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チーム天狼院

「働き方改革」が叫ばれる現代で、何を信じて生きていくのか。《スタッフ平野の備忘録/2020年度4月入社スタッフ大募集》


記事:平野謙治(チーム天狼院)
 
「理想の仕事」。
そう聞いて、思い浮かべるものは何だろう。

まず、土日休めは、マストで。やっぱり友達と、遊びたいもんね。
それから残業もそんなになくて。年に何回かは長期休暇も取れる。
給料は平均以上。あとは、社員の人柄が良いこと。

まだ大学生だった頃。就職活動を始めた、あの時。
ちょうど3年前の自分は、確かにそんな風に考えていたんだ。

幸い、就活当時は売り手市場。どこの企業も、人が不足していた。
それでも、選考は簡単ではなかった。だけどなんとかコツを掴んで、自分をアピールできるようになった。
そうして無事、手にしたんだ。思い描いた条件の、仕事を。

希望を、胸に入社する。ワークライフバランスをきっちり保って、プライベートも充実している社会人に、僕はなる。
そう、思っていたんだ。

最初のうちは、良かった。いつも早く帰れるし、土日は休める。
なるべく友人と予定を合わせ、遊びの予定を入れた。週末を楽しみにしながら、平日は我慢して乗り切る。その、サイクル。

だけど気づけば、そんな日々に退屈を覚える自分が、そこにはいた。

早く家に帰っても、別にやることなんか何もなかった。
なんとなくYouTubeを観て。「いいよなあ。こいつらは。やりたいことやってて」とか、ベッドの上でボヤいてる。

違うだろ。そうじゃない。YouTuberだって、努力してんだ。「やりたいこと」で、食っていくために。
「どうやったらもっと観てもらえるだろうか」。「満足してもらえるだろうか」。そんな試行錯誤の日々。そうやって必死に、生きているんだ。

一方で、お前はどうなんだ?
明確な意志を持って、働くことができているのか?

その答えはもう、明らかだった。
一日に8時間ちょっと。週にして45時間前後。楽ではない、だけど決して辛くもない、誰でもできる仕事を、ひたすらこなしている。
それこそ、小さな歯車のように。ただ全体の流れを、周囲の歯車の動きを、妨げないように、一定のペースでくるくると回り続ける。
そこに創意工夫などはなく。主体性なんかは存在せず。ただただ死んだ目で、作業を繰り返している。

業務中、頭の中で何度も唱える。「あと何時間経てば定時」。「あと何日で土曜日」。今の自分にとって、それ以外生きがいはないから。
そんな毎日に、虚しさを覚えるようになっていた。土日だけを楽しみに生きるのか。なら平日働いている間のお前は、何なんだ?
平日日中の、自分は、「生きている」と言えるのか?

オフィスにいたら、なんだか息苦しくなって、お手洗いへと向かった。
そして鏡を、見た。そこには写っていたんだ。

上下5万のスーツを着た、つまらない大人の姿が。

吐き気がした。
あれ、なんでだっけ? どうしてこうなったんだ?
お前は。何を求めて、ここに来たんだ?

十分な休みと、十分な給与。素晴らしい環境に、同僚。
欲しいものが、全部手に入ったよ。
偉い偉い。上手に、就職活動できたね。

それなのになんで、そんなにつまらなそうなの? これ以上、何を贅沢言ってるの?

どうして自分のことが、好きになれないの?
 
 
 
なかなか眠れない日が、続いた。やっと眠りについても、すぐに目を覚ます。そんなことも、あった。
眠りが覚めて、時計を見る。深夜3時。ほら。まただ。また、起きてしまった。

ああ。もう、いいや。眠るのを諦めて、思考を巡らす。
思い出すのは、就活生だったあの頃のこと。
当時、僕が掲げた会社選びの基準。果たしてそれは、僕の内側から湧き出てきた、純粋な希望だったのだろうか?

まだ記憶に新しい、ある大手企業で起きた事件。新人女性社員の、過労による自殺。
世間に与えた影響は、多大なものがあった。

ブラック企業たちは、激しく糾弾された。「働き方改革」が、叫ばれるようになった。
そうして僕らは、自然に思うようになった。「激しく働いてはいけない」、と。「働くのも、ほどほどにするべき」、と。

そのすべてが、間違ってはいない。
それは、そうだ。仕事が人を、殺すようなことがあってはいけない。

しかし同時に、そうして創られた空気は、いささか過剰だったとも同時に思うんだ。
まるで「働くこと」そのものが、悪であるかのような。そんな、雰囲気が漂っていた。
それはすぐに、僕らのことを支配した。知らず知らずのうちに、強い影響を受けて。「労働」に対して、アレルギーのような反応を見せるようになったんだ。

それでなくても、1995年生まれ24歳の僕は、ゆとり世代のど真ん中。
「泥臭く、全力で」なんて、時代遅れだよねって風潮が、色濃くある。
必死にやるのなんてダサい。そうじゃなくて、要領良く、スマートに。そういう価値観を以ってして、集団に馴染んできた。

そうして描いた、「理想の仕事」。その時は確かに、自分で考えたなりの結論として、出したものだと思う。
だけどそれは、頭で、理性で考えただけだった。全体の空気の中から、周囲から浮かないように、妥当な解を求めただけだった。

そこには、伴っていなかったんだ。
本当の、心が。

ああ。それなら僕は、本当はどうしたかったんだっけ?
どんな風に、働きたかったんだっけ?

気づいたんだ。答えはもう、胸の中にあった。
子供の頃に憧れた、働く大人。カッコいいと思った、あの姿。

それはいつだって、全力の人だ。
必死に、だけどワクワクしながら、夢中で何かを追いかけている人だ。

そんな大人になりたいと、思った。
全力で、働いてみたい。日々突っ走りながら、その一歩一歩が大きな目標へと繋がっているような。そんな日々を、過ごしてみたい。

誰かの役に、立てる人になりたい。社会に価値を、与えられる人になりたい。
そうすることで僕は初めて、自分自身のことを肯定できるんだ。

そうして僕は、新卒で入った会社を辞めた。
誤解がないように、言っておく。その会社が、悪かったわけじゃない。その職場が、悪かったわけじゃない。
ただそこで、輝けなかった自分がいただけなんだ。

理性的な条件よりも、本能を信じたいと思った。せっかく、週に5日も使うのだから。
ワクワクしながら、夢中になれる環境を追い求めたんだ。

そうして僕は、天狼院書店のスタッフになった。
出逢った時の、あの日の高鳴りを信じて。

多様化が加速する現代で、「働き方改革」が叫ばれる現代で、何を選択し、どう生きるのか。

そこには、正解なんかない。
だから僕は、自分が信じたいものを、信じようと思った。たとえそれが、世間の風向きと逆であったとしても。
「それでいい」と、胸を張って生きていく。恐れながらも、そう決めたんだ。
 
 
 
天狼院に入社してから、8ヶ月が経った。不思議な感覚が、ずっと続いている。
一日が、一週間が、あっという間に過ぎていく。それなのに、入社前のことは何年も前の、遠い昔のことのように感じる。
多分それは、忙しさのせい。
でも振り返ってみれば、そういった日々こそを「充実している」と言うのではないかと思う。

正直、楽じゃない。
当然だ。出版不況と言われる時代に、僕らは挑んでいる。
「本」だけでなく、その先にある「体験」をも届けるという、そのコンセプトの下で。

まだまだ、こんなもんじゃないんだ。
見たい景色がある。辿り着きたい場所がある。やりたいことがある。
天狼院という、この場所で。チームで。達成したいんだ。

全力が、許される環境。それは、他のどんな条件よりも、価値があるように思える。
全力で価値の提供をして、誰かの役に立つ。そうすることで初めて、「社会人」としての自分を肯定できる。

だけどあくまで、さっき言った通り。働き方に、正解なんてないんだ。
この考えを、誰かに押し付ける気はない。

だけどさ。天狼院という場所に、
前代未聞のこの挑戦に、
「本」の先にある「体験」を届けるという、その使命に。
あの日の僕と同じように、高鳴りを感じたのであれば。

向かい風の中を、一緒に走りたい。
それができたのなら、嬉しく思う。
 
 
 

◽︎平野謙治(チーム天狼院)
東京天狼院スタッフ。
1995年生まれ24歳。千葉県出身。
早稲田大学卒業後、広告会社に入社。2年目に退職し、2019年7月から天狼院スタッフに転身。
2019年2月開講のライティング・ゼミを受講。16週間で15作品がメディアグランプリに掲載される。
『母親の死が教えてくれた』、『苦しんでいるあなたは、ひとりじゃない。』の2作品でメディアグランプリ1位を獲得する。
6月から、 READING LIFE編集部ライターズ倶楽部所属。
初回投稿作品『退屈という毒に対する特効薬』で、週刊READING LIFEデビューを果たす。

 
 
 

□募集要項


募集職級:正社員候補/契約社員/2022年4月入社新卒正社員候補/中途入社/アルバイト
業務内容
①店舗オペレーション・スタッフ
②編集本部候補スタッフ
③経理・総務スタッフ
その他、天狼院書店および運営会社が関わるすべての業務
*編集本部候補スタッフは、基本的には店舗オペレーション・スタッフの中から職能および適正がある方を選抜するが、すでに経験がある中途入社の場合はこの限りではない。
応募資格
・正社員候補/2022年4月入社新卒正社員候補は、4年制大学卒(見込みも含む)以上が望ましい
・業務に支障がないレベルでパソコン等を扱える方
勤務時間:配属部署の規定による
*店舗オペレーション・スタッフは営業時間に応じたシフトによる契約シフト制
待遇:当社規定(グレード制/職級制度)による
*基本給+インセンティブ給(インセンティブ給与は年に2回のボーナスの際に支給)+諸手当
*正社員・契約社員社保完備
*交通費は1回往復500円まで月に20,000円まで支給
*交通機関を使わずに10分以内の距離に住めば、住宅手当支給(正社員・契約社員のみ)
*各職級、昇給あり
*アルバイトは8週間毎に昇給の可能性あり(*昇時給上限:基本時給+250円)
*読書手当あり
試用期間
①正社員になることを前提に契約社員として新たに採用した者については、採用した日から6か月間(契約期間)を実質的な試用期間とする。
②アルバイトの試用期間は3ヶ月とする。
*試用期間は設けない場合がある。
勤務地:全国の天狼院書店および編集を担う者は任意の場

〔店舗オペレーション・スタッフ募集店舗〕
天狼院書店「東京天狼院」(池袋)
天狼院書店「STYLE for Biz」(Esola店/池袋)
シアターカフェ天狼院(WACCA店/池袋)
天狼院書店プレイアトレ土浦店(茨城県土浦市)
天狼院書店「福岡天狼院」(福岡)
天狼院書店「京都天狼院」(京都)
*東京池袋は基本的に全店舗兼務
*正社員は転勤あり
*新店舗立ち上げの担当をしていただく場合もございます

特記事項
面接時および契約時に申告した雇用契約の条件に反する場合は、直ちに試用期間を打ち切り、解雇するものとする。
(例:土日出勤できるとの履歴書への記載、面接時および契約時の申告があったにも関わらず、守られなかった場合)
*店舗オペレーション・スタッフの場合、固定シフトの空きを埋められるかどうかが、採用の大きな判断基準になります。勤務可能な時間帯は、正直に申告してください。または、勤務できない可能性がある曜日、時間帯は勤務できる時間帯として申告しないでください。
*面接を合格し、契約に進んだとしても、契約時と面接時の申告に相違がある場合は、契約を見送ります。

□応募の流れ〔エントリー方式〕


1.「お問い合わせフォーム」にアクセス
・必要事項の記入
・題名:スタッフ募集への応募
・本文:簡単な履歴と希望職級(例:正社員候補/アルバイト)、希望勤務地
上記、記入の上、送信してください。
*数日以内に、担当者から折返し、メールをお送りします。

2.選考書類の送付 *担当者からのメールの返信に「添付」すること
① 履歴書(証明写真添付)のPDF *必ずPDFファイル形式
② 【社員希望者のみ】志望動機2,000字程度(Wordファイル) *PDFファイルでも可※アルバイトスタッフ希望の方に関しては、志望動機のご提出は必要ありません。

*この書類審査を1次選考とし、担当者から「合・否」をメールで通知します。

3.面接(2次選考)
*合格者のみに担当者から「合・否」をメールで通知します。

4.契約
・面接の内容を双方確認し、それに基づき作成した「雇用契約書」に双方署名(または記名)、押印
*新卒正社員候補の場合、正社員への登用自体は2021年3月末までに判断します。

*募集時は、毎回、数多くの応募がございますので、お早めのエントリーをおすすめします。
*定員に達した場合、予告なく、募集を打ち切ります。


募集詳細ページ

【全国の天狼院書店】店舗拡大に伴う2020年度4月入社スタッフ大募集《正社員候補/契約社員/中途入社/アルバイト》


【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら


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