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メディアグランプリ

トラブルは神様が用意したテストだ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:イシザキマキ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「土砂崩れのため、駅に停車します。復旧のめどは今のところたっていません」
 
台風の夜、アクシデントが突然やってきた。こういうのは映画か小説の中でだけ起こるものだと思っていた。今、コロナウイルスが広がり、ニュースを見て現実にこんなことがこのタイミングで発生するのか! と思う。そしてこの時、このニュースと同じぐらい、自分にふりかかった出来事にびっくりした。
 
9月のある夜名古屋から大阪に戻る途中、乗っていた電車が土砂崩れにあい、結果15時間その駅から離れることが出来なかった。山のほうの駅で、周囲は強風と漆黒の闇、近くにホテルや旅館はなく、タクシーも土砂崩れで道も埋まり手配出来ないと情報が流れた。
 
飛行機が飛ばず居心地の悪い一夜を空港で過ごした事はあったけれど、朝になっても電車内しか居場所がなく他の移動手段がなかったので、その時よりずっと不安な一時避難生活だった。そして、震災で避難生活をするような経験はなかったけれど、この経験を通していざという時に常に何があればいいのか、どんな心構えがあったほうがいいのか考えるきっかけをくれた出来事だった。
 
夜の10時ぐらいに電車が駅にとまり、再び動き出したのは翌日の昼過ぎ。このときはなんて時間がかかるのだと思ったけれども、冷静に考えると土砂崩れで線路と道が寸断されているような状態から数時間で復旧出来ていたのは凄いこと。
 
特急の中で一夜を過ごすのに、毛布が配られた。あの飛行機で配られるようなブランケット。駅か特急内にそんな在庫が確保されているのか? これは意外でとてもありがたかった。いざという時の為に備蓄されているのだろう。
 
真夜中の3時ぐらいに、冷たいおにぎりとお茶が、ずっと謝り続けている駅員さんから配られた。唯一近くにあったコンビニから調達したのだろう。なぜ、その時間にわざわざ配ったのかは、私の想像力では答えを見つけることは出来なかった。いつ配るかを関係者で話し合った結果そうなったのか。手配しているうちに深夜になってしまったのかもしれない。そして朝にもサンドイッチが配られた。真夜中に何を考えているのだと、駅員さんに文句を言って責めたてる人たちはもちろんいた。この対応をなんの予測もなしにしないといけないのは、とても気の毒とも思った。
 
この一時避難生活で日頃から気をつけておいたほうがいいと感じたことが何個かあった。
まず、電源の確保。充電器は必ず持っておくべき。そして、動けなくなったらすぐに充電できる場所を探すこと。台風接近中だったので帰路を心配してくれた名古屋で会っていた友人達からのLINEや、思わずつぶやいたTwitterに、遠く離れた友人達との距離が一瞬で縮まり、彼らから励ましのコメントが何度か届いた。電車が動き出すまで、電源を節約しつつ職場や友人達とのやり取りを続けられた。スマホがある時代でよかった。
 
甘いものやスッキリするもの。いわゆるリフレッシュメントといわれるもの。私はミントのタブレットをいつも持っていて、その存在はとても救われた。
 
本やパソコン。何かをしてこの時間を有効に使うしかないので。そして、大人たちが携帯とにらめっこしながらソワソワしているそばで、冷静に参考書を見ている高校生ぐらいの男の子がいて、素敵だなあと思ったことが記憶に残っている。
 
常時ティッシュを持っていること、そしてこういう時は出来るだけ口にするものは少ないほうが良い。車内のトイレはあたりまえのように汚物でいっぱいになり、昼前には黄色いテープがはられて使用禁止になった。都会にいると、汚物回収しないとトイレは一杯になって使用不可になる事は忘れてしまいがち。
 
不愉快と感じる人がそばにいたら、さっさとその空間を去る事も大切。他人と過ごす空間で長丁場なら、少しでも心地よい空間を確保できるとよい。隣にニンニク臭の酔っ払いがいても耐える時間は、新幹線のような移動手段が指定席の場合だけでよいと思う。
 
協力できる仲間を見つけること。席の確保の為に荷物を置いたまま、席から離れたいときに連れがいなくて荷物を見てくれる人がいなかったら不便だったと思う。同じように女性1人の方を見つけて、お互い協力しあった。こういう時ぱっと声をかけるタイミングや、協力しあえそうと嗅覚を働かして見極められること大事だと思う。
 
みんなで周囲の他人にも少しは気にかけること。自分の事や自分の連れだけではなく、子供や老人、内気そうな1人の人には周囲が気にかけてあげたい。この時残念なことがあった。若い女性2人を連れた男性が、彼女達に良い席を確保するためある妙齢の女性客の席を一瞬で奪うという、出来事があった。その男性は彼女たちの為に必死だったのだろう。確かに、本当にいざという時は、かっこ悪くても身近な人間を守らないといけないという場合もあるけれど。
 
こういう、非常時とまでいかないけれどトラブルに出会った時、企業も人も試されるのだと思う。日頃の持ち物や服装、考え方、どう判断し行動するか。
 
トラブルは企業や人を試す神様が用意したテストなのかもしれない。どんな備えがあったほうがいいと思ったか読み直してみると、当たり前の事を当たり前に出来ることに近いと思う。そう思うとトラブルに出会っても気持ちが前向きになる。
 
この時、その電車に乗った目的の駅、鶴橋という駅に着いたのは15時ぐらいだった。多くの人は穏やかにその結果を受け入れた。真夜中に冷たいおにぎりを渡すために起こされても、土砂崩れで進路を絶たれたというトラブルの対応として十分に安全に早く目的地に届けてもらえたと多くの人が感じたのだと思う。
 
 
 
 
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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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