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観たら感想を教えて欲しい~映画「モフれる愛」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:Masa(ライティングゼミ・平日コース)
 
「つい泣いちゃった」近くからそんな声が聞こえてきた。
「思ったよりずっと良かった」一緒にいた友人はそんな感想を漏らした。
収容人数が137席の割と小さなシネコン。半分程度の席が埋まっていた。
観客はほとんど女性。年齢層は若い方からちょっとお年を召した方まで年齢層は広いように見えた。
どこからか中国語が聞こえた。中国の方も割といたようだ。出演者のファンだと言っていた日本人女性もいたので、そういう方も多かったのかもしれない。
 
1/19から東京、池袋で単館上映が始まった中国の映画「モフれる愛」。初日第一回目の上映を観に行った。
この作品は、昨年の12/31に中国の大陸で公開されたばかりだ。
 
中国では、クリスマスから旧正月(今年は1/25)の休暇までを目安に公開される映画を「お正月映画」という。
家族や友人同士で気軽にみられるコメディタッチで、ハートフル。有名な俳優やアイドルが多数出演するというのが特徴だ。
 
この作品はそんなお正月映画。公開から二週間で約6億元(日本円に換算すると約100億円)の興行成績を達成し、観客動員は大陸で二週間1位をキープしていたヒット作だ。
 
人気の俳優たちの他にハリウッドから動物のトレーナーとともにやってきた芸達者な動物たちが登場しているのも人気が出た要因の一つのようだ。
 
出演者が気になって映画館まで足を運んだのだが、実は動物が出演する映画は、あまり得意ではなかった。
動物は可愛い。特に子犬や子猫、この作品に出演している子豚も見るのは大好きだ。
しかし、与えられた運命の中でけなげに生きる動物たちに焦点を当てたストーリーを見ると心の底から切なくなる。
私は自分のその切ない感情に対峙するのが苦手で、普段は動物の出演するドラマを積極的には見ない。
 
ところが、エンドロールを観ながら「こんなに少ない観客じゃもったいないな」と思った。
作品を見終わった後、とても心地良かったのだ。ハッピーエンドの謎解きをみせられたようなそんな気分になった。
 
この作品は6匹の動物と彼らを取り巻く6つのストーリーで構成され、そこにかかわる人達の日常生活を描いたものだ。
 
舞台はとある中国の高級住宅街。
 
最初に出てくるのが新婚カップル。奥さんは子供の頃から大型犬を飼っていて、彼女のボディーガード役だった。そこで問われる旦那さんの役割。
 
次に出てくるのが投資家の男性。彼は長年付き合った彼女にどうしても言えない秘密があった。彼は子豚を溺愛して、一緒に暮らしていたのだ。
 
次はお屋敷に住むセレブな男性。彼は今、一緒に暮らしている猫に癒される日々。しかし、アメリカに住んでいる一人娘がその猫を引き取りたいと言ってきた。
  
次に幼馴染の二人。少年と少女とその飼い犬。少年の失明をきっかけに二人の関係に変化が訪れる。
 
次に、同じマンションにすむ青年と若い女性。2人で子猫を助けたことから物語が始まる。
 
最後に、この高級住宅街でお弁当の配達を始めた青年。広くて似たような建物が並んでいるエリアで迷っているところに人間を異常に警戒している野良犬に出合う。
 
人は誰かといると、心地よい時もあればそうで無い時もある。一緒に生活をしていれば何かしらのトラブルや悩みを抱えてしまう事もよくある。しかし、一つのきっかけで解消する事もある。このドラマは、その糸口を担うキーマンが生き生きとして、表情豊かな動物達だ。彼らは自ら飼い主を愛して、人を結びつける天使の役割をしてくれているようにも見えた。
 
特に印象的だったのは、最後に登場するお弁当配達人の青年と野良犬のエピソードで、全ての登場人物たちの絆が次第に解き明かされ、安堵感が訪れると共に胸が熱くなった。
 
さほど興味のない合コンで運命の人に出会ってしまったような、「見てよかった」そんな気分にさせてくれた。
 
監督のラリー・ヤン氏は1981年生まれの39歳。まだ日本での映画公開はないものの、中国での映画賞を2度、受賞したこともある方。プロデューサーのシュー・ジェン氏は中華圏では、俳優や、映画監督として幅広く活躍している。二人とも世相を反映したコメディタッチのヒューマンドラマを得意としている。
 
出演者は、日本で放映されている中国ドラマを見ている方なら一度は見たことがある俳優が勢ぞろい。そして主役ではなくカメオでも有名俳優たちが登場するため、中国ではそれを楽しみに見る観客もいるようだ。
 
配給したのは、中国の良作を日本へ紹介しようというコンセプトで、運営している新しい会社。今回が配給2作目となるという事でプロモーションは細々とツイッターでする程度だった。
目ざとい友人がそのツイートを見つけられなかったら、私もこの作品と出会えることは無かったかもしれない。
 
一般的には、出演者も知られていないアジア映画。しかも海外の賞なども獲得した実績もない。まるで、爆発的に人気が出る前のタピオカミルクティーのように、何かのきっかけがないと食指が動かず、集客に結びつけるのはやや難しいのかもしれない。
 
それでも、もしこの作品を見たら、6つのストーリーのどこかの場面で「わかる、わかる」と共感してくれるような気がする。
 
上映は2/1まで。今後、DVD化かネット配信して少しでも多くの日本の方の目に触れて欲しい。そして、なじみのない中国の映画でも、「観てみたらどんな気分になったか」観客に聞いてみたい気がする。そんな作品だ。
 
 
 
 
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2020-01-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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