メディアグランプリ

不要だと思っていたものが作品に変わった話

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:石塚 勝巳(ライティング・ゼミ 冬休み集中コース)
 
 
「この人、誰だっけー?」
「前と感じが変わったねー」
 
リビングのテレビを囲みながらの奥さんとのなんの変哲もない会話である。
僕の家では、ほぼ常時リビングのテレビがついており、誰かがそこでテレビを見ている。
その番組の内容やそこに出演しているタレントさんたちを見ながら、家族の会話も膨らむ。
そんなテレビを見ていて必ずと言っていいほど出会うものがある。
それは、CMである。
 
番組のシーンとシーンの合間にスポンサーとなってくれた企業のCMが流れる。
バラエティなどでよくあるのは「気になる結果は……CMのあとで!」という、
気になる内容を引っ張って、じらして、最後の最後に発表するというパターンで、
「いい加減、結果を教えてよ!」って思うことはよくある。
 
ほかにも、映画みたいに、もともと途中にCMがないコンテンツの合間に入れたときに「なんでこんなところでCMに行くんだ!」と思うこともよくある。
 
スポーツ中継もそう。CMから戻ってきたら、「状況が変わっていた!」、「良いシーンを見逃した!」ということもある。
 
コンテンツを見る側としては、コンテンツの内容が見たくて見ているのだから、当然の感情だろう。一方で、コンテンツを提供する側としては、いかにチャンネルを変えさせないかというのが重要になる。その上で、スポンサー企業のCMを見てもらいたいのだから、このような方法で流すというのもわかる。
それでも、昔の僕は「不要なもの」、「余計なもの」という認識だった。
 
でも、最近は変わった。
ほかのチャンネルで面白い番組がないとか、企業やその商品が良くなってきたからという理由ではない。
CMそのものが面白くなってきたのと同時に「CM=広告」から「CM=作品」として変化したのだ。
それにより、見方や感じ方が変わっていき、
ずっと見ていたいと思うような作品にいくつも出会えた。
 
例えば、とある缶コーヒーメーカーのCM作品。
「世界は誰かの仕事でできている」というキャッチコピーのもと作られた作品である。
自分たちの仕事は誰かの仕事に支えられていて、その誰かの仕事も別の誰かに支えられていて、そして誰かの仕事を自分たちの仕事が支えている。働くというのは、どこかで誰かとつながっているということを伝えている。
 
僕はこれを見たときに、自分たちだけでは成り立たず、誰かのために働き、それが巡り巡って、自分のもとへと返ってくるという、「あぁ、そうだ。働くってこういうことなんだ」と思い出させてくれた。このシリーズの続編も出ており、すべてが好きだ。
 
また、別の缶コーヒーメーカーのCM作品も好き。
「このろくでもない、すばらしき世界」というキャッチコピーの作品だ。
日本の社会や職業などを宇宙人である主人公が俯瞰しながら課題や問題点を指摘するが、
缶コーヒー片手に「ろくでもないこともあるけれど、やっぱりいい日常だよね」というのを伝えている。
 
最初は否定から入り、ウィットに富んだ表現で切り取って描写する。普段の何気ないことや当たり前だと思っていたことを俯瞰した視点で表現し、あらためて見るとそうだよなぁと共感してしまう。このシリーズもロングランとなっており、すべてが好きだ。
 
ほかにも、とあるビールメーカーのCM作品も好き。
「自分なりの価値観を持った大人同士が飲むビールである」というコンセプトで、出てくるのが「大人エレベーター」。自分の生き方にしっかりとした想いを持っている「大人」たちが各フロアで待っており、「大人」というテーマについて、ビールを飲みながら語り合うCMだ。
 
各フロアにいる「大人」たち、それぞれがもつ想いや価値観、メッセージが染み入ってくる。
「大人」というテーマではあるが、「生きるとは」というメッセージとして、僕は受け取った。続編がたくさん出ているが、このシリーズもすべてが好き。
 
例として挙げた3つの作品に関しては、あくまでも僕が好きになった作品なので、共感が得られないものもあるかもしれない。ましてや、好きになるポイントや共感するポイント、面白いと思うポイントは人それぞれなのだから。
 
ただ、おわかりの通り、僕は1度好きになった作品はそのシリーズすべてを見入ってしまうし、好きになってしまう。これは単純に僕が好きになりやすいだけかも知れない。
 
それでも、込められたメッセージに共感したら好きになる。
CMは商品への購買行動へ移すことが最終ゴールだと思うが、それだけではなく、考え方やマインドを変えてしまうような作品はすごい。
伝えるというのはとても難しい上に、15秒や30秒といった短い時間に伝えたいことを込める。そこには、作り手が込めた想いや生き様が映し出されているようだ。
 
あらためて、CMとは、こんなすごいコンテンツだったとは!
何気なく見ているCMも見方を変えたら、素晴らしいコンテンツになるかもしれない。
 
 
 
 
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2020-01-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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