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【グループディスカッションって就活に必要?】ビジネスって多数決じゃうまくいかない《川代ノート》


リクルートスーツ 新入社員 写真
グループディスカッションってもんがものすごく苦手だ。

今はもうやらなくてよくなったのでホッとしているのだが、就活時はそれはもうイヤでイヤで仕方なかった。

グループディスカッションを経験されたことのない方のために一応説明しておくと、就職試験のための一つのステップである。たいていは面接の前のふるい落としのためにやるのだが、集団面接の代わりにやるところ、最終面接の直前にやるところなど会社によってさまざま。だいたいは4、5人のグループに分かれ、会社に与えられたミッションを制限時間内に達成するためにグループで話し合い、それを試験監督がはたから観察して、適合性を見るというもの。

何がイヤって、選考だからみんな内心ギスギスして自分だけは絶対受かりたいって思ってるくせに外面はよくしなきゃいけないことである。グループでやることによってチームワークを図られるわけだから、みんな内心は「いや、その案は絶対ない」とか思ってても、「うん、いいねいいね〜!そしたら、こっちの案と合わせたらすごくよくない?」などと思ってもないわざとらしい褒め言葉を無理やりくっつけて自分の持っていきたい方向に修正し合うという、カイジやライアーゲームさながらの心理戦が繰り広げられるのである。

そして私はこのグループディスカッションが非常に苦手。そもそもミッションを出されたときに(たいてい「あなたたちは新規事業企画プロジェクトチームです。売り上げを出すための戦略を考えてください」とかで、最後には会社側にプレゼンしなければならない)、どういう案がいいのか全然浮かばない。もともと頭の回転がすごく遅いので、何か重要なことを考えるときは一人でカフェにこもってノートに書きながらでないとうまく考えられないのだ。その場で限られた時間でいい案を思いつけと言われても無理。でもやっぱり私もなんとかそのグループディスカッションを突破したいから、必死に無い知恵を絞りつくして発言するのだが、そうしているうちに焦りすぎてチームの輪を乱してしまうのである。グループディスカッションを重ねるごとにその事実に気づいて、結局みんなの話をきいてギスギスした空気を調整する側に落ち着いたが、それまでは葛藤があったものだ。やっぱりリーダー役がいいんじゃないかと思って「愛されるリーダーのコツ」なる本を買ってみたり、ロジカルシンキングの勉強をしてみたり、涙ぐましい努力をした。ある程度頑張ったところで「あ、やっぱりリーダー無理だわ、向いてないわ」と悟ったが。

頭がキレッキレの広告代理店勤務の先輩に、「どうしたらグルディスうまくいきますかねぇ」と相談したら、「簡単だよ。誘導すればいいだけの話。それぞれの意見のなかで、自分が持っていきたい方向の要素だけを抽出すればいいんだよ。そうすればみんなの意見だって思わせながら最終的には自分の結論に持ってけるでしょ?」
そんな器用なことできるか!
内心そう思ったが、今まで出会ったグルディス覇者たちはたしかにそんな感じで誘導するのがうまかったような気がする。こんなことができなければ社会人としてうまくやっていけないのか…と、冴えない自分を恨んだけれどまぁ事実といえば事実である。

とにかく次の選考はグループディスカッションですと連絡がくれば前日は眠れないほど緊張してしまうくらい苦手だった。グループディスカッションに参加してるときの自分が好きになれなかった。チームのためには本心じゃないことを言い、嫌な意見でも賛同し、ひとつの結論を出さなければならなかった。それに全く納得できなかったとしても。時間は限られているし、空気をぶち壊せば落ちる可能性は高くなる。別の意見があっても周囲を納得させられなければ時間の無駄になるだけだ。

でも社会に出たらそれこそ社会人生活そのものがライアーゲームかもしれない。そんなもんかもしれない。けれどなんとなくあんまり人を操ることとか考えたくないなぁと思ってしまった。甘い考えだろうか。

ところでそんな大の苦手のグループディスカッションであったが、そのなかでも収穫は一応あった。ビジネスというのは多数決じゃうまくいかないということを学んだのである。

グループディスカッションではチームがうまく最終的な結論に辿り着くために多数決に頼りがちだが、終わってみて社員のコメントを聞くと、途中で却下された一人の意見の方がよかった、ということが意外とある。結構ある。冷静に客観視できていた唯一のメンバーが、「でも、それってこういう矛盾があるよ。他の案の方がいいんじゃないかな?」と提案してみても、みんなが別の意見に執着していれば、あるいはその発言者が説得させられる話し方ができなければ、よく検討されもせず簡単に却下される。そしてその発言者は強く反論が出来ない。何故ならあまり言い過ぎれば「空気クラッシャー」のレッテルを貼られ落とされる可能性が随分高くなるからだ。その強く推した意見を社員が評価してくれるかどうか保証もないし、結局はみんなの意見に賛同することになる。

「説得力を鍛える」「他人を思い通りに動かす力」なんて本が最近よく出ているが本当にビジネスではそれが鍵で、必ずしも質の高いものが選ばれるとは限らない。そもそもどの案が一番いいか、なんて実行してみるまではわからない。何も保証はないのだ。だったら一人で反対意見を出して大失敗するよりは、みんなの意見に賛同しておいた方がずっとリスクも責任も減る。結局は説得できる人間がビジネスでは勝つ。そういう人の方がよくよく考えていて、頭もキレるっていう場合もあるしね・・・。

でも実際天狼院で働いてみると、「でも」は言わない、とかぐいぐい話をすすめない、とかチームワークを大切にすることを意識して、とかの「グルディステクニック」は一切通用しない。多数決も通用しない。天狼院はある意味戦場にいる。チームワーク云々言っている場合ではない。白ひげとかシャンクスとかハンコックとかの猛者だらけのグランドラインに小さい船と数人の船員だけで飛び出したルフィたちみたいなもので、誰がリーダーやるかとか、どうすれば自分が周りを説得できるかとか考えている場合じゃない。否応なしに一致団結せざるを得ない、とも言えるかもしれない。それはルフィたりえる船長の三浦さんがいるからこそ実現できていることだが、とにかく多数決なんかじゃうまくいかないような気がするのである。

実際に社会に出たこともない大学四年のあまちゃんが言っている戯言でしかないが、今まで学校では通用してきた多数決なんて信用できるものじゃないのだ。
民主主義の世の中といえども「みんなが言っていることが正しい」とは限らない。それに「みんなが正しいと思っていることをすることがいつも正しい」とは限らない。ときと場合によっては正も負も一夜にして逆転することもありうる。小手先ではうまくいかないのだ、世の中って。ビジネスって。

グループディスカッションは確かに嫌いだったし苦手ではあったが、ああいうやり方もある意味では使える可能性もあるのだなと思う。だから否定するつもりはないけれど、実際にグループディスカッションだけを要領よく済ませられるだけの人間がどれだけいるのだろうか。そしてじっくり取り組めば必ず結果を出せるけれど、どうしてもグループディスカッションの場ではうまく発言できない誠実な人間がどれだけいるだろう。きっとそういう面も見通せるだけの千里眼を会社側も持っているのだろうけれど、そうやってひょいひょい、と世渡りしていく「就活上手」たちが羨ましいというかうらめしいというか。
ただきっとそう見えるだけで彼らは私には想像もつかないような努力をしているのだろう。彼らが羨ましいのは確かだが、私はどうしてもそのやり方ではできない。だから、今天狼院で働いているうちは、いわゆるテクニックよりも、野性的な感覚を身につけたいと思った。

といってもまあ、全部ただの言いわけですけどね。

グループディスカッションが苦手な私の、負け犬の遠吠えでございました。わおーん。

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2014-08-29 | Posted in チーム天狼院, 記事

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