こつこメモ

【全ての書籍の中で、たった一つだけ二冊持ってるものがある】これほど、タイトルに相応しい漫画はもしかしたらないのかもしれない《こつこメモ》


一つだけ、二冊持ってる漫画がある。

わたしのぼろぼろだったスボーツの価値観をぶち壊してくれた漫画だった。

わたしはその頃、強く、コートでもピッチでもレーンでもなんでもいいから。その上に立てなければスボーツとは仲良くなることができないと思い生きていた。

今思うと、どうしてこうも線ひとつに、固執し過ぎていたのだろう。

バスケットボール部でレギュラーになれなかったわたしは、スボーツ漫画が後ろめたさや恥ずかしさで読めなくなってしまった。

大好きだった「SLAM DUNK」すら読むことができないぐらい、心が廃れてしまったのだ。

 

漫画と現実のギャップは、当時のわたしには重すぎたのだ。

そんな初心者がすぐ上達するわけないし、必殺技とかあるわけないし、現実は部活を揺るがすような教師や組織や集団なんかよりも、監督の方が最大の敵だし。

読んだらより惨めな気持ちになりそうだった。

 

スポーツをやりたいけど、そのスボーツが好きだけど。体にそれを上手く表現できる人、さらに多くの人よりも上手く表現でき続けられる人というのは、限られた数しかいないのだと思う。

努力がいつ、どれぐらい表現づくのかもわからない、闇のような世界の中(どれぐらい前に相手がいるのかも、後ろからどんな風に迫ってきてるのかもわからない)をずっと最前線でひたむきに走っているのだから、一番そのスボーツと仲良くなれるのは彼らだと、認めるしかないだろう。

そう諦めていた。

 

諦めていたところに、陽射しが入った。

 

「GIANT KILLING」

 

家から徒歩5分の本屋で、たまたま手にとって買ってみた。

サッカーはどちらかというと嫌いだった。

点がなかなか入らないスポーツはつまらないと、バスケ部だったわたしには感じていたからだ。

読んでみたら、わたしの人生はそのままの人生になった。

 

番狂わせ。

 

「GIANT KILLING」はJリーグサッカークラブETUの元選手の達海が監督を務めるためETUに帰ってきて、次々と試合でジャイアントキリング……上位食いを起こしていくスボーツ漫画だ。

この漫画が他のスボーツ漫画と違うところは、選手にばかりスポットが当たっていないところだった(そもそも主人公が監督なのだが)

それでいて青春漂う運動部ものではなく、経営面などシビアな話も出てくるプロのスポーツクラブものである。

社長やスカウト、その他のスタッフ、はたまたスポンサー相手まで出てくる。

サポーターたち(サッカーのファンはサポーターと呼ばれる)の派閥争いや葛藤なども描かれた。

わたしは、作中に出てくるサポーターに強く惹かれた。何万人かのたったひとりなのに。たったひとりだということを忘れて夢中になって、自分の試合のように振る舞っているのだ。

 

「今日は絶対、勝つぞ」

 

と言うのが、選手だけじゃないのだ。

 

わたしは、何度も何度も読んで、読むたびに同じところで泣いたり、何回目かでよりその登場人物の気持ちが伝わってきて泣いたり……そんなことを繰り返した。

 

読み終えた後に初めて観に行ったJリーグサッカークラブ・FC東京の試合の日は一生忘れない。

試合そのものや本物のスタジアム、サポーターにも感動したけれど、どれほど「GIANT KILLING」の中のサッカークラブやスタジアム、サポーターが「生きている」のか、よくわかったからだ。

 

そして。ずっと線ひとつで悲しくなって、スボーツと仲良くなれないとうだうだしていた自分を、もう一人のわたしがベンチを置いて「お前はこっちだ」と座らせたらような。そんな感覚になった。

わたしを座らせながら、そのもう一人のわたしはベンチに座り込むのではなく、せっせとまたベンチを並べてくのである。

 

読み過ぎてぼろぼろになってしまった日焼けした1巻と、友達に貸すための1巻が家にある。唯一、二冊持ってる漫画だ。

ぼろぼろになってしまった1巻は捨てることができない。わたしの人生を変えてくれた、あの時出会えた1巻だからだ。

 

 

こんなにも漫画や本の中身ではなく「それ自体」に思いを入れたことは今までなかった。

体育大に入ってからもいろいろあって、編集者になるという夢も広がり始めた。またそのことは、いつか記事にしようと思います。

 

なんだか面白いなと思ってインターン説明会に行ってみた天狼院書店。

入ってから三ヶ月。なんと今度は漫画をつくるとか。講談社の編集者の方がくる? 編集者の話を生で聞けるなんて、しかもお二人も! 漠然と話を聞いて「やっぱりここに来てよかったな」なんて思ってたら、まさかかGIANT KILLING」を立ち上げた編集者の宍倉さんがいらっしゃるとは。

夢にも思わなかった。

どこまでわたしに番狂わせをしてくださる方なのだろうかと思った。

 

そしてこの店、夢がいきなり現実になったり、努力を成し得て現実になったり。おもしろい店だな、とつくづく思う。

宍倉さんの口から出る「達海」や「椿」の登場人物の名前はきらきらして聞こえた(目だけじゃなくて耳でもきらきらって捉えられるのだ)

裏話も聞けて、本当に充実した。いつかまたお会いできる日が楽しみだ。

 

わたしの人生に大きな影響を与えた人がいきなり目の前に現れた喜びと感動を、家に帰ってきて忘れないうちにと、急いで文字にした。

今日も帰ってきたらその一冊は優しく、机の上からわたしを迎え入れてくれた。

 

今週末には秘書検定。次の日の朝には課題提出。

いろいろあるけど、明日の電車の中ですることは決まった。

明日、久しぶりにまた、読んでみよう。

これは、名前の通りそういう漫画なのである。

 

 

おわり

 

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