メディアグランプリ

7秒間で幸せになる方法


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事;yuko(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「ゆうこ、今日は楽しかったね! おやすみ」
 
彼氏か、と思う。
 
「なんで今日来なかったの? 会いたかったのに」
 
愛されている、と錯覚する。
 
私の心を弄ぶのは、現在5歳になる甥っ子だ。
産まれた時から近所に住んでいるので、もはや私は親気分。
2歳くらいから、よく2人きりでお出掛けもしているので、家族や友人からは、「育ての親」とも言われている。
 
男の子のお母さん達が、息子のことを「小さい彼氏」と呼ぶのがよく分かる。
彼らは、女心をよく分かっている。
「大好きだよ」
「今日のスカートで可愛いね」
「ぼくがついているから大丈夫だよ」
 
出てくる、出てくる、イケメンワード!! 可愛いルックスで、さらにこんなことを言われたら、心をグッと鷲掴みにされてしまう。
実際、私もその一人だ。
 
2人で、デートと称して映画に行った時。
ペアシートに座り、彼は短い脚を組んで、小さい手で恋人つなぎをし、さらには私の肩にもたれてくるその姿は、もはや彼氏としか言いようがない!!
若干古いが、「惚れてまうやろ~~~っ!!」と叫んでしまいそうになる。
そして夜は、ボイスメッセージで、彼から「おやすみ」LINEが届くのだ。
イタイ、と言われてもいい。だってもう、たまらない……(鼻血)。
 
私と甥っ子は仲が良い。
もちろん、一緒にいる時間も多いので、よく遊ぶからだとも思う。
ただ、きっかけがあるように思うのだ。
 
それは、「7秒間のハグ」。
彼が1歳半くらいの頃だったろうか。初めて保育園という所に預けられた日だ。
姉が仕事復帰した日だった。
母がお迎えに行き、姉が帰るまで実家で面倒をみる、という流れだった。
私の方が姉より仕事が早く終わるので、気になって実家に寄ってみた。
 
「……そうちゃん?」
 
ゆっくりとリビングの扉を開いた。
……もしかしたら、姉と間違えたのかもしれない。彼は小走りで私の方に向かってきた。
思わず、「今日は頑張ったね」と、ぎゅっと抱きしめた。
体感では数分に感じた。彼もなかなか離れない。私も愛おしくて抱きしめ続ける。
保育園という未知の場所で、母親とも離されて、とても不安だったのだと思う。寂しかったのだと思う。
それを埋めるかのように、私たちはハグし続けたのだ。
 
いま思えば、その時からだった気がする。
彼にとって私が、「信頼できる相手」「愛してくれる存在」「認めてくれる存在」として位置づけされたのは。
ハグって素晴らしい。
マザーテレサの言葉にも、「世界平和の為にできることは、大切な人とハグをすること」といったものがある。しかも、7秒以上のハグだ。
 
ハグは、脳科学的にいっても、「幸せホルモン=オキシトシン」が分泌されるそうだ。
オキシトシンは、抱擁ホルモンともいわれている。
そして、五感で全身に伝わるのに、7秒以上必要らしい。
 
7秒間って、実は結構長い。
じっくり抱きしめ合って、心がじわ~と温かくなるのを感じる。
子供も、「自分はここにいていいんだ」と承認欲求が満たされるし、何より安心感を得る。
一方、大人の方も、ストレスが軽減するらしい。
 
兄弟がいる家庭では、まだ手のかかる下の子がいる為に、お兄ちゃん、お姉ちゃんは我慢を強いられる。母親は、スキンシップをとる余裕もなくなる。
小学生くらいになり、もうハグする歳でもないと、恥ずかしがる子供もいるかもしれない。
しかし、実際にはスキンシップを求めている子供は多くいる。
だって、大人であってもハグって安心するのだ。
子供なら、なおさらではないか。
 
もちろん、子供に限らず、相手は家族、恋人、友人だっていい。
ハグって素晴らしい。
心が豊かになる。だって、世界平和にも繋がる。
大雑把なイメージだが、フレンドリーな欧米に比べ、閉鎖的な日本は、ハグをしない文化に影響しているのかもしれない。
家族愛も、欧米に比べて一般的に希薄な気がする。
 
だからと言って、「2020東京オリンピック! 皆さんもっとハグをしようじゃないか!」と啓蒙活動のようなことを言うつもりはない。
自分の家族を考えても、親や姉妹でハグし合うなんて、今さら小っ恥ずかしい。
見ず知らずの人との「フリーハグ」なんていうのも、私にはハードルが高い。
元来、日本人はハグが苦手なのだ。
 
ただし、世界共通で推奨されているもの。
それは「子供とのハグ」だ。
世の中のお母さん達は、本当に日々忙しい。そして様々なストレスを積み上げている。
そんな中、子供とのスキンシップはあっても、なかなか7秒間のハグって難しい。
されど、7秒。
寝る前のひと時……。子供と向き合える7秒間の時間の中で、互いに幸せを感じることができる。
叱られて痛める小さな胸も、怒りまくった心の痛みも、同時に消化してくれるはず。
 
7秒間のハグ。
子供なら、恥ずかしいことはない。
 
そして、私の小さな彼氏。
明日も会ったらハグをしよう。
 
ただ、あまり私を貢ぐ女にしないで欲しい。
 
「ゆうこ、今日は何かオモチャ買ってきてる?」
 
 
 
 
***
 
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2020-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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