メディアグランプリ

プーさんに学ぶ「なにもしない」の哲学


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:池山 和希(ライティング・ゼミ冬休み集中コース)
 
 
「せっかくの休みなんだから、何かしないとなあ」
 
 
とは考えながらも、朝から晩までベッドの上でダラダラ、ダラダラ。まごうことなき寝正月。
なぜ正月休みはこれほどまでに人から活力を奪うのだろう?
正体不明の罪悪感を覚えながら、少し前の映画にでてきたあるフレーズが頭をよぎった。
 
 
「『なんにもしない』をする」
 
 
たしか『くまのプーさん』の実写映画だったっけ?
どういうことなんだろう?
 
 
その謎を解明するべく、我々は100エーカーの森の奥地へと足を踏み入れた……。
 
 
『プーと大人になった僕』視聴開始!!
 
 
本作品は2018年に公開され、日常に疲れたたくさんの大人たちをリアルプーさん化させた(とネット上で話題になった)ディズニー映画だ。
大人になった原作の主人公・クリストファー・ロビンとプーさんをはじめとする100エーカーの森の仲間たちの再開と交流を最新鋭の映像技術を駆使して描いている。
 
 
観終わった感想だが、この「なんにもしない」という言葉には現代社会を生きる大人たちの心にぶっ刺さる哲学が込められているように感じた。
 
 
作中では、クリストファー・ロビンはロンドンの大企業で旅行カバン事業を取り仕切るサラリーマン。比較的高い地位に立っているため、はたから見れば一種の成功者にも映る。
しかし、いい加減な上司から仕事を押し付けられたり、そのせいで家族と過ごす時間を十分に確保できなかったりと、どうやら人生すべてがうまくいっているわけではないようだ。
 
 
作中、それでも家族のためにと懸命に働くクリストファーと妻のイヴリンは少々もめてしまう。
「イヴリン、いいか? 今僕が一生懸命働いているのは、そうすれば将来僕らの人生がより……」
「良くなる?悪くなるかもしれない」

 
 
うーん、いきなり深い。
将来のためにと今を犠牲にすることは、実は最善の手段ではないのかもしれない。

 
 
そして、そんな確執を抱えながらも休日を返上して仕事に没頭するクリストファーの前に幼少期の大親友だったプーが現れる。
人間の世界に突如現れた彼のフリーダムでマイペースな行動は、クリストファーを困らせイラつかせる。(正直観ていた僕も結構イラついた)
ただ、限りなくマイペースなプーの姿は我々にある問いかけをしてくるようだった。
 
 
「忙しい」「時間がない」って、それってそんなに大切なことなの?
 
 
その後クリストファーは100エーカーの森の仲間たちとの交流の中で少しずつ子供のころの気持ちを思い出していく。
仲間たちと遊んで、疲れたら眠って……。まさに「なんにもしない」時間だ。
現実は厳しいけれど、本当はそんな時間はないけれどいまは全部忘れて楽しもう。
 
 
いやいや、実際はそんなに甘くはないって?
しかし、クリストファーはこの再開とその後のある出来事をきっかけに会社の業務改善案を思いつき、結果として家族との幸せな時間さえも取り戻す。
現実の世界でそこまで何もかもうまくいくことはたしかになかなか無いことかもしれないが、この「なんにもしない」時間が困った出来事の解決策を運んでくることは往々にしてある。
 
 
例えば、あなたが何かのアイデアを思いつくのはどういった場面だろうか?
それはトイレの中でかもしれない。
あるいはお風呂にゆっくりつかってリラックスしている時かもしれない。
家でダラダラしていたら「なんにもしない」について記事を書いてみたくなるなんてこともある。
 
 
たまには仕事や課題を忘れて、羽を伸ばして楽しむことでこれらについてのいいヒントが見つかるのではないだろうか。
さて、最初に哲学と述べたが、この「なんにもしない」を通してこの映画が伝えたかったことは何だったのだろうか。せっかくなのでしっかり考えてみよう。
僕が出したひとまずの結論は以下の通りだ。
 
 
「今を犠牲にして頑張ることがすべてではない。本当に楽しい時間や幸せな時間を大切にすることで人生が豊かになるし、思いがけないアイデアが生まれるのではないだろうか」
 
 
ひたむきに苦しんで頑張ることがすべてじゃない。イヴリンが言ったように頑張りすぎることで状況が悪くなることもあるかもしれない。頑張っても頑張ってもよくならないときは、思い切って休みを取って遊んでみるのも一つの手段に違いない。
 
 
さあ、社会人よ、学生よ。休もう!
 
 
追記
 
 
本作品でクリストファー・ロビンの吹き替え声優を担当していた堺雅人さんの演技がとてもよかった。ドラマ『半沢直樹』でも主演を務ていた堺さんだが、本作でも「戦うサラリーマン」の役柄がばっちりハマっていたと思う。
記事を読んで映画が気になった方の中で、洋画は字幕派の方もこの作品は吹き替えでも視聴してみることをオススメする。
 
 
 
 
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2020-01-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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