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メディアグランプリ

インスタ映えは、撮りに行かずともそこにある


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:一ノ瀬 朔(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
お洒落な写真を撮ることに勤しむインスタグラマーは、みんな揃ってお洒落なサングラスをかけている。
 
今や、日本で日常的に耳にするようになった“インスタ映え”。
 
可愛らしくデコレーションされたスイーツであったり、幻想的な色彩を持った風景であったり、カラフルな絵が描かれた壁であったり。
 
映える写真を撮ってはSNSにアップする文化が、日本の経済を動かす世の中になった。
 
今どきのショップも、昔からある老舗も、フォトジェニックなものを作って売り上げアップを狙おうとするほどに、インスタグラマーの活躍は活発そのもの。
 
だからこそ“インスタ映え”を狙うほとんどの人が、お洒落なサングラスをかけている世の中に、幾分かのもったいなさを感じてしまう。
 
どうしてみんな、同じような写真を撮るのだろうか。何百、何千の人たちが、同じような写真を撮り、SNS上に拡散していくのだろうか。
 
もちろん、SNSでの写真の拡散が悪いと思っているわけではない。
 
お洒落な写真が拡散されることにより、日本の経済が良い意味で刺激されることは、否定できない事実であるからだ。
 
でも、写真を拡散している人たちに、そこまでの意図があるのだろうか、と考えると首を傾げてしまう。
 
恐らくは、ほとんどの人が日本の経済の変動を意識せずに写真をSNSにアップしているはずだからだ。
 
それなのに、どうして人は、すでにSNS上で大量発生している写真を更にアップしようとするんだろうか。
 
そう疑問に思ってしまう理由は、とある写真家の言葉にある。
 
かつて、ニューヨークで活躍していた写真家、ソウル・ライター。
 
彼は、日常の風景を美しく切り取って写真に収める天才だった。
 
床屋の前で立ち尽くす男。雨に曇ったガラス窓。踏み散らかされた積雪に、タバコを吹かす恋人の姿。
 
何てことのない一瞬を捉える彼の写真は、すべてがアートであり、今の時代に合わせて言うなれば、“インスタ映え”するものだった。
 
InstagramなどのSNSで拡散されている“インスタ映え”する写真よりもカラフルでもなければ可愛いわけでもないのに、ソウル・ライターによって切り取られた世界は、見る人に鮮烈な印象を叩きつけてくる。
 
そんなの、写真を撮る技術に長けている人が撮ったものなのだから、当然だろう、と言ってしまえば終わりなのだが、私は、ソウル・ライターの写真が放つ鮮やかさは、彼の“世界の見つめ方”にあると思う。
 
彼、ソウル・ライターが後世に残した言葉の中で、とても印象的なものがある。
 
『All seen things will be picture. -見るものすべてが写真になる-』
 
この言葉と出会った時、私は「まさか……」と思ったことを覚えている。
 
今までつまらなく感じていた景色、たとえば、毎日歩く通勤路とか、ゴミが溢れる駅のゴミ箱とか、酔っ払いがベンチにもたれかかる姿とかも、すべてが写真になると言うんだろうか、と。
 
疑問に思えば、途端に目に映っていた世界に鮮やかさが差し込んだ。
 
あれ? もしかして私は今まで日常に転がる美しさを見落とし続けていたのかな? と、周りの世界を一生懸命に見渡した。
 
ソウル・ライターは、美しいものを美しく撮ろうとしてカメラを構えるのではなく、そもそも、目に見えるものすべてに美しさを見出していた。
 
デコレーションされたスイーツも、幻想的な風景も、カラフルな壁だって、必要ない。
 
大事なのは、クリアに世界を見つめること。
 
みんなとお揃いのお洒落なサングラスをかけていないから、彼は見つけにくい日常の美しさを人よりも多く拾い集めることができたのだ。
 
彼の写真と初めて出会った時、それまで気付くことのできなかった日常の美しさに目を向けられるようになった。
 
通い慣れた通勤路に落ちた缶ゴミにストーリーを感じるようになったし、酔いつぶれた人を見てちょっとしたドラマを予感するようにもなった。
 
妄想癖がついた、とも言えるけれど、思考の忙しい日常は、案外楽しい。
 
だから、インスタ映えを狙って、お洒落な場所へと足を運ぶ人たちが溢れる今の世の中が、もったいないと感じてならない。
 
高性能なカメラのレンズを、事前に用意された“インスタ映えすること間違いないモデル”に向ける文化。
 
それは、経済という視点で見れば素晴らしい文化なのだろうけれど、ソウル・ライターの言葉と出会った私は「そのお洒落なサングラス、一度は外してみない?」と伝えたくなってしまう。
 
日常的に写真を撮る文化が浸透している今、老若男女を問わず、彼らのフォトスキルは平均して上がりつつある。
 
誰でも映えさせることのできる一枚を撮るのに留めていたら、もったいないほどに。
 
何かのきっかけがあれば、インスタ映えするものにレンズを向けずとも、鮮やかな一枚を撮ることができる事実に気が付くのではないだろうか。
 
そうしたら、SNS上で拡散される写真はもっと面白くなるし、もしかしたら、その人自身の人生さえも鮮やかに染めてくれるかもしれない。
 
みんなとお揃いの、お洒落な眼鏡なんか外して、目の前の景色をクリアに見つめてみよう。
 
あなたの目に映る世界は、いつだって一枚の写真となれる。
 
 
 
 
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2019-11-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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