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味は愛かもしれない


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:makoteee(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「おばあちゃんの料理は味クーターだね」
「ありがとうねー 今度はテビチ作ろうねー」
 
小学生のころ、家庭の事情で毎週末に父に連れられて田舎の父の実家で過ごしていた。おばあちゃんが作るご飯が大好きでそれを食べるのがいつも楽しみだった。
 
「味クーター」とは沖縄の方言で「味が良いもの」と言う意味だ。つまり「おいしい」ことを表す方言だ。年寄りの作る食事は濃いと聞いたことがあるが、おばあちゃんの食事もやはり味が濃かった。だから、大人の真似をして使っていた「味クーター」と言う方言は「味が良い」と言う意味の理解ではなくずっと「味が濃い」と言う意味だと思っていた。
 
おばあちゃんの料理の影響かどうかは不明だが、味が濃い食事が大好きだ。家族とは全く味覚が合わなくて外食のときよく呆れられる。とにかく味が濃い食事をおいしいと感じるのだ。疲れた時や気持ちが沈んでいる時ほど体が濃い食事を求めてくる。
 
どうしてだろうと考えてみた。
 
味付けは、これまでの料理の習慣や作った料理を食べる人のリクエストによって別れてくるものだと思う。例えば「優しい味」という表現がある。かなり曖昧な表現だが、少なくともそれは濃い味ではないような気がする。薄めの味で体にも心にも優しいという味。つまり、食してホッとするような味のことを言うのではないだろうか。
おばあちゃんもわたしの食事だけ味を濃くしたと言うことではないはずだ。おじいちゃんに出す食事もわたしの父に出す食事も濃かったはずである。でも、もしかしたら父とわたしが来る日を楽しみにしていて「よーし今日は孫が遊びにくるから、張り切って美味しいものを作ろう」と思っていたかもしれない。その想像が正しければきっと普段よりは味噌を少しだけ多めにしてしまったかもしれない。孫に会うのが嬉しくて必要以上に塩分多めにしてしまったかもしれないのではないか。
 
それを「愛」というのではないのかと、わたしは突然思うのです。
 
思えばわたしは人間関係においても常に濃い関係を作りたがる性格で、人によっては暑苦しくて過ぎてうざいと思われているのではないかと多少不安になる日もある。薄く広い人脈よりも少なくてもいいから信用できる濃い関係を築きたいと願っているのだ。初対面の人でもすぐに自分の情報をできるだけ開示して濃い関係性を作りたがる癖があるのである。
 
「濃い」の意味には「色が深い、味が強い」とか「中に溶けている割合が多い」の他に「関係が密接である」と言うものもあった。そうか、人に対しては「濃い」こと、つまり「関係が密接」であることを求めていたのだ。求めていたのは愛をある関係なのだ。
 
では、なぜ濃い味が美味いと感じるのか。「おいしい」にも「物の味がいい」の他に「好ましい」と言う意味がある。その「好ましい」と言う感覚が「濃い味」にあって作った人の愛情を勝手に感じているのだ。
 
優しい味も嫌いではない。でも本当においしいと感じるのは濃い味付けなのだ。時には激しくぶつかり合いながらも関係を深めていくような濃い人間関係を築きたいと思っている。一方で、相手からの濃いアプローチを求めているところも恥ずかしながらわたしにはある。相手にそれを求めることは決してできないけれども。
 
疲れている時や気持ちが沈んでいる時ほど愛が足りないのだと思う。わたしの体が濃い食事を求めてくるのもそれが理由なのかもしれない。料理を食すことで誰かの濃い愛情を感じたいのだ。それをパワーに変えて生きていきたいと。
 
 
 
 
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2020-02-14 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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