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メディアグランプリ

映画はパラレルワールドへの旅


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉本 知隆(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「人生、順調ですね」
 
3人目の子供が生まれた時に後輩から言われた言葉です。
順調? 確かにこれまでの人生を振り返れば、大学に入り、就職して、就職して2年目に結婚して、結婚して5年かけて3人の子供も生み、その間に仕事でも昇進したから、順調に人生のステップを進んでいる感覚はありました。
 
それでも、外からみた評価とは裏腹に、私自身の中では焦りを感じていました。人生のステージが進むにつれて、将来の可能性が閉じていく感覚があったのです。
 
はじめて子どもができた時、幸せではあったけど、精神的にはキツいものがありました。
私の家庭は夫婦共働きで、私も妻も実家が離れたところにあるので、両親に頼ることはできませんでした。妻も里帰りしなかったので、子育て素人二人によるはじめて育児。帰って晩ご飯を作って、洗濯物をし、ヘトヘトになったところに、一番上の子はよく泣く子だったので、マンションの外を抱っこしながらあやして歩きまわり、疲れたとベッドに転がりこむと次の日がはじまる。
いつまで続くのか、この日々が、と思っていました。
 
日々仕事と育児に忙殺されて、自分の人生に新しい可能性を見出しづらくなっていたのです。
 
そんな時に出会ったのが、一本の映画でした。
 
きっかけは、友人から紹介されたPodcast配信。
「Podcastで聴けるラジオ番組。映画評論のコーナーが面白いよ」
「ポッドキャスト?」
「スマホで聴けるラジオだよ。スマホだからいつでもどこでも聴けるし」
 
ポッドキャストは仕事や育児に疲れていた私にとって救いとなりました。
ラジオなら、イヤホンで聞きながら家事も出来るし、テレビも読書も時間がなかった私にとって、久しぶりにコンテンツに触れることが出来たのがポッドキャスト配信だったのです。
 
配信番組をいろいろ試したけど、やっぱり紹介された「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル」が一番面白いラジオ番組でした。(今では番組名がアフター6ジャンクションに変わってます。)なかでも、パーソナリティで、ヒップホップグループ「ライムスター」の宇多丸さんが、毎週ランダムに決まった映画を評論するコーナーは番組の看板企画となっています。
この番組のおかげで、私は映画好きだったことを思い出しました。元々映画はそこそこ好きだったのだけど、育児や家事に追われて「映画を観る」ということすら忘れてしまっていたのです。
 
評論というと堅苦しいイメージを持たれるかもしれませんが、宇多丸さんの評論はとてもわかりやすい言葉で話され、映画知識も豊富で勉強になるし、何より情熱的です。特に自信を持ってオススメする時の熱はすごくて、その熱がすぐにこちらにも伝わってくるので、評論を聞いた時にまだ観ていなければ、すぐにでも映画館に駆け込みたくなります。
 
宇多丸さんが青春映画の傑作として紹介したのが「桐島、部活やめるってよ」でした。
 
宇多丸さんが紹介しているのを聞いて、すぐに「観に行きたい!」と思い、金曜日か土曜日か、子どもを寝かつけた後にレイトショーに駆け込んだのを覚えています。久しぶりの一人での映画館でした。今となっては、寝かしつけの後のレイトショーは、観に行きたい映画ができたときの習慣となっています。
 
この映画は不思議な映画です。
タイトルに「桐島」という名前が出てくるのに、桐島は主人公ではありません。それどころか、映画内で一切登場しないんです。バレーボールのキャプテンだった桐島が辞めるところから映画は始まり、部活のエースで人気者だった桐島の突然の退部に、ざわつく高校生たちの人間模様を描いた作品になっています。
 
部活に一生懸命な人、桐島の取り巻きたち、帰宅部、人気じゃないけど自分たちの世界を楽しんでいる映画部、学生たちのリアルな日常を通じて、何かに一生懸命になることの尊さを語っています。
 
人生とは一度きりです。
後輩には「人生順調ですね」なんて言われたけれど、私自身は、将来が閉じていく感覚に焦りを感じていました。そんな時にこの映画は、人生の可能性にあふれた高校時代に連れていってくれたのです。
 
それはまるで、パラレルワールドへの旅でした。
パラレルワールドとは、あり得たかもしれないもう一つの世界です。
もしかしたら、私は農学部でなくて文学部に進んでいたかもしれない世界もあり得るし、実家のうどん屋を継いだ人生だってあり得ます。
私は映画を観て、帰宅部のアイツの気持ちに涙したし、映画部のアイツらの生き様に嫉妬しました。登場人物に感情移入することで、自分の人生にはなかったけど、ありえたかもしれないもう一つの違う人生を経験することができたのです。
 
「桐島、部活やめるってよ」では、私にとってもう二度と戻ることのできない高校生活が描かれます。映画を観て、高校時代もっと一つのことに熱中して何かに取り組めていたら良かったと後悔もしました。
でも後悔だけではありません。
今からでも、何かに夢中になって取り組めば、もしかしたら人生が変わるかもしれない。
映画を観た後、前向きに捉えることができるようになったのです。
私の中で閉じていた可能性が一気に開きました。
 
それ以来、私は子育ての合間をぬって映画への旅に出るようにしています。
そして、自分にはきっと体験できないであろう人生の一部に触れるのです。
 
このことは、ともすれば、自分がなし得なかった人生を悔いて、現実から逃避しているようにも、とらえられるかもしれません。正直、そういった部分も否定はできません。
 
ただ、これは単なる現実逃避ではありません。
旅は、逃げるのと違って、行って戻ってくるまでが旅です。
旅から何かを持ち帰ってくることができれば、自分の人生を一歩でも進めることが出来ると思っています。
 
「桐島、部活やめるってよ」は何かに夢中になることの大切さを教えてくれました。
だからブログも始めたし、今もこうして書くことについて本気で向き合いたいと思って、ライティング・ゼミも受講しています。
 
決して順調でない人生を歩みながら、今日もどんな旅に出ようかと、映画館の上映スケジュールを眺めているのです。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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