ってもいいほど自分の顔は好きじゃなかった。だから、めちゃくちゃ美人で綺麗な女優さん、モデルさんが、実は整形だった、なんて記事を見るのが大好きだった。「だよね、やっぱ、最初から綺麗な人なんて、いないよね」そう、自分に言い聞かせることができるからだ。
高校生ぐらいになって、コンタクトにして、髪型も変えたりして、だんだんコンプレックスがなくなっていた。大学生にもなれば、化粧でなんとかなるし、この顔で生きて行こうってだんだん決心がついてきた。
 
そんな中で、出会ってしまった、「秘めフォト」。
そもそもこのくびれもないウエストで、大根みたいな足で、SEXYとかいう単語、わたしから一番かけ離れてる。色気があるねなんて言われたことも無いし。カメラマンの人にも、申し訳ない。わたしみたいなド素人は、おとなしくしておこう。
中学のときだったら、そう、諦めていたかもしれない。でも、もう22歳だし。そろそろ色気も欲しいし。さっきのお客さんも、素人なんだよね。なら、ド素人として、負けてられない!
「わたしも撮ってほしいです!」
それから3カ月の間で、もう4回も秘めフォトに参加してしまった。
完全に虜になってしまった。
SEXYな写真を撮る、ただそれだけじゃない。
まだ実は鍵をかけていた扉を開けてくれたのが、この秘めフォトだった。
撮れば撮るほど、まだ知らない、新しい自分に出会う。22年間生きてきて、自分の体なんて、顔なんて、嫌というほど見てきたし、一番見ていたくないものだったけど。
何も飾らない、むしろ開放した自分の姿が、そこにはあって。
今まで散々、飾ることで自分の嫌なところを隠し続けていたのに。ドキドキした。自分の写真を見て、頬が火照る感じがした。
これだ。まだ開けていない扉って、これのことだったんだ。そうか、それなら、欲張りだから、どうせなら全部開けてしまいたい。あぁ、どれだけ夢中にさせたら、気が済むんだ!
 
あ、でも、このこと、お母さんには秘密にしておかなきゃな。
綺麗になってしまったら、困っちゃうから。
 
 

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