fbpx
1日店長

書籍の装画で大人気のイラストレーター・げみさんインタビュー①「イラストレーター・げみのルーツ」《『げみ作品集』(玄光社)出版記念企画/天狼院プロフェッショナル》


ただ今、天狼院書店では、数々の書籍の装画を担当するイラストレーター・げみさんのイラスト作品集『げみ作品集』(玄光社)の出版記念企画を開催中!
8/7(日)げみさん1日店長イベント@天狼院書店を前に、特別に、インタビューを行わせていただきました。
絵を描き始めたルーツから、大きな転機、そして作品集の出版まで……様々なお話を伺いました。
今や書店に行けば、げみさんの装画を見ないことはないほど。大人気のイラストレーター・げみさんの素顔に迫ります!

げみさんインタビュー1

ーー絵を描き始めたきっかけを教えてください。

げみ:高校生のとき、初めて絵を描き出しました。
それまでずっと陸上部で、中学の時は走高跳びや四種競技をやってたんですけど、ギックリ腰になっちゃって記録が伸びなくなったんですよね。
ただ、ギックリ腰になったのは、塾に遅れそうで、急いで靴下を履いていたらっていうしょうもない理由で全然かっこよくないんですけど(笑)。

そのあと進学した高校が、1年生のうちから大学のことを決めて、自分が好きな授業を選択して、専門的な内容の授業を受けるっていうシステムだったんですよ。授業を決めるにあたって配られた進路希望のプリントの最後の1枚に、芸大の芸術分野が載っていて、芸大っていうのがあるんだと知りました。
もともと、中学校の頃から、服飾の授業でモノを編んだりとか、料理や、美術、職業体験で行った陶芸とか、物作りが好きだなってふんわり思ったんです。
だから物を作れる芸大に行こうって思った。

ーーどのような高校生活でしたか?

高校1年生最後くらいの時期に、親に「芸大行くなら、画塾に行かないといけないよ」って言われて、その時の僕は「受験が終わったばっかりなのにもう受験勉強か」って思ったんですけど(笑)。
ちょうどその時、仲が良かった友達に、「中学校のときの美術部の先生が今年から画塾を始めたから紹介するよ」と言われたんです。すごいいい先生だから、と紹介してもらって、そこに入りました。

僕が通っていた画塾は基本的にはデッサンを教える画塾なので、画用紙にずっと鉛筆で描いてました。
最初は週2だったんですけど、それだけだと足りないなって感じたので先生に「毎日をコース作ってほしい、でも月謝は安くね」ってかなり無茶を言って、「行き放題コース」を作ってもらいました。それで毎日行くようになりましたね。もう、親より会ってました(笑)。

受験に受かる為のデッサンっていうより、ずっと使えるデッサン力を鍛えたいっていう先生だったので、みっちり1つのモチーフに12時間とか時間を掛けて教えてくれました。「もうコレ以上描けないってくらいまで修正を重ねて描いて、自分の限界の完成度を知って、時間は受験前に短縮すればいい」って。
そこに通って、先生と出会えてよかったなと思います。

ーー大学では日本画を専攻していたんですよね。

はい。実は、画塾の先生は僕が卒業した大学の油絵の一期生なんです。高校時代、先生から油絵も少しだけ教えてもらっていたので、油絵をどうしてもやりたくなったら先生に聞けば教えてもらえますが、日本画は大学で触れないと一生学べないかも、って思ったんですよね。
何をやりたいっていうのがその時は特に無かったので、できるだけやったことが無い事には何でも触れておこうと思って入りました。いつか本気でやりたいと思えたものに出会えた方が楽しいなって。

日本画は画壇ごとに絵柄が偏っている部分があります。その中でも「院展」っていう、細密で上手い綺麗な絵を描く団体があるんですけど、「院展」の色使いやモチーフ、平面的に物を捉える構図なのに立体感があるっていう絵に僕は憧れてました。日本画をやるならこういう絵が描きたいなって。
でも、日本画の絵の具って高いんですよ。石や宝石を砕いた砂を使っているので。それに絵の具の色は、油絵具より色数があります。

そして色を重ねるのにも順番があるんです。1つの色でも粒の粒子の大きさが違っているんです。だから粗い絵の具を乗せた後には、細かい絵の具を乗せても色は上に出てこない、とかルールがあって。扱いがすごく難しくて、実験や研究がいるんですよ。
工夫でいろんな技法が生まれるので、作家によって、その技法は誰にも言わない人もいます。真似できないものもあります。だから、どうやって描いてるのか分からない絵っていうのがあるんですよね。デジタルで描いている今でも日本画を意識しています。

ーーデジタルで描き始めたのはいつですか?

大学のときです。もともとデジタルは、日本画で絵を描くための下絵を作るツールとして使っていたんですよ。下書きをペンタブで描いて、出力して、それを見ながら岩絵の具使って、絵を描くっていう感じでした。
実は、大学までペンタブレットの存在も知らなかったんですよ。 だから僕はデジタルで絵を描き始めた時期が遅いんです。
大学に入ってできた友達に、ペンタブっていうのがあるよって言われて、「こんなものがあるの!?」って驚きました。
高校の時はネットも見てないし、デッサンと風景を描くことしか知らなかった。
大学に入ったら、みんなペンタブレットを持ってるし、ネットで絵を公開して、ハンドルネームも持ってるしで。それで、自分もついていかなきゃいけない、ってなりました。

ーーハンドルネームは、いつ考えたんですか?

これは中学からのあだ名です。僕は皆みたいにカッコイイハンドルネームは考えられなかったので(笑)。
あだ名で活動していたら、今こうなってるって感じなんです。

ーー水や、反射を使った表現がよく出てくるように感じます。そのようなモチーフや構図は、どのように考えますか?

僕、本当に雨男なんで、基本、取材は雨が降るんですよ(笑)。それで、もともとキラキラした物や反射が好きなので、雨と反射を使った演出で面白い舞台装置ができないか考えます。いろんな景色を見て、このモチーフとこのモチーフが合うんじゃないかって掛け算したり、この位置から見ると面白いんじゃないかって視点を変えてみたり。
例えば晴れているときは草木の光や木陰に目が行き、綺麗だなって感じますよね。でも雨が降るとあまり見ないじゃないですか。それよりは木の根元だったり、水たまりに写った人の影だったり、車のライトだったり、そういうところが目につきます。そこをどうやればもっとよく見えるかなって考えています。

ーー製作にはどれくらいかかるんですか?

ラフの段階から描き上げるのは1日とか2日で終わるんですが、その時はテンションが上がっていて納得できない部分に目がいかないので、寝かせて、客観的な目線を入れて修正します。寝て起きると違うんですよ。「色が派手すぎるな」とか「もうちょっと色数減らそう」とか。納得できない部分はずっといじってますね。時間をあけて修正して、っていう期間を含めると、本当の完成までの期間は1週間くらいですね。

ーー大きな転機となった出来事はありますか?

僕、もともとアートをしようとしてたんです。アーティストになろうと思っていました。アートって、自分が作った作品や表現をどうやって社会に接続して、価値を付けていくかっていうとっても難しい分野なんです。自由だって思われがちですが全然違います。

最初はずっと自分と向き合い続けるんです。「コレが好き、どこが好き、なんで?」って問いかけの連続の中で作品を描き続ける。その中で生まれた独自の言語みたいな物を、過去の歴史的作品を引用して翻訳し、人に伝えるような、難しい事をします。僕の回りにいた人は、みんな独自の価値観とか、これがやりたいっていうアーティスト自身の特有のこだわりや確信みたいのがありました。焦って自分も探したんですけど、描きつづけていくうちにとうとう僕にはそんな強い心が無いって気づいてしまったんです。

ーなかったことに気づいた。

自分の「ココ」が世間には認められないかもしれないけど好きなんだ、っていうのを発信し続ける動機や力っていうのが僕にないっていうことに気づいたんですよ。
自分は何もない空っぽなんだって思っちゃって。その時に、なんで絵を描いているのかわからなくなって、絵が描けなくなったんですね。どうしても表現したい何かがないと、描いちゃダメだ、価値が無いんだと思ってしまって。
大学を卒業してから1年間は、絵を描けなかったんです。自分から逃げてしまいました。

ーーそうなんですか。

その間、実家がコーヒー屋なんですけど、そこの手伝いをしてました。このまま、たまに絵を描きながらお店をやろうかっていう意識までいってたんですよーーー

【 インタビュー後編へつづく 】

 

◼︎げみ
イラストレーター。1989年、兵庫県出身。京都造形芸術大学美術工芸学科日本画コース卒業後、イラストレーターとして作家活動を開始。書籍の装画やCDジャケットを中心に活躍中。Twitterフォロワーは3万人を数える。装丁を担当した近著に『路地裏わがまま眼鏡店』(マイナビ出版)、『鎌倉香房メモリーズ』(集英社)、『ヤマユリワラシ ―遠野供養絵異聞―』(早川書房)などがある。


*イラストレーター・げみさん初の作品集『げみ作品集』(玄光社)(税込2,160円)は、天狼院書店にてご予約いただけます。
ご予約は、お電話(東京天狼院:03-6914-3618/福岡天狼院:092-518-7435)、メール、または店頭でも承っています。

 《『げみ作品集』(玄光社)発売記念ギャラリー》
◼︎場所:天狼院書店〔営業時間 12:00〜22:00〕
7/27(水)〜8/7(日)@東京天狼院
8/10( 水)〜8/17(水)@福岡天狼院
(*天狼院書店は、書店ですので、入館料などはかかりません。自由にお入りいただき、ご覧いただけます)

 

《イラストレーター・げみ 1日店長イベント》
■日時:8月7日(日)
受付開始16:30/イベント開始 17:00/イベント終了 18:50
*げみさんは16:00頃から東京天狼院にいらっしゃいます。
■場所:天狼院書店「東京天狼院」「福岡天狼院」
*福岡は150インチのスクリーンによる同時中継となります。
*サイン会は東京のみです。
■定員:東京30名/福岡30名
■内容:
17:00〜18:15 げみさん トークライブ
18:15〜18:50 グッズ販売・サイン会
■参加費:東京2,000円/福岡1,500円
*別途1オーダー(280円〜)頂戴いたします。
*『げみ作品集』(玄光社)著者げみ 2,160円(税込)を当日ご購入ください。すでにお買い求め頂いた方は必ずお持ちください。
*高校生以下の方は参加費半額にてご参加いただけます。(学生証の提示をお願いする場合がございます)
*CLASS天狼院プラチナクラスの方は参加費半額にてご参加いただけます。
*天狼院読/書部ご参加の方は無料にてご参加いただけます。
■チケット購入方法:PEATIXでのチケット購入もしくは店頭、メール、電話でのご予約を承っております。
《PEATIXでのチケット購入はこちらから》
東京会場

福岡会場

・メール:master@tenro-in.com
*件名に【げみ1日店長イベント】と記載頂けると大変助かります。
*本文に氏名、ご連絡のつく電話番号、希望会場(東京・福岡)、希望座席数を記載してください。
・電話:東京天狼院 03-6914-3618/福岡天狼院 092−518−7435
■トークライブで聞いてみたいげみさんへの質問(任意):master@tenro-in.com宛に件名【げみさん質問】、本文に①氏名②予約した方法(PEATIX、店頭、メール、電話)③質問内容を記載してお送りください。トークライブの内容の参考にさせていただきます。(お名前の公表などはありません)

【天狼院書店へのお問い合わせ】

TEL:03-6914-3618

天狼院書店「東京天狼院」

〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F

TEL:03-6914-3618
FAX:03-6914-3619

東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」

〒810-0021

福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

TEL 092-518-7435 FAX 092-518-4941

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。

【天狼院のメルマガのご登録はこちらから】

メルマガ購読・解除

【有料メルマガのご登録はこちらから】


関連記事