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【映画『LIFE!』感想】人は、人生を変えるためには旅に出なければならないのだろうか?《海鈴のネタバレ暴走シリーズ》


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天狼院スタッフ海鈴でございます。

今更ながら、映画「LIFE!」を観ました!

この映画を観る前から、予告編をちらっと目にする機会が何度かあったのですが、そのプロモーションで感じた、私の映画のイメージはこうでした。

 

ぐちゃぐちゃ悩んでいる暇があるのなら、やってみろ!

そうすることで初めて見えてくる風景は、思いがけないほど美しく、人生を充実させてくれるものだ。

 

実際、そういったメッセージでのプロモーションが際立っているように感じましたし、普段、頭で考えてもなかなか実行に移すことができない面がある私は、映画の伝えているメッセージに共感して、「これは観るっきゃない!」と脳内リストに加えたものでした。

しかし、実際に観てみるとこの映画には、そういった「一歩踏み出す勇気」を伝えていることとは別に、主人公ウォルターが大事にしていたもう一つの「大切なこと」があるように思うのです。

 

ネタバレありますので、まだ観ていない方は観覧注意でございます。

 

 

 

 

 

まず、『LIFE』誌のスローガンが、まったくもって素晴らしいものでした。

最終号のフィルムを探しにウォルターが旅立つシーンでも、このスローガンをバックグラウンドに、ニクい演出が入ります。

 

To see the world,

Things dangerous to come to,

To see behind walls,

To draw closer,

To find each other and to feel.

That is the purpose of life.

 

世界を見よう

危険でも立ち向かおう

壁の裏側を覗こう

もっと近づこう

もっとお互いを知ろう

そして感じよう

それが人生の目的だから

 

歴代の偉人が載っている表紙ポスターを背にしながらウォルターが走り出す一連の流れには、「私もこうしちゃいられない!」と闘志を焚き付けられましたし、

泥酔パイロットのヘリコプターに乗ることを躊躇する今までの臆病な自分を振り払い、目の前のチャンスにしがみつく姿には、勇気をもらいました。

アイスランドの大自然の中、ただ一本、長く続く道路をスケートボードで滑走するシーンは本当に爽快で、果敢に挑戦することでしか味わえない人生の素晴らしさがある、というメッセージは、がつーん、と響いてきました。

このスローガンこそ、映画『LIFE!』が大々的に伝えている、挑戦することの大切さを表現しつくした一説だと思います。

 

一方で、私はずっと気になっていたことがありました。

「写真家であり、冒険家でもあるショーンが『LIFE』誌の最終号の表紙のために撮ったフィルムには、一体なにが写っているのか。」

映画を観ていて、序盤から、頭の隅を離れない疑問です。

なぜなら、そのフィルムに収められているものは、ショーンが「人生の神髄」と表現するものなんですから。

 

期待を最後まで引っ張っておきながら、実はそのフィルムには何も写っていなくて、「お前の『人生の神髄』は、ちゃんとお前自身の心の中にあるじゃないか」とかいう展開にならないといいなあ・・・なんて思いながら見ておりましたが、実際には、ちゃんとフィルムには現実の1シーンが収められていて本当よかった。笑

しかし、『人生の神髄』と呼ばれる一枚をあの写真にしたシナリオには、私、とても心を震わされました。

劇中でも、何度かショーンが「ウォルターの仕事を認めている」ということを示すシーンがありましたが、まさか最終号の表紙のために撮っていたのが、仕事に打ち込むウォルターの姿だったとは。

 

ウォルターは、確かに、妄想が得意で、現実にはどこか抜けている男だったかもしれません。頭の中では勇敢なヒーローだったとしても、いざ現実世界で重要な場面に出くわしたら、一歩踏み出すことができない。それを、25番フィルムがなくなってしまったことをキッカケに、今までの自分では考えられないような冒険をし、自信にしていきます。

ですが、そもそもウォルターが冒険に出る前から、ショーンは、社内では冴えないポジションであるウォルターの仕事ぶりを認め、『LIFE』最終号の表紙に彼を起用する、と決めていたわけです。

さらに、それまでずっと行動に移せなかったウォルターが、勇気を持って踏み出すことができたのは、彼の使命感にあると思うのです。なんとしてでも『LIFE』最終号の表紙を、最高のカメラマンであるショーンが指名した「25番フィルム」で飾らなければならない。何があっても。その強い気持ちが背中を押したのだと思います。それだけ彼が『LIFE』誌に誇りを持ち、仕事を愛していたからだと思うのです。

ウォルターの仕事場は地下の暗室ですし、表向きに華やかなものではなかったかもしれません。けれども、ウォルターは、コツコツと目の前の仕事を愚直にやり続けてきました。

どう評価されるかなんて考えずに、ただ丁寧にやり続けていたからこそ、結果的に評価されたのです。目立たないことだったとしても、必ず、見ている人は見てくれているのです。冒険に出る前のウォルター自身にもスポットライトが当たるところが、この映画の素敵なところだと思います。

 

「とりあえず、旅に出て壮大な体験をしたら自分変わりました、いえーい!」的な一面だけでなく、変わる前の自分にだって、いいところがあるんじゃないか。そう思います。旅に出たとしても、それはひとつのキッカケに過ぎません。そこから持ち帰ったものを頼りに、どう日常をコツコツ積み重ねていくかが重要だと。

冒険に行くにしろ、行かないにしろ、目の前の日常をもっと愛そう。目の前のことに一生懸命になろう。

心のどこかで分かってはいるものの、なかなか腑に落ちてこなかったことが、やっと、しっかり落ちるべき場所に落ちたような気がします。

これだから、映画って素敵なんですね。

 


 

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