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目玉もサウナー


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記事:平本 智佳(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「鬼太郎、いい湯加減じゃ」
ご存じ「ゲゲゲの鬼太郎」の目玉おやじの台詞である。
目玉に手足が生えている、そして、小さいのに鬼太郎のお父さんだという突っ込みどころ満載で、よく考えれば不気味な形状ながら、ファンの多いキャラクターである。
目玉おやじはちゃんちゃんこも来ておらず、基本裸だ。
だから冷えるのではないか。しょっちゅう茶椀にお湯をいれてもらい、風呂に入っている。
そしていつもの台詞が出る。
 
ところで、私も最近目玉を風呂に入れるのにはまっている。
といっても私の目玉は取りはずし自在ではないので、茶碗風呂ではなくドライサウナといったところか。
何かといえば、目に当てるカイロである。
マスクのような不織布で、耳にかけて使用するアイマスクである。40℃(サウナとしてはぬるいが、目玉には十分な温度)で20分間温かさが続く。
私の目は、もともとの近視(0.03だ! )、乱視に加えて、老眼、そして最近発症したドライアイと目のトラブルてんこ盛りである。
ましてや、仕事ではパソコン、プライベートでもタブレットやスマートフォンと目を酷使する環境はばっちりすぎる。
当然、一日の終わりともなれば、眼はショボショボ、表面はパリパリ、目の疲れから肩はゴリゴリと悲惨な状況となる。
これが、夜眠りにつくときのカイロ式アイマスクですっきりと解消される。サウナ的にいえば「ととのう」。
あまりの心地よさに、カイロの発熱時間20分が終わるまで起きていられず、眠ってしまうほどだ。
 
このアイマスクについては、テレビのCMでもよく流れていたが、私が知ったのはドライアイで眼科にかかった2年前である。
眼科医いわく、目には涙以外にも潤滑剤となる油のようなモノが分泌されている。その穴が詰まってしまうと目が乾き、いくら目薬を差してもドライアイは解消されない。ついてはカイロ式アイマスクで温めて、分泌物の出を良くしなさいとサンプルを1枚もらったのだった。
疑り深い私は「熱くなりすぎて、ほんとうの目玉焼きになっちゃたりしない?」と思い、すぐには使用しなかった。
しかしある日、もう限界! というほどドライアイで目が痛くなり、最終兵器のつもりで試してみた。
そうしたら、ほどよい温かさでじんわりと効いてくるではないか。「ふう」なんて、コマーシャルみたいに声が出るほど気持ちがいい。新製品が出たらあんまり疑心暗鬼にならないで、なんでも一度は試してみるべきかもと反省した。
人生の楽しみの一つをあやうく逃すところであった。そうしてただいま大絶賛中というわけである。
 
もう一つ、私にとっては悪夢からの脱出に役立っている。
たまにだが、疲れていると眠りについて1、2時間ほどで怖い夢を見て目が覚めることがある。
先日の悪夢は、地下鉄の中で立っていると、隣にいた見知らぬ外国人の女にいきなり殴りかかられるという夢だった。
避けても避けても女はビュンビュン手刀を繰り出して殴ってくる。逃げようとしたら足がもつれて床に倒れこんだ。
今度は蹴りがくる! というところで目が覚めた。(これを夢分析にかけたら、どんな心理が隠されているのだろうか。特になんの心当たりもないのだが)
私の夢にはいつも全然知らない人、知らない場所が出てくるので、怖い映画を見ているみたいだ。
目を開けると寝室の天井が、テレビの放送終了後の砂嵐みたいにまだらにざらついて見える。体がガチガチに固まっている。
そのあと再び眠ると今度は金縛り必至の悪夢コースだ。
以前はそのまま輾転反側(てんてんはんそく)、ようするにあっちにゴロン、こっちにゴロンして眠れない一夜となっていた。
しかし、今はおもむろにサイドテーブルに手を伸ばし、カイロ式アイマスクを取って目に装着すればいい。
無香タイプもあるが、香りつきはラベンダー、カモミール、ローズ、ゆずの4種類。限定バニラの香りも入手済みだ。
真っ暗な中でどれを引き当ててもオッケーである。
すぐに温まって、強すぎないふんわりした香りが顔の周りに漂う。ぬくもりとアロマで悪夢の緊張がほぐれていく。
やがて気持ちが落ち着いて、「すや~」と眠りにつけるのである。
こんな風になかなか眠りに入りにくい時に効果があるので、飛行機や長時間列車に乗る時に持っていくのもよい。
 
そういえば、作業着業界では小型バッテリーを使った空調服が人気らしい。
真夏の熱中症対策に上着の腰のあたりに扇風機を仕込んで涼しい風を送る。冬バージョンだと温熱器を仕込んで、野外作業や長時間外でじっとしていることの多い釣りやスポーツ観戦の時に上半身を温かく保つ。
これまで冷房暖房といえば、建物の中をどう快適にするかであったが、近頃は個人をどう冷やしたり温めたりするかを工夫している。
カイロ式アイマスクもその工夫の一つではないか。目というパーツに特化して温める機能である。
もし、目玉のおやじに空調服ならぬこのカイロ式アイマスクをサウナスーツのように着せたら何ていうだろう。
「鬼太郎、いい湯加減じゃ」と満足してもらえるだろうか。
目玉おやじは、もしかしたら江戸っ子で、風呂は45℃以上なければ「ぬるいぞ」というかもしれない。
そうするとカイロ式アイマスクの40℃でサウナというな! と突っ込まれるかも、などと想像しつつ、私の目玉は毎晩カイロ式アイマスクで「いい湯加減じゃ」と満足している。
 
 
 
 
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2020-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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