ママ起業のリアル

第7章 メルマガは最強の自己成長ツール〜アンチなコメントを頂いたら《ママ起業のリアル》


記事:ギール 里映(READING LIFE編集部公認ライター)
 
 
起業塾に入って3ヶ月目、同期のメンバーがちらほらと消え始めました。
 
同期、仲間、とはいえ他人ですし、関係ないといってしまえばそれまでです。しかし月に1、2度ご一緒し、毎日SNSを介して交流していましたし、お互いのビジネスについても話し合うことも多かったので、かなり仲良くなっていきます。そんな仲間が一人、二人と消えていくのは、なんとも気分のよくないものでした。
 
「あの人、どうしたの?」
「SNSがつらくて、やめちゃったんだって」
 
私からしてみたら、SNSで発信することぐらいで辛いなんて驚きでしたが、いろんな人がいるものです。発信することで旧知の友人たちが「○○さん、最近どうしちゃったの?」とけげんに思ったり、SNSの投稿を見たご家族からやめろと言われたり、人目がどうしても気になり、そのプレッシャーで発信できなくなっていく人たちがたくさんいることがわかりました。
 
「最近、なにかやり始めたらしいよ」
と友人たちから陰口を叩かれたり、そこからまた「何かを売り込まれるかもよ」というような話にまで発展したり、何かと周りの反応が気になってしまう。とくにママたちは子どもを通してママ友というコミュニティがあるので、そこで嫌われてしまうと子育てに影響がでてしまいます。子育てを円滑に行うにはママ友たちの存在は重要です。なぜなら、幼稚園が学校からの連絡や、ちょっとした子育て情報、地域の情報など、ママが起業をしていると忙しさからどうしても漏れてしまうそういう重要情報の、貴重な供給源だからです。そういうときに世話焼きのママ友たちと仲良くしておくことは、忙しいママ起業には重要なポイントなのです。
 
そのママ友たちから嫌われたり、陰口を叩かれたりしようものなら、とにかく子育てがしづらくなります。我が子の交友関係にも影響しかねませんから、ママ友コミュニティのなかでのポジションも確保しておかねばならない。そのため、SNSでの自分を見られたくないと思うママ起業家も多く、「発信しなきゃ」という焦りと「発信できない」という思いの間でどうしても辛くなってしまいます。
 
そんなふうに同期や仲間がぱたぱたと消えていくなか、私はというと、人のことにはかまっていられません。自分のことで精一杯で、人の目など気にしている余裕すらありませんでした。毎月大きな赤字を出し続ける自然食品店がありましたし、新しいコンテンツを立ち上げてスタートさせること、そして半年以内に新ビジネスを軌道に乗せると決めていましたから、他の人の動向にいちいち反応している時間はありませんでした。
 
半年という期間を一つの区切りとして考えていました。
 
しかし、半年たっても成果がでなかったら。
 
それを夫と話し合ったことはありませんでしたが、起業塾の契約期間でもある半年が一つの区切りとして、私たち家族のなかで暗黙のタイマーでした。
 
半年がんばってどうにもならなかったら、すっぱりあきらめる?
あきらめる、という発想は、実はまったくありませんでした。選択肢にそもそもなかったのです。半年で必ず成果を出す、ととにかく決めていましたから。
成果を出せなかった場合のことは1ミリも想定しておらず、できなかったらどうしようと思う暇さえありませんでした。
 
ただただ私は半年の期間は、自分の時間と労力の全てを注ぎ込んで、新しいビジネスをせ軌道にのせようとしていました。
 
そんな切羽詰まった状況の中、いよいよ8月にメルマガをスタートすることになりました。普通の主婦がメルマガを書く。冷静に考えたらちょっと物怖じしてしまいそうなことなのですが、そのとき私は躊躇いも迷いも全くありませんでした。ただ淡々とやるべきことをやっていく。最初に6ヶ月の段取りを全て決めてしまっていましたので、それに沿って進んでいくだけでした。
 
起業塾に入るまでブログも書いたこともなく、何なら読んだことすら、ろくにない。メルマガがあるということも起業塾に入ってから知ったぐらい、それなのにその3ヶ月後には自分がメルマガを発行するようになるとは。普通ならそのスピードの速さに戸惑うものかもしれませんが、私はむしろ半年というタイムリミットに追われていたので、3ヶ月目でのメルマガスタートは、あくまで予定通りの進み具合でした。
 
発行は8月31日に決めました。831、つまり野菜(ヤサイ)。食のことを伝えるメルマガですから、野菜の日と勝手に命名して決めました。開始日は決まりましたが、発行するにはメルマガを届ける相手が必要です。相手とはつまりメルマガリストと言われるお客様のことです。当然ながら私のメルマガリストはまだ一人も登録がなく、スタートと同時にメルマガリストを集めなくてはならない事態になりました。
 
そこで企画したのがメルマガ登録キャンペーンです。何か魅力的なプレゼントを用意して、それを一定期間だけのプレゼントとし、その期間になるべくたくさんの登録をしていただくという仕掛けをつくるものです。メルマガすら初めてなのに、生まれて初めてのキャンペーンとやらを経験することになりました。
 
現在メルマガキャンペーンといえば、PDF(電子書籍)を配布する形がかなりメジャーですが、当時はアプリキャンペーンが主流でした。アプリとは、診断ゲームを作るアプリです。これで簡単な診断を作り、その質問に答えていくと、なんらかの結果がでます。その結果に興味を持ってもらったら、そこからメルマガ登録をしていただくという仕組みです。メルマガ、キャンペーンに加えて、アプリで診断ゲームまで作るという、なんとも大変なスタートととなりました。
 
そこで私が作ったアプリは「お母さんのご飯でわかる!子どもの将来の職業診断」というもの。これはお母さんが子どもにどんな食事を食べさせているかで、子どもの将来の職業がわかるという食育の診断アプリでした。8月31日から1週間ほどのリリースで、126名の方に登録をいただくことができました。当時このアプリキャンペーンでは、100名以上の方に登録をいただいていた方が周りにはあまりおらず、当時としてはなかなか悪くない結果だったと記憶しています。
 
メルマガとは、本当に不思議なものです。
どこの誰ともわからない方が、私が書くメルマガを楽しみにしてくれている。この時126名もの方が登録をしてくれたことは、ものすごく大きな自信となりました。またメルマガ登録にはつながらなくても、何千人という方が、SNSを通してこのアプリに出会い、診断ゲームで遊んでくださいました。普通の主婦が何千人もの人に一度に出会うことなど、これまででは考えもしないことでした。
 
この時始めたメルマガは、以降1日も休まず毎日発行しつづけ、もうすぐ丸5年になります。126名だったリストは100倍以上になりました。マーケティングツールとして始めたメルマガですが、メルマガが私とビジネスを育ててくれたと言っても過言ではありません。このメルマガを通じてたくさんのご縁とつながり、ドラマが生まれていきました。文章など書いたことのない主婦が、思いを言葉にすることを学びました。
 
自分の思いを伝え始めると、メルマガに返信が来るようになりました。
「とっても共感します」
「うちだけじゃないとわかり、ほっとしました」
「食にそんな力があるなんて、すごいと思います」
など、好意的なメッセージはもちろん、
 
「それはエビデンスに基づいているのですか」
「そんな都合の良いことばかり言って、大丈夫なんですか」
「失礼ですね、そんな言い方は」
というように、アンチなコメントもいただきました。
 
静かな湖に1滴の水滴を落とすとそこから波紋がひろがるように、人が何か思いを発信しはじめると、かならずそこから波紋が広がっていくのだということをリアルに感じました。
 
好意的なコメントをいただくとやはり嬉しいですし、ものすごく励みになります。人の役に立てているという実感を得られますし、誰かを元気にすることができているという感触は、大きな勇気をくれるものです。
喜んでくださる人がいるからこそ、もっとよい情報、もっとためになる情報、楽しい情報、とっておきの情報を発信しようと熱がこもります。メルマガに書くために研究もしますし、また研究しただけでなく、実際に実験、実践したりもします。
おかげさまでかなり多くの勉強をさせてもらっていますし、知識の量が増えて深みが増しただけでなく、経験の幅も大きく広がりました。
 
何かアウトプットする先があると、インプットの質があがります。アウトプットというゴールがあるからこそ、インプットの熱が上がります。メルマガのおかげで、全ての学びを無駄にすることなく、全てが自分の肥やしになっていきました。
 
またアンチなコメントをいただいた時は、最初はもちろんへこみます。
同じ言葉を発信しても受け取り手によってこうも反応が違うのかと、それがまずとても勉強になりました。万人受けするのは無理だし、もし万人受けしたいのであればコンテンツがもっと薄くなり、誰にも響かない内容になります。私には明確に届けたい相手と届けたいメッセージがありましたから、誰にも響かない内容では意味がありません。そのため、アンチなコメントがくることは当たり前なのですが、一介の主婦だった私にとっては、とてもショックなものでした。
 
しかし、ショックなのも束の間、私の場合は元来の負けず嫌いが功を奏して、ますますやる気が増しました。アンチコメントに負けている場合ではないですし、そもそもアンチコメントをくれる人は、無記名で自分の身元を明かさない人が多い。文句を言いたいなら正々堂々と文句を言って欲しいけど、そうする勇気がない人たちなんだと、すぐに理解することができました。
 
そして負けず嫌いな私は、アンチなコメントに対して「負けるものか」と気を引き締め、ますます学び、調査し、実践を繰り返していきます。食や食養生を伝える身でありながら、私は栄養士の資格もないし、医師や看護師などの国家資格を持っているわけではありません。そういうことを少しコンプレックスに感じないでもありませんでしたが、誰よりもとことん追求して調べ、学び、実践することに関しては、なぜか絶対的な自信がありました。資格がないからこそ、誰にも負けないぐらいに学びきってやる、と、ものすごいパワーを発揮することができたのです。
 
おかげさまで私はこのように、好意的なコメントからも、アンチなコメントからも、本当に多くの学びを得て、成長させていただきました。メルマガが私を成長させてくれたと言っても過言ではありません。商売でもよく、お客様にお店を育ててもらうといいますが、メルマガも同じ。結局は人からいただくフィードバックの量と質で、私たちはどこまでも成長することができるということがわかりました。
 
8月31日にスタートしたメルマガで、セミナーの募集をしたり、お悩み解決個別相談の募集を開始しました。生まれて初めての募集、集客です。本当に誰か申し込んでくれるものなのでしょうか。
 
募集のメルマガを配信してから、不安で、ものすごく緊張しました。
緊張のあまり先輩の起業家さんに会いに横浜に出向き、お茶を飲みながらソワソワしていたことを覚えています。電源の使えるカフェに入り、ノートパソコンを立ち上げて、恐る恐る申し込み状況をチェックしてみたら、なんと4人ものお申し込みが入っていました。この時のうれしさは今でも忘れることができません。
 
結果その時の募集では10名以上の方がセミナーに申し込んでくださいました。どの方も初めてお会いする方ばかりで、うれしさを飛び越えて緊張で心臓が飛び出そうでした。私のことを知らない人が、わざわざメルマガに登録をしてくださり、メルマガを読むだけでなく、私に会いに来てくださる。そんなことが本当に我が身に起こるのかと、不思議で仕方ありませんでした。しかしこうやって私は一つずつ、新しいビジネスの礎を構築していったのでした。
 
SNSもメルマガも、アプリもキャンペーンも、何もかもが初めての世界。よく数ヶ月でその全てを体験してきたと振り返って思います。起業塾に入る前は、なにをするのか、どんなところなのか全くわかっておらず、なんとなく、いわば直感だけを頼りに飛び込んだ世界です。
 
もし入る前に何をやるのかを全てわかっていたら、もしかしたら起業塾には入らなかったかもしれません。なぜなら、あまりにも訳がわからないことばかりで、尚且つたくさんの初めてばかり、最初にもし全部を聞いて知っていたら、それらができる気は全くしなかったでしょう。
 
しかし実際に飛び込み、一つずつ目の前のことを一生懸命やっていくと、なんでもできるようになるものです。初めてのことも、怖いと思う時間もなく、ただただ目の前の「やるべきこと」として必死に取り組むことで、気づいたらできるようになっていきます。
 
当時訳もわからず飛び込んだ世界ですが、後悔することは何一つなく、むしろ自分の英断を褒めてあげたいと心から思います。もしあのまま何も学ばず、同じ世界でもじもじしていたらと思うと、そちらのほうが恐怖で背中が寒くなるぐらいです。
よく「起業は大変」と言われますが、「起業せずにじっとしていることのほうがもっと大変だとすら思います。
 
大変だけど、その分、いやむしろそれ以上、たくさんの人との出会いや、自己成長、新しい学びや経験が得られる。得られるものはまさにプライスレスと言ってもいい。
 
しかし、得るものがあると失うものもあります。
ママ起業で一番失うのは、ずばり子どもとの時間です。仕事を始めるとその分、時間が必要になります。ママにはそもそも自分だけの時間などありませんから、必然的に家族との時間、それもとりわけ子どものとの時間を犠牲にせざるを得ません。
 
子どもが小学生になり、一人で放っておけるぐらいになるまでは、どうしても親の存在が必要です。衣食住のお世話だけでなく、公園遊びやお風呂、宿題、ぐずるのをなだめることなど、子ども相手にしなければならいことはエンドレスにあります。
 
果たしてママ起業家たちは、どのようにして子育てに向き合い、やりくりしているのでしょう。
 
 
《第8章につづく》
 


頑張るママのお助けレシピ

アンチコメントでも負けない!強いココロを作る

玉ねぎ味噌
材料 3人分
玉ねぎ 3こ
麦味噌 大さじ2
ごま油 大さじ1〜
塩ひとつまみ

<作り方>
1 玉ねぎは皮をむいて、2〜3ミリの回し切りにする。
2 フライパンか土鍋にごま油をいれ、その上に1の玉ねぎと塩ひとつまみを入れて炒める。炒める時、あまりシャカシャカかき混ぜない。じっくり火を通します。
3 玉ねぎがしんなりしてきたらフライパンの真ん中によせ、その上に麦味噌を乗せる。水(分量外)を大さじ3〜入れてフライパンの蓋をし、弱火でじっくり蒸し煮する。
4 麦味噌が白くなりふんわりしてきたら全体をまぜてできあがり。

たまねぎは肺・大腸を養う食材で、心の免疫力を高めてくれます。
よく火を通すと甘みが増すので、小さいお子さんでも美味しく召し上がれます。
ご飯のお供に、またパスタや和物などにも使えます。常備菜として常に冷蔵庫に置いておきたい一品です。

❏ライタープロフィール
ギール 里映(READING LIFE 編集部公認ライター)

食べかた研究家。京都の老舗料亭3代目として生まれ、現在は東京でイギリス人の夫、息子と3人ぐらし。食べることが好き、が仕事になり、2015年にゼロから起業。現職は食べるトレーニングキッズアカデミー協会の代表を勤める。2019年には書籍「1日5分!子どもの能力を引き出す!最強の食事」、「子どもの才能を引き出す!2ステップレシピ」を出版。

この記事は、「ライティング・ゼミ」を受講したスタッフが書いてます。 ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。

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2020-07-21 | Posted in ママ起業のリアル

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