fbpx
チーム天狼院

入院したら、心のバグに見舞われた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:戸倉(チーム天狼院)

ガタガタガタッ

6月18日、午前8時2分前。
ベッドの揺れに、いつもより早く起こされた朝。
少しまだバクバクする心臓をごまかすようにシャワーを浴びていた私は、突然殴られるような鈍い内臓の痛みに襲われた。
えっ、二日酔い? いや、深夜2時まで飲んでいたのは一昨日だから流石にそれはない。全く心当たりがない。
困惑しながらとりあえず浴室を出たが、痛みは増すばかり。ちょうど休みの日だし、と私の定番適当コーデであるグリーンのロンTをひっつかんで着て、自転車をこいで近くの内科に向かう。
「ひょっとしたら虫垂炎(盲腸)かもね」
触診した医者先生が言った。うーん、それは困る、手術とか大変そうだ。
「大きい病院行ってCT撮ってもらって~」
紹介状をもらって病院を出た。紹介先の病院は2km先。普通ならタクシーを呼ぶのだが、あいにくその日は地震直後。駅にはタクシー待ちの大行列ができているはずで、少し外れの方にあたるここにはあいにく来てくれそうにないし、待っている精神的余裕もない。バスに揺られると余計気分が悪くなりそうだし、救急車を呼ぶほど大事なのかもよくわからない。
腹痛で回らない思考の結果、私は2km自転車を漕いだ。必死だった。後から考えれば救急車を呼んでもよかった(笑)。
病院にたどり着き、待ち合いしている間もどんどん酷くなっていく腹痛。冷や汗が止まらず、立ち上がるとめまいがしてまともに歩けない。気が付けば車いすに乗せられていた。
検査を色々回され、夕方になってやっと、
「虫垂炎でした」
診断が下りた。そのままトントン拍子に外科に回され、
「切っちゃえ」
「ウッス」
とあっさり緊急手術決定。
夜8時には全身麻酔されて意識とサヨウナラした。
ここまではまあ、よかったのだ(運は悪いが)。

「とにかく体がだるいなー。何もする気起きないや」
そんなことを思いながらぼーっとして、内臓の癒着を防ぐために病院内を歩いてはまたぼーっとして。
そんな調子で入院3日目。異変は突然起こった。
食事をとっていたら、あごが右にずれたのだ。
「えっ、なんでなんで。何も変なことしてないのに。えっえっ」
自分の意思では全くどうにもならず、手で元の位置に戻そうとしても動かない。時間がたって元の位置に戻ったと思ったら、逆側にずれたりする。意外とあごがずれただけでも大事で、歯がかみ合わないので食事はできないし、口が上手く開かないのでしゃべるのもままならず、ベッドに横になって虚空を見つめるしかなかった。
それからも、ただ横になっているだけなのに突然あごがずれる、その繰り返し。あげくの果てには舌が出っぱなしになったり、目が上を向いて戻ってこなくなったり。全部私の意思なんかじゃ勿論ない。傍から見たら何かにとり憑かれているかのように見えたかもしれないし、実際母親は怖がって若干ヒステリーっぽくなっていた。申し訳ない。
重要なのは、これらの怪奇(?)現象がすべて原因不明だった点だ。だって貴方、私の入院理由を思い出してほしい。盲腸だ。お腹が痛くなったりするのはわかるが、あごがずれたり舌が出しっぱなしになったりするはずないのだ。
看護師さんや医者の先生方に相談するも、誰も原因に心当たりがなく、結局私のところにいらっしゃったのは「こころの医療科」の先生だった。盲腸ちゃうんか。
診察中も舌が出しっぱなしの私を横目に、母親から症状を聞いた先生は
「ストレスかもですね」
そう言った。マジか。
いや、確かに朝から地震に遭ったり、死にそうになりながら自転車で病院に来たり、色々無茶はした。でも、入院中はごく普通に過ごしていたはずなのだ。そんなに精神的につらいなんてことはない。傍から見れば気がおかしくなったように見えているかもしれないが、私のアタマはちゃんと働いているし、ストレスなんて感じていなかったのだ。
困惑しながらも、抗不安薬を受け取って飲んだ。
すると、大体治った。どうやら本当にストレスが原因だったらしい。

そんなこんなでその後退院するまでの2日間、ベッドに横になって虚空を見つめていたときにふっと思ったことがある。

アタマと心と身体の関係性は、ゲームのプレイヤーと本体、プレイ画面の関係性みたいにイメージできる。アタマがプレイヤーで、どこかの一室でコントローラーを握ってプレイ画面上で動く身体を操作している。
普段はアタマが理性をもってスムーズに身体を動かしているが、ストレスや摩耗でゲーム本体である心にガタがくると、コントローラーを動かしてもフリーズしたりバグが起きたりして、思うように動かなくなってくる。
普通はすぐに疲れに気づいて休んだりする等修正可能な範囲のものだが、今回の私の場合は過度な負荷が急に心にかかってしまい、いくら頭脳が理性的にコントローラーのボタンを操作しても、全く画面に反映されなくなってしまったのだ。残されたのは、あごがずれて舌が出しっぱなしのゲーム画面に対して、一人脳内部屋でコントローラーを必死に連打して、「私は正気なんだ、ちゃんとここで考えているんだ」と叫ぶ私の理性だけ。

心は当の私が気が付かぬ間に傷ついて、すり減って、限界を迎えることがあるのだ。
だから、あんまり無理ばっかりしちゃいけない。時にはだら~んと寝っ転がってリラックスする時間も必要なのだ。ずっと頑張り続けることは、アタマで考えれば不可能ではないけれど、それ相応に身体だけでなく心にも負担をかけている。身体に異変が出たときでは、もう遅いのだ。

いつも頑張っているみなさん、どうかたまにはご自愛くださいね。
あなたは、使い捨てできないから。

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。
「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《7/29までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」
〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F
東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」
〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN
〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】
天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。



関連記事