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READING LIFE EXTRA

『ガイアの夜明け』絶品の味を”技術”で安く/クロマグロの完全養殖〈近大水産研究所〉

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何の陰謀か、いや、明らかに親の陰謀だろうけれども、僕はつい最近まで寿司が食えないものだと思い込まされておりました。

そして、寿司は嫌いで、ラーメンが好きなものだと安上がりに刷り込まれてきたのでございます。

ところが、大人になって東京に来て、様々なところで「キライ」なはずの寿司を食べてみる度に、首を捻りました。

 

おかしい。旨いのでございます。

 

しかし、僕は小さい頃から入念に寿司が「キライ」なものだと刷り込まれておりますから、寿司を旨いと感じる度に、なんだろうか、疲れて体調が悪いんだろうなと思い込んでおりました。

最近ではその呪縛が解かれ、寿司は大好物リストの筆頭を争っております。

 

ともあれ、今日のガイアの夜明け。

 

大阪駅からすぐに現れた巨大かつ真新しい商業施設、グランフロント大阪のお昼時、あるフロアに長い行列ができておりました。

 

それはマグロを出す店でした。

 

96席ほぼ満員。

 

店に置かれたマグロの頭がオブジェはインパクトがあります。

クロマグロが目の前で裁かれ、脂が乗った、じつに美味そうな身が現れます。

 

それが、なんと全て近畿大学が養殖したものだと言う。

 

ランチで用意した200人分のマグロが30分で売り切れ。行列に並ぶことさえできないお客様が多くいました。おそらく、すばらしい見た目通りに素晴らしい味なのだろうと思います。

 

考えても見れば、なにも、車や電化製品だけが”技術”ではないんですね。

日本の食の”技術”は間違いなく世界最高クラス。

そこに、明らかに職人たちがいます。それに真剣に取り組む学者たちがいます。

それを見るとき、やはり、日本は捨てたものではないと思います。

 

クロマグロは今や絶滅の危機を言われるようになってきました。

そこで注目されているのが、クロマグロの養殖の技術です。その最先端を行っているのが、近畿大学水産研究所なのでございます。

 

和歌山県串本町。

近大水産研究所はここに用意した300のいけすで5000匹のクロマグロを養殖しています。

嬉しい悲鳴と言っていいのか、微妙なところですが、近大マグロの人気に生産が追いつかずに、担当者は頭を悩ましています。

 

一般的なクロマグロの養殖は、天然の幼魚を捕獲して、これを育てる。

けれども、近大の場合は違います。成魚に卵を産ませて、幼魚にし、それを育てるという「完全養殖」を実現しているのです。

これによって、今や貴重な水産資源となった天然の幼魚の数が減少することがないので、実にメリットがある方法です。

しかし、完全養殖を実現するのは難しいことでした。卵の孵化率は95%以上。けれども、沖のいけすに戻す1か月の間に97%が死んでしまいます。

沖のいけすに行けるのは、ほんの3%。その生き残った幼魚も衝突などで次々と死んでしまい、成魚に育つ割合は、わずか1%のみ。完全養殖に成功して11年。今でも悪戦苦闘しているのが現実です。

しかも、餌が高騰しているので、養殖する費用も増大。それを回避するために、人工の餌を開発しています。

それでも、幼魚がそれを食べるとも限らない。

 

「食べてくれと神に祈るような気持ちですね」

 

と担当者は言います。

それが、長い年月をかけて研究することによって、餌の精度を上げてしまうのだから驚きです。

ただし、それも近大だけでは実現できないことでした。

日清丸紅肥料という会社と二人三脚で開発したものでした。

もう、執念ですよね。もしかして、執念がプロフェッショナルをつくり上げるのかもしれませんね。

 

なにも、一人や一企業で全てができる必要はないですよね。

このように、自分の目的を実現するためには、ときに外の会社とコラボする必要がでてきます。

そのパートナーシップも重要になってきますよね。

 

今、実際に、僕は小さな書店「東京天狼院」を作っている最中ですが、そのことを日々、実感しているところです。

店を作ってくれている内装の西田さんに大工の小野寺さん。

ロゴやショップカード、パンフレット、カバーなどデザイン回りを引き受けてくれている吉澤さん。

彼らプロフェッショナルのちからを借りるからこそ、天狼院はかたちになってきています。

皆さんのちからがなければ、絶対に僕の夢は実現できない。

 

プロの力が噛みあい、共鳴して一つのものをこしらえていくとき、そこに輝かしい結晶作用が起きるのだろうと思います。

たとえば、スタンダールは『恋愛論』において、恋愛は「結晶作用」の結果だといいましたが、それに似た、実に生産的な作用がプロフェッショナルの間で起きるときに、素晴らしいものが生まれるのではないでしょうか。

養殖マグロもそうでしょうし、車や電化製品もそうでしょう。そして、本もそうに違いありません。

 

さて、見終えて、やはり、寿司が食べたくなります。最近は『あまちゃん』でも、寿司のシーンが多いので、やはり、行きたくなります。

冒頭で、なんだか親に対して恨み節みたいになってしまいましたが、今は実は感謝しているのです。

こんなに旨いものを、封じてくれたおかげで、今では「世の中にこんな旨いものがあったのか!」と実に新鮮な気持ちで寿司を食べられております。

この新鮮な感覚は、おそらく、寿司ルーキーしか味わえないものなのではないでしょうか。

 

【東京天狼院オープンニング情報】

天狼院書店が9月26日(木)に、ついにリアル書店をオープンさせます!

場所は池袋です。

オープニング関連イベントのスケジュールは以下のとおりです。

9/12 天狼院プレリュード in OCEAN Casita〜書店と出版の未来を「超」前向きに考える会SPECIAL〜

*こちら参加申し込みできます!→ 天狼院プレリュード申し込み

9/20 「黒船来航」出航除幕式〜プレオープン〜

9/26 東京天狼院プレミア〜オープン〜

皆様のご来店、心からお待ちしております。

 


2013-09-03 | Posted in READING LIFE EXTRA, ガイアの夜明け

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