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メディアグランプリ

小さな病院のプライスレスな看護師募集


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:芝田エル(ライティングゼミ平日コース)
 
「初めてお会いした気がしません。人気ブロガーに会ったみたい」
初対面なのにそう言われると私もうれしくなって、つい顔がほころんでしまう。
これは転職場所を求めて病院見学に来てくれた、看護師さんの言葉。
私は心の中でガッツポーズをした。
 
私は病院の看護部長をしており、仕事は看護師を集め現場を滞りなく運営することである。以前勤めていたのは大きな病院で、毎年春に卒業したての看護師が30人くらい入るところだった。男性看護師が増えてきたとはいえ、まだまだ女の世界。結婚・妊娠・出産というライフイベントでどうしても退職や転職がつきものである。
看護師を集めるために、合同就職説明会のブースを買い、奨学金を出し、ランチやお土産を準備したりするのが恒例だった。
 
しかし今勤めている病院は規模が小さく、看護師集めにはお金はかけられない。
さてどうしたものかと調べているときに「SNSで集客するソーシャル・メディア塾」というサイトに行き当たった。
そこはシライさんという女性のウェブデザイナーが主催している。
広告宣伝にお金をかけられない中小企業の経営者にこそ、SNSで集客や販売する方法を知ってもらいたいと書かれていた。
シライさん自身、経営していた会社をたたんだことがある。仕事に行き詰まり、お金のことばかり考えて体も壊したそうだ。現在は別の会社で取締役を務め、SNSを使った集客を実践しセミナー講師をしている。私は過去にさかのぼってシライさんのブログを読んだ。仕事のこともプライベートのことも、失敗も成功も赤裸々に書かれていて、この人は信頼できる人だなと感じた。
 
ちょうど病院のホームページをリニューアルするタイミングでもあり、私はシライさんのセミナーに参加した。
そこで教わったのは「発信しないのは存在しないのと同じ」という強烈なメッセージだった。
ホームページを作っただけでは、届けたい情報は届かない。
不特定多数の人に向けた広告の手法はもう効果がない。
フェイスブックやツイッターなどで自分のしている仕事、売っているものを発信する。
どんな材料を使っているか、どんな思いが込められているか、誰に買ってほしいと思っているのか、ということを丁寧に発信しようと教わった。
ただSNSは情報が流れていってしまうので、内容をより深く掘り下げたブログを書き、それもSNSで拡散するとよいそうだ。ブログはホームページの中に蓄積されていくので、関心のある人が記事を検索しやすくなるのだ。
シライさんはフェイスブックだったら一日3回、ツイッターは7,8回くらい投稿しており、プライベートと仕事のことを織り交ぜて発信していた。
それから他の人の投稿に「いいね」をつけ、コメントを書くことも大事だと言っていた。
そうして人とつながりながらやっていくうちに、同じ仕事なら「この人に」と依頼してくれるお客さんが増えていったのだそうだ。
ただブログは即効性があるわけじゃないので、何度か書いて諦めてしまう人が多いそうだ。誰からも反応がなくても、あきらめずに続ける覚悟が大事なのだ。
 
講義を受けて私はイメージが湧いてきた。
私の目的は未来に一緒に働く看護師さんに読んでもらうこと。そして「ここで働きたいな」と思ってもらえること。それから患者さんやご家族の方にも「入院するならこの病院に行こう」と思ってもらえることである。
まずはフェイスブックを一日一回、ブログを週に一回必ず書き、少なくとも1年は続けようと決めた。
院長に相談して病院のフェイスブックも立ち上げ、病院内の日常を写真とともに投稿した。プランターに野菜を植えたこと、どんな研修をしているかを書いたりした。イベントをした時の患者さんの様子や看護師の生き生きと働く姿を写真で載せた。ネタはいくらでもあった。はじめは「SNSなんて」と懐疑的だった院長も、自分のブログをたくさん書いて拡散させてくれた。
 
そうして1年ほど経ったころからぽつぽつと「ホームページを見てきました」という応募者が来てくれるようになった。屋上菜園や、院内の飾りつけの場所などを見て「ああ、これがブログに書かれていたメジロちゃんですね」と言ってくれるようになった。
ブログを読んでないとわからない話で盛り上がったりする。
私がどういうケアを大事にしているか、病院の理念についても理解して来てくれる。
だから説明しなくてもすでに共感してくれていることが多々あり、心理的な距離が近く、面接の場がすぐに温まるのを感じた。
 
問い合わせは看護師だけではない。
メッセンジャーから病気や入院の相談をちょくちょく受けるようになった。
同じ入院するならあなたのいる病院に預けたい、とご家族から相談を受けることもあった。
それはとてもありがたくて、責任重大だ。
でも私はそうしてお役に立てることをとてもうれしく思う。
 
今、あれから5年目の春を迎える。
おかげさまで募集広告にお金をかけずに看護師さんを採用できている。
すてきな人だな、優しい笑顔だな、この人とどんな未来を作れるのかなと思うと、面接はワクワクしてくる。
募集にお金をかけられない小さなところこそ、こんなプライスレス(値段のつけられない)な方法がうまくいくような気がする。
そして、人は楽しそうな方に集まるんじゃないかな? というのが私の結論です。
 
 
 
 
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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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