fbpx
メディアグランプリ

人を動かしたいと意識すると人は動かない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:窪田克彦(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「開場の2時間も前からずっと待っている方がいるんですよ、窪田さんに会いたいって」。
 
2年前、出身地の北海道釧路のある団体からの依頼で講演会をさせてもらったときのこと。会場に到着するなり、主催の担当の方がそう言ってきた。
 
準備もあるし、面倒だなと思いながら、
「もちろん、いいですよ」と答えると、
 
講師控室をノックして入って来た方は、
40代後半くらいのスーツ姿の男性。
 
「窪田さん、湖陵ですよね」
「(んっ、誰?全く見覚えがない)そうですよ、もしかして湖陵出身?」
「そうです。覚えてないですよね?4つ下なんで。
バスケ部なんです、後輩っす」
 
自分より4つ年下の高校の後輩らしい。Y君と言う。自分もバスケ部に入っていたから、Y君は高校の後輩であり、バスケ部の後輩でもある。
 
講演会の講師が自分であることを知り、なんとか会って挨拶したいということで尋ねてきた。
 
そうは言っても、自分が高校の3年の時にY君は中学3年な訳で、高校時代の3年間に被っていないので自分はY君のことを知らない。
 
ところが、彼は熱く、話しかけてきた。
 
「俺、窪田さんのおかげで、人生が変わりました。頑張ればなんとかなる、諦めなければ、必ず実現するということを学びましたよ。本当、感謝してます」
 
正直、何を言っているのか、さっぱりわからなかった。
 
彼の頭の中では自分のことをヒーローか、すごく尊敬する人のように思っている。熱くまくしたてている。彼はそう思っているのかもしれないけど、自分はよくわからない。このギャップに「君が何を言っているのか全然知らんよ」
とストレートには言えないし。
 
そこで、上手〜く
「で、その時ってどんな感じだったっけ?」
みたいな曖昧な聴き方をしてみました。
 
すると、こんなことを彼は話してくれた。
 
実は、彼らの代は僕らの代よりもチームとしては強く北海道大会を制し、全国大会に出場した。そのインターハイの直前期に大学生の僕は帰省のついでに、大量の差し入れのスポーツドリンクを持って激励に行ったのだった。
 
思い出してきた。
 
北海道の道東にある釧路は夏でも25度を超える日は夏場に数回しかないくらいの冷涼な気候。インターハイは石川県で開催されるらしく、体育館を閉め切って冬に使う超大型の暖房ヒーターを体育館の四隅に設置して暑さ対策をしながら練習をしていた。
 
「何、この暑さ!」その時の体育館の熱気が蘇ってきた。
 
「窪田、大学でやってんだろ。まだ動けるんだろう? Bチーム(補欠)入ってくれ」と監督に言われレギュラーチームではないチームに自分が入ることになって、5vs5の実践形式の試合が行われた。
 
その時のレギュラーチームは強かった。
 
その数年前に中学でも全道大会を制し全国大会に行ったメンバーがそのまま
 
高校に入学してきていたのでレギュラーチームであるAチームとBチームとの間には大きな実力の差があった。
 
それでも、負けたくないから、本気でやったのは覚えている。
 
15分を2セット。1セット目が終了したハーフタイム。後半の戦略をBチームの皆で話し合っている時、自分が熱すぎたらしい。
 
レギュラーチームの唯一の弱点を攻める戦術とともに、
 
絶対負けない、負けたくないだろと。
 
俺は負けたくない。
 
俺を信じろ、自分を信じろ、絶対に勝てるって
 
言ったらしいです。何度も、何度も。何度も。
 
それで勝った。結果的に。
 
「レギュラー陣、自信なくしちゃいますかね?」
 
「いや良かったよ。あいつら調子に乗ってたから」と
 
監督が答えた時の嬉しそうな表情を思い出した。
 
Y君は絶対に勝てないと思っていたらしい。
 
Y君のおかげでかなり思い出したけど、ハーフタイムに熱く語った時の内容や誰に言ったのかなどはこれまで一度たりとも思い出すことはなかった。
 
あれから、30年、目の前のK君がその時のことを熱く語り、感謝を述べてくれている。今の自分があるのはあの時のおかげだって。
 
「知らず知らずのうちに人に影響力を与えることってあるんだ」
 
絶対負けたくない!と思い、目一杯自分が熱くなり、目の前の練習試合に情熱を注ぎ、残りのメンバーを結果的に巻き込む。
 
人に影響力を与えるというのは、
与えようと思ってするものではない。
結果的に与えるもの。
 
動かそうとして、意識して人を動かす。
影響力を与えようとして意識しているうちは、
人は動かないし影響なんか受けない。
 
たとえば、スーパーアスリートを尊敬して、この人のように頑張ろうと思う時、そのアスリートはあなたに影響力を発揮しようとなんて1ミリも思ってなんかいない。あなたが勝手に思っているだけ。
 
北風と太陽ならば、太陽になる。
北風はかなり強引なテクニックを使いコートを脱がせようとするけど。
太陽は穏やかに熱く燃えながら自然にコートを脱がせようとするから。
 
いや、でも、やっぱり、それも違う。
北風だけじゃなく、太陽だって、旅人のコートを“脱がせよう”と「意識」、「意図」している。そんな意図を持っていたら人は動かないだろうなって思う。
人を動かそうなんて見え透いたテクニックからは、本当の影響力なんてものは生まれないんだろう。
 
だから、リーダーシップを身につけるために勉強しますなんてことは本来おかしいわけで。さらに、効果的にリーダーシップを身につける方法なんて本もやはりおかしい。
 
絶対に負けたくない。熱い心や志がまずある。その結果、人が付き従ってくる。勝手に自然と身についてくるものがリーダーシップなんだと思う。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

【2020年2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《1/19(日)までの早期特典あり!》


 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2020-01-17 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事