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旅部

【天狼院旅部、映画部@江ノ島ロケ】芸能人は、なぜ映画共演のあとに結婚してしまうのか。


写真:幸田稔史

記事:楠田誠一

「えっ? またもや? あのカップルも?」

「ショック! あのふたりがゴールインするなんて」

「電撃入籍! 秘められた恋!」

こういった言葉が踊る。

私たちがよく耳にする話である。

映画の撮影でヒーロー、ヒロインとして共演し、役柄ではカップルや夫婦であるという設定でスタートしたふたり。

いつのまにかに、役柄を越えて、実生活のプライベートにおいても、付き合い始めてしまい、やがて、こともあろうか結婚まで漕ぎ着けてしまう。

そんな例を私たちは、しばしば目撃する。

私は、そういった共演後の結婚という現象に、疑問を抱いていた。

「なぜ? どうして? なぜなんだ?」と。

映画の撮影のときや、芝居の上でカップルを演じることは理解できる。

ところが、その撮影が終了したのちに、どうして実生活でも付き合ってしまうのかと。

男優さん、女優さんが共演している最中に、お互いに恋人がいないフリーであるというのは、どうにも考えづらいのだ。

ここ最近でも、2014年のNHK『ごちそうさん』で共演した東出昌大さんと杏さんが2015年元旦に結婚した。

例を挙げたらキリがないが、いくつか列挙してみよう。

例として、

『大奥』堺雅人と菅野美穂

『いま、会いにゆきます』及川光博と壇れい

『カムイ外伝』松山ケンイチと小雪

『時をかける少女』中尾明慶と仲里依紗

『パビリオン山椒魚』オダギリジョーと香椎由宇

めでたく結婚。けれど、離婚してしまったカップルもいる。

例では、

『いま、会いにゆきます』中村獅童と竹内結子

59番目のプロポーズ』陣内智則と藤原紀香

などなど。

さて、530日の土曜日、天狼院の旅部、バスで私たちは江ノ島に到着した。

午前中は、6人ぐらいがひとチームとなって、雑誌のための取材をした。

午後は、カメラを持って写真を学ぶ写真部と、映画の機材を使ってショートムービーの撮影をする映画部とに分かれた。

私は映画部に参加した。

そこで分かってしまった。

なるほど、そういうことだったのか!と。

映画で共演したふたりが結婚してしまう理由が一発で分かってしまったのだった。

長年の謎が一気に解けた。

これは、実際に体験してみなければ、決して分からないシロモノだ。

カメラを前にして演じることによって、生じる現象なのだ。

カメラマンが、録画ボタンを押す。監督が「よーい、スタート!」と

言った瞬間に始まる怪現象なのだった。

今回の江ノ島での撮影会は、江ノ島と湘南の海岸を繋いでいる橋の手前、砂浜前の防波堤で行われた。

防波堤は、階段状になっている。そこにふたりで腰掛けると、眼前に広がるのは、砂浜と海。

他に視界に入ってくるものがない。

ふたりで並んで座って海を見つめる。

そうすると、そこの場所だけが、ふたりだけの素敵な空間となる。

他に何もないかのような錯覚に陥るのだ。

目の前で砂遊びをする人や海で泳ぐ人、海の沖合でサーフィンする人、ヨットに乗る人が視界に入らなくなってしまう。

あたかも、そこに存在していないかのように、なかったものになってしまう。

不思議なことに、海と空とを前にしたふたりだけの世界に豹変するのだ。

映画「世界で一番美しい死体」のシーン14、湘南の海・防波堤(夕)というシーンを実際に撮影した。

檜垣賢次さんというプロの映像作家さんが、実に丁寧に、撮影機材のこと、音声の録音や専用のワイヤレスマイクシステム、役者の身体に着けるタイプのワイヤレスピンマイクの解説をしてくれる。

江ノ島旅行の客である書店のお客さん同士がふたり一組になって、演じる。

演劇の演出家である25歳の女優さん本山役と19歳の女子大生ひかる役をやる。

本山役の台詞は5つ、ひかる役の台詞は2つである。

こんなに短いものだが、実に難しい。

なかなか台詞を覚えることができない。

時間にしたら、1分に満たない。だいたい45秒くらいである。

映画部に参加したお客さんは、18人くらいだった。

たまたま砂浜に座っていたとき、近くに座っていたふたりずつがペアになるように割り振られる。私は、高橋さんという女性とペアになった。

私は、高橋さんの左手を見た。そこにはしっかりと薬指にリングがあった。

それが、私のとっての大きなブレーキの役割を果たした。

後から知ったことだが、高橋さんは、高橋真美さんという女性だった。

こじなつこと、小島夏子さんがマネージャーを務める天狼院健康部の講師役の方だった。

大学で皮膚を学んだというスキンケアの専門家だった。

ペアになったふたりは、撮影を前に台詞を覚える。

私は本山役、高橋さんがひかる役になった。

本来は、25歳と19歳の女性の役である。

それを47歳である私と20代の女性である高橋さんと演じる。

私は、男であるが女性役、まぁ歌舞伎の女形のようなものだ。

当然ながら、台詞は女言葉であった。少し恥ずかしい。

実際の映画「世界で一番美しい死体」をふたりとも、観ていなかった。

それが幸いし、ゼロからふたりでふたりなりの演出を考えることができた。

本山役の台詞は少し長い。

俳優を演じた経験などない私は、どこをどう見て話すのかも戸惑ったし、お互いの台詞を言うタイミングをつかむことも、予想以上に難しかった。

配役を反対にして練習してみたりもした。高橋さんが本山役、私がひかる役だ。

どうも今ひとつうまくいかなかった。最初の配役に戻した。

なんどか、ふたりで台詞をしゃべってみて練習に励んだ。

やがて、私たちの出番が回ってきた。

2回ほど、リハーサルがあった。そののち、本番。

リハーサルのあと、ふたりで話し合った。ここはこうしよう、あそこはああしようと。

本番前になった。カメラマン役の女性が録画ボタンを押す。

監督役であるなっちゃんこと山中菜摘さんが、よーいスタートと声をかけた。

そこで、初めて怪現象が起った。

それを何と呼ぼう。

「時間の魔力」か「時間のマジック」とも呼ぼうか。

あきらかに、リハーサルのときには、起きなかったことが起った。

濃縮された時間が流れたのだ。

20倍くらいに凝縮したかのような時間が流れた。

明らかに。

この不思議な現象を、いったいどう説明しよう。

おそらくではあるが、そこに居合わせたスタッフや人々のエネルギーが一点にギュッと集まるんじゃないかと思う。

20人いたとしたら、20人の時間が、このふたりに集まる。そんなイメージだ。

また、演じる俳優役も、最大限に真剣になる。

そこにいる全員の集中力が発生させるエネルギーの固まりのようなもの。

それが本番にしか生じないのだ。

「時間の魔力」これが、共演した男優さんと女優さんに、その場で起きたとする。

そう、こんなことが起れば、確実にふたりは恋に陥る。

そう実感した。

体感してしまった。

実際に体験してみないことには、決して分からないことだ。

20倍の濃縮された時間の魔力が、ふたりに大きな化学変化をもたらすのだろう。

そして、私たちが日頃の日常生活でいかに真剣に集中力を持って過ごしていないかが、如実に現れる。

真剣さと集中力。

その夢のような時間を一緒に過ごしたふたりは、戦友となる。

共に戦った戦友になるのだ。

「そんな、馬鹿な」と思う人も多いかと思う。

しかし、でなければ、共演者のその後の結婚は、やはり説明がつかない。

私も、あと一歩深く踏み込んでいたのなら、もう少しロケが長かったら、高橋さんとどうなっていたか分からない。わずか2時間ばかりのロケが幸いしたのかもしれない。

ある意味、ふたりは25歳と19歳の女性役で良かったと思う、カップル役でなくて。

あのブレーキとなる指環を見ていたことも。

そのことに安堵する。

「そんなことあるの?」

それでも、やはり疑う人がいるかもしれない。

だとしたら、ぜひ、天狼院の映画部に出て体験してみてほしい。

そのときに初めてあなたは分かるだろう。

「あ、このことか」と。

 

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この記事は、ライティングラボにご参加いただいたお客様に書いていただいております。

ライティング・ラボのメンバーになると、記事を寄稿していただき、店主三浦のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

 

 

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2015-06-05 | Posted in 旅部

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