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バルス体質のあなたへ 〜滅びの呪文のその先へ〜

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:はいふぉん7C(ライティング・ゼミ特講)
 
 
滅びの呪文の本当の意味を知ったのは、つい最近だ。
いくつかの光景が頭に浮かび、結びついていく中で、
時間をかけて理解していったと思っている。
 
いくつかの光景。
その1つ目が、暗闇に突如現れた、東京湾にかかるレインボーブリッジだ。
日没を過ぎて、ライトアップされた橋の姿は、本当に美しかった。息を呑むとはこのことで、驚きと喜びのあまり一瞬言葉を失った。
どん底にいた私を励ましてくれているかのような気持ちになって、しばらくの間、私は目の前に広がる景色を眺めていた。
 
大学生2年の数ヶ月間、建設現場でアルバイトをした時の光景だ。
当時、大学を登校拒否中だった私は、ドリルでコンクリートの壁に穴をあける作業をし、クタクタになって寝る日々を繰り返していた。
ある日、1日中、コンクリートに囲まれた空間で、穴をあけ続けた。狭く真っ暗なその場所にいるだけでも忍耐を必要とする作業だった。
日没後、やっとのことで貫通した時、目の前に現れたのが、
キラキラと輝くレインボーブリッジだったのだ。
 
ほとんどのことは、問題なく進んでいた。
というより、中高生の時に雑誌で読んで憧れた、ポップで華やかな、
それはそれは、楽しい大学生活を送っていた。
しかし、特別な努力を必要とせず、何かに情熱を傾けるわけでもなく、ただ要領よくやっているだけだった。
そんな自分をマズいと感じて、大学へ通うのをいったんやめた。
きっと自分は、このまま流されていく。
このままだと、こうなるはずじゃなかったという自分になってしまう。
だから、ここで、流れをとめなければ。今を一度ぶっ壊さなければ。
そう考えた末の行動が、順調な大学生活を捨てること。
それが私の1stバルスだった。
 
孤独で単調な肉体労働の繰り返し。
結果、恐ろしいほど単位は落とす。
何より、ほとんど人と接しないことで、気持ちが沈んだ。
でも、あの時苦しみが血肉となり、今に直結していると言える。
 
そして、以来、なぜだか数年に1度、あの光景が頭をよぎった。
より正確に言うと、あの光景を前にした自分を想い出すのだ。
長距離を走った後のように大きく荒い呼吸で、ニヤつきながら、
夜景を眺める自分の姿を。
なぜだろう。不思議なものだな。何か意味があるのかな。
最初は、そう思っていた。
 
それから、ずいぶん時間が経ったある日、レイボーブリッジとともに、
2つの情景が脳裏をよぎり、結びついた。
私が経験したもう2つのバルスを象徴するイメージだ。
2ndは仕事で。
残念ながら、仕事のことは安易に書けない。守るべき義務があるので。
3rdは女性がらみ。
残念ながら、女性のことも安易に書けない。守るべき相手がいるので。
 
そのどれもが、一見、そのまま進めておけば安泰なものばかりだった。
スルーしてもよかったかもしれない。
しかし、バルス体質の私は、叫んでしまったのだ。バルスと!
あえて自らを奈落の底に突き落とす行為は、
予想通り心身に大きなダメージを与えるツラいツラい経験だった。
しかし、時間が経って確信しているのは、
この3つは、自分が今の自分になる決定的な要因であるということだ。
これがなければ、今の自分はない。
 
私は今、大学生の頃、なりたかった自分になれている。
有名人でも特別高い地位にあるわけでもない。
圧倒的な経済力があるわけでもない。
しかし、心はとても自由だ。
そして、40代になっても、昔と変わらずやる気にあふれている。
本当に恵まれている。
何より、感謝の気持ちを持って日々の生活を送れている。
 
最近になって感じはじめた。
3つのバルスに共通する暗闇がキーなのではないかと。
それまで受けていた外部の刺激を遮断して、自分の本音に向き合える。
つまり、滅びの呪文は、新たな自分を生み出す、またとないチャンスなのだ。
たしかにそれは、暗黒への入り口となるかもしれない。
しかし、自ら突き落とした暗闇の中でこそ、
手に入れられる自由があると感じるのだ。
 
ぶっ壊さずにいられない、
そんなバルス体質のあなたに語りかけたくて、
私はこれを書いている。
理想や正義を優先して、あえて滅びの呪文を唱えてしまうあなた。
そんなあなたに伝われば、バズらなくてもいい。アクセス数も気にならない。
届くべき、あなたに届いて欲しい。
 
恐れずに進んでほしい。
きっと、困難が待ち受けている。
アニメのように、呪文を唱えてそう時間が流れていないうちに笑顔のハッピーエンドが待っている、なんてことにはならないだろう。
それでも、自分の信じた道を行くほうが、
人生はやっぱり楽しいのではないだろか。
もし、暗闇の中で、1人これを読んでくれているのなら、
あなたに一言伝えたい。
 
「大丈夫。あなたは正しい」
 
そして、いつかあなたと私が巡りあうことができたら、
語り合えないだろうか。
あなたと私の経験を。
そうすることで、あなたと私の経験がさらに意味を持つ。
呪文を唱えたその先の世界が、いっそう、心地よいものになる。
人と人が根っこの部分でつながることで、世界はよくなる。
そう、私は信じているから。
 
 
 
 
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2020-01-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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