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メディアグランプリ

偏見コレクションは、まだまだありそうだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:郡山秀太(ライティング・ゼミ 日曜コース)
 
 
(またあのひといるよ)
 
いつもいくスーパーには初老の男性警備員がいる。
50から60歳くらいだ。
マンションが立ち並ぶ地域の真ん中にあるスーパーだから利用客も多く、雇われているのだろう。
仕事が終わってから、夜の10時くらいに、ほぼ毎日利用している。
 
勝手な思い込みだが、その警備員ときたら、こっちをジロジロ見てくるのだ。
いや何もしないからこっちを見るな。
 
警備員は店内をまわる。
それを避けるように僕は店内を歩く。
なんだか監視されているような気がするから。
 
警備員だからというわけではない。
申し訳ないが、初老の男性にあまりいい印象を持っていない。
とんでもない偏見であるのは、もちろん重々承知だ。
 
なぜそんな偏見を持つようになったのか、原因はいろいろあるのだろうが、ひとつ強烈に覚えている出来事がある。
 
それは中学の消防訓練。
 
「おまえら! 白い歯を見せるな!」
 
怒鳴り声が響く。
消防訓練中の中学生は、もちろん落ち着きがない。
 
「消火器を体験したいひとはいますか」と消防隊員がみんなに声をかける。
こんなとき手をあげるひとは、だいたいクラスでも笑いを取りにいく男子だ。
当然、みんなニヤニヤしている。
 
消防隊員の中に、たぶん偉いのであろう初老の男性がいた。
その男性が、ニヤニヤしている我々を怒鳴りちらしたのだ。
 
「おまえらの白い歯を見るためにやっているんじゃない!」
 
ちょっと気の利いた言い方である。
「笑うな!」「真面目にやれ!」
だったら当たり障りない。
記憶にも残らず、引き続きジェームス・ブラウンばりに白い歯を光らせていただろう。
 
「白い歯を見せるな!」だったから、強烈に記憶に残ってしまった。
 
なにも怒鳴らなくていいし、初対面のあなたにそんな言われたくない。
なんなら他の消防隊員も白い歯を見せていたではないか。
すこぶる嫌な気持ちになったことが心に刻まれている。
嫌な気持ちと初老の男性がアンハッピーセットの記憶になってしまったのだ。
 
また、いつものように夜10時前後に例のスーパーを利用していた。
お店に入ろうとすると、あの初老の男性警備員と同タイミングになってしまう。
 
スーパーには二つ入り口がある。ひとつは大きく3人横一列でも入れそうなくらい。
もうひとつは、人ひとりがようやく入れるような幅だった。
その小さい入り口で鉢合わせになった。
 
こちとら初老の男性に苦手意識がある。
一瞬時が止まった。
 
警備員がクチをひらいた。
「あ、お先にどうぞ」
 
そこには、笑顔の警備員。
 
「ありがとうございます」
と先にはいる。
あれ? なんかモヤモヤしてない?
 
「あ、お先にどうぞ」の「あ、」には、ひとの良さが漂う。
僕がイメージしていた、頭ごなしに怒る初老の男性じゃない。
 
そりゃそうか。
みんながみんな、あの消防隊員のおっさんじゃないよな。
 
「ある日、偏見でスーパーの警備員さんを嫌っていた男がいたんですよぉ」
「なぁぁにぃ! やっちまったなぁ!」
思わず、クールポコも叫ぶ。
やっちまった。
 
以前、ツイッターで叩かれたことがある。
多数のツイッター民から叩かれてしまい、どうしようもなかった。
反論すればするだけ、あーいえばこういう攻撃をくらった。
クレヨンしんちゃんに、母みさえがキレる気持ちがわかる。
 
一番きつかったのは、「どうせこうなんだろう?」と決めつけてきたこと。
何も知らないのにそこまで言い切れるんだ、と憤慨し、ブロックしまくった。
 
それと同じ。
相手は警備員。お店を警備しなければならないのだ。
難しい顔をしてお客さんを見るのも仕事の一つだ。彼らは仕事をしていただけなのだ。
そんなこと一つ考えずただ嫌悪していた。
一方的に決めつけて攻撃するあの時のツイッター民と同じではないか。
 
アインシュタインが「常識とは十八歳までに身につけた偏見のコレクションのことをいう」という言葉を残している。
僕の場合はあまりに安直すぎて「いやいや君のはただの頭でっかちやで。いっしょにせんといてくれる?」と、アインシュタインにきっとつっこまれる。
IQ10の僕のはただ悪い印象を押し付けていただけなのだ。
頭ごなしに怒鳴るあのおっちゃんとほぼ一緒。
恥ずかしくなった。
警備員さん、ほんとごめんなさい。
 
もう、あの警備員がいても平気だ。
彼を見るたび、僕のアホさを思い出して恥ずかしくなるが、自分の偏見がひとつ修正されたのだ。
 
僕の偏見コレクションは、まだまだありそうで困る。
それは仕方ない。
いままでの自分がそうやってきてしまったのだから。
 
これからが、大事。
引き続き、偏見コレクションは披露されるであろう。
その都度、自分、あるいはひとに嫌な思いをさせているとしたら修正する。
これからは、自分がこうだと思っていることを、他人を見るような気持ちでスキャンし、修正がいるようなら修正していこう。
 
「男はだまって、反省」
クールポコも、そう言ってる。
 
 
 
 
***
 
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2020-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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