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メディアグランプリ

まっすぐに立って息をして、私は人生を歌うよろこびを取り戻す


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:織巴まどか(ライティング・ゼミ平日コース)
 
「まずは、正しい姿勢をとること。そして、正しい呼吸をすること」
 
心の中でつぶやいて、足を肩幅に開き、背中をぴんと立てる。
気持ち重心を後ろに意識する。肩や首に力が入ってしまわないよう軽く動かしながら、胸を広げる。浅い呼吸をしないように、お腹を使って。
 
ところが歌いだして数フレーズもすれば、段々とぐだぐだになり「自分のクセ」が出てきてしまう。
 
「うーん、いまいちだったなあ。よしもう一度」
 
少しヘコみながらも、何故か私は笑顔になっている。
 
かれこれ10年くらい、趣味でボイストレーニングを受けている。
 
昔から、歌を歌うことは好きだった。
中学生のとき、はじめてカラオケに行き、マイクを持ってノリノリで歌う楽しさを知った。
大学時代には、ミュージカルのサークルに入っていた。劇団四季や東宝の舞台に憧れて、ミュージカルの名曲の数々を、お風呂の中で熱唱する日々。
 
でもはっきり言って、私の歌唱力は、自分が思い描いている理想とはほど遠かった。声が裏返ったり、音程が外れていることが自分でもわかる。歌で表現する、なんて域では到底ない。ミュージカルサークルでは、早々に役者は諦めてスタッフに回ってしまった。カラオケは相変わらず好きで、社会人になってからもたびたび足を運んだ。でも、一度「自分の下手くそさ」に気付いてしまうと、コンプレックスだらけで段々気持ちよく歌えなくなっていった。
 
そんなとき、従姉がボイストレーニングの先生をやっている、と聞いた。
それまで、ボイトレなんて、プロを目指す人だけが受けるものだと思っていた。カラオケで上手く歌いたいレベルの、楽譜さえ読めない自分とは、無関係だと思っていた。でも、そのとき純粋に、「私ももっと上手に歌いたい!」という気持ちが私を動かした。そして私は、彼女のボイトレを受けはじめた。
 
それからかれこれ10年くらい。
 
途中、仕事や出産などの都合で、ずっとコンスタントに続けられたわけではない。また、先生である従姉の方も環境が変わったりして、別の人からも、歌を教えてもらうようになった。(不思議なことに、何故か私の前には、「ボイトレ講師をやっている」「ボイトレ講師をはじめようと思う」という知人が次々と現れる)
 
そして、10年の間に、私は占い師や心理セラピストと呼ばれる仕事をはじめ、人の心の相談に乗るということをするようになった。
 
私のところに来るお客さんたちは、仕事や、恋愛や、人間関係、家族のこと、様々なテーマで悩みや心配ごとを抱えている。多少乱暴ではあるが、それらの悩みを総じてまとめるなら、「思うように生きられない」「どうやって上手に生きたらいいかわからない」「もっとより良く生きたい」ということに集約されると思う。
 
あるとき、はたと気付いた。
これは、「思うように歌えない」「どうやって上手に歌ったらいいかわからない」「もっとより良く歌えるようになりたい」という、歌に対する自分自身の悩みとほぼ、同じなのだ。
 
ボイトレを受ける中で、すべての先生から繰り返し言われたことがある。
 
それが冒頭で述べた、
「正しい姿勢をとること。正しい呼吸をすること」。
 
上手に歌う技術やメソッドというものは、山ほどある。
でも、すべての基礎となっているのは、実は姿勢と呼吸なのだという。
姿勢と呼吸が乱れている状態で、表面上の歌の技術だけを磨こうとしても、意味がない。
そしてそれは、「自分で意識して」日々、コツコツと変えていかないと、決して身にはつかないのだ。
 
「私たちの体は、元々完璧につくられているの。だから本来は、自分の体をそのまま素直に使えば、誰でも完璧な声が出るのよ。だけど、人間は生きていく中で、いろんなクセを、勝手につけてしまっているもの。だから、ボイトレでやるのは、そのクセを外していくってことなのよ」
 
これは、先生のひとりに言われてものすごく感銘を受けた言葉。
つまり、便宜上「正しい」という言葉を使うけれど、「正しい姿勢や呼吸」というのは、本当は「本来のその人の姿勢や呼吸」ということなのだ。
 
実は、心のことを学んでいても、同じ結論にたどり着く。
 
どんな悩みであっても、ひもといていくと根底には、その人が長年生きてきた中で染みついてしまった「考え方や捉え方のクセ」というものがある。
それによって、たとえば「自分は無力で価値がない」とか、「他者や社会は恐いもの」とか、「自分は被害者だ」とか捉えたりする。そういったクセは、大抵は無自覚に発動しているので、本人は気が付かないまま、「なんだか生き辛い」「なんだか人生が上手くいかない」という現象として認識される。
 
ちょうど、自分の姿勢や呼吸のクセに気付かずに、「なんだかどうやっても歌が下手」と嘆いていた私と同じように。
 
だからまず、気付くことが大事だ。
 
ボイトレで、いちど「正しい姿勢」というものを教えてもらい、その通りに立ってみると、いかに普段の姿勢とかけ離れているかよくわかる。最初はすごく違和感がある。そこで元に戻ってしまうか、クセを変えていくかは、その人の意識次第。これは決して、レッスンの時間内だけで解決はしないのだ。
 
正直、難しい。いつもの楽なやり方で立っていたいし、いつもの慣れた方法で呼吸をしたいと思ってしまう。
生き方も同じで、人はつい、これまでと同じ考え方、捉え方で、物事に当たろうとするものだ。
 
だけど、意識し続けることで、確実に変わる。
 
私は、心のことを仕事にした関係もあって、「考え方や捉え方のクセ」は、めちゃくちゃ意識した。日々起こることに対して、どう向き合うか。あたかも、自分の姿勢や呼吸を、少しづつ正していくように。本当に地道なエクササイズの積み重ねだ。
 
結果、私の「生き方」は、すごく変わったと思う。
元々人生にとても生き辛さを抱えていたところから、だんだん自由に、思うように、人生を楽しんで生きられるようになった。
 
どうしても、占いやセラピー、ヒーリングなどを受けるとき、人は「その一回でがらっと変わる」「受ければたちまち解決する」ことを期待してしまうものだ。でも、基本的に私は、占い師やセラピストやヒーラーにできるのは、「クセに気付かせてあげること」だと思っている。ボイトレと同じで、その場で姿勢を正してあげることもするけれど、その後その人の歌い方(=生き方)が変わるかどうかは、本人が意識し続けるかどうかが大きい。
 
私も「歌のクセ」の方はまだまだだ。未だにひーひー言いながら、姿勢と呼吸を意識する毎日。なかなか上達せずに落ち込んだり、劣等感に心が折れそうになるときもしょっちゅうある。
 
でも、少しづつ自分の歌が変わっていくことは、素晴らしいよろこびだ。
 
歌うことも、生きることも、本当は、とても楽しいこと。
 
だから私はこれからも、歌い続けるだろう。
そして、仕事を通じて「生き方」の姿勢や呼吸を変えることも、伝え続けていきたいと思う。
 
それは、ボイトレの先生の言葉を借りるならば。
「誰もが元々持っている、自分の完璧さを取り戻すプロセス」
なのだ。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2020-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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