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メディアグランプリ

夫婦の絆は、寝る前に飲むお茶のよう


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:山田由美子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
日々の帰宅時間は大体22時すぎ。時には23時すぎになるときもある。
 
そういう時は、次の朝も早いし、早くお風呂に入り、翌日の用意をして、余計な事はせず、1分でも早くベッドに入りたい。
ところが、こんな時でも、夫が「お茶する?おやつ買ってあるよ」と言ってくる。
 
「帰りを待っていてくれたのだから」。
 
そう思い、お茶を入れて隣に腰をかけ、おやつを食べながらその日あったことなどを話す。といっても、話すのは主に夫で、私はもっぱら聞き役だ。仕事で大変だったこと、嬉しかったこと。会社の同僚や部下、上司とのやりとりなど。日々起きていること、感じたことを共有する。
 
それから、録画したテレビ番組を見ることもある。定番の朝ドラ、今期おもしろいと思って録画予約しているテレビドラマ、動画配信サイトの話題の外国ドラマ等々。さすがにドラマは、時間によっては割愛されることもある。
 
いずれにしても、これらをこなし、お風呂に入って髪を乾かしてストレッチまでしようと思うと、寝るのがすごく遅くなってしまう。
 
さらに、この日のおやつはシュークリーム。おやつは日によって様々で、チョコやプリンだったり、ドーナツの時もある。
 
日頃からボディラインには気をつけている。でも23時過ぎに生クリーム入りのシュークリームを食べてしまったら、一日の努力は無駄になるのではないか?
 
それより何より、早く寝たい。
 
夜のお茶とおやつの日々が続いたある日、とうとう思い切って言ってみた。
 
「こんな夜遅くにお茶は飲みたくない。それより早く寝たい」。
 
すると夫がこう言ったのだ。
 
「俺だって、君が帰ってくるまで何杯もお茶を飲んですでにお腹はジャブジャブだよ。正直お茶なんて飲みたくない。だけどこういう時間さえなくなったら、一緒に住んでる理由あるの?」
 
ハッとした。
 
かつて私はブラック企業に勤めていた。もちろん当時はブラック企業という言葉はなく、最近になって認識を新たにしたところだ。
 
毎晩、終電まで仕事をした。22時から打ち合わせなんてことも、ザラにあった。帰宅後もメールチェックし、休みの日も、休んでいるのか仕事しているのか線引きはあいまいだった。
 
だけど当時の私は
「ベンチャーだから仕方ない」
「予算達成のためには仕方ない」
「これが片付くまでは仕方ない」
と、言い訳ばかりしていた。
 
昔からガーデニングが好きで、ブラック企業時代も頑張ってマンションのベランダで花を育てていたのだけれど、ある時、それが全部枯れていたことがあった。
 
しわ寄せは家庭にも及んでいた。夫は優しく「無理をしない方がいいよ」と時々声をかけてくれたけれど、思い返すと、その声は私には届いていなかったのだ。
 
結局、体調を崩して転職し、残業が少ない今の職場にたどり着いた。
 
ブラック企業で奪われた時間を取り戻すかのように、今はやりたいことに没頭している。そしてまた、時間に追われている。
 
ブラック企業時代、そして、今。結局、私は自分のことばかりを優先してきたのだ。
 
かつて仕事に明け暮れる私に対し、夫は別居を考えたこともあったと言った。でも それをすると後戻り出来なくなるかもしれないのと、私の体調を心配して思い止まったのだ思う。
 
いまこうして仲良く穏やかな日々を過ごしていられるのは、夫のそうした配慮があってのことなのだ。私はずっと、夫の配慮と気遣いと優しさに甘え、支えられてきたのだ。
 
愛とは何かと聞かれたら、自信を持って答える事はできない。
 
ただ、夫婦の絆とは、寝る前に飲むお茶のようなものだ、とは言える。
 
どちらも放っておいたら冷めてしまう。
 
だから、それを保つために、誰かが気にかけて維持していく必要がある。義務とか、頑張ってやるとか、そういうことではない。もっと自然に、大切なことを大切にする。そのためにきちんと行動する。いままで考えたこともなかったけれど、そういうことなのだなと思った。
 
いまでも我が家の夜のティータイムは続いている。
 
ただ、少し進化している。
おやつは夫だけでなく私が買う時も出てきた。それから、シュークリームとかドーナツ等の大きなモノではなく、小分けにされたものが採用されるようになった。
 
例えばアイスクリームであれば、カップも買うけれど、一口サイズのアイスが個別包装されたもの。例えば夫が好きな塩おかきも、一つずつ個別包装されたもの。
こうすると、食べる量が調節できるし、日持ちもする。
 
そして、おやつを買った日はSNSで連絡を入れるのである。
 
最後に、今だから言えること。
 
実は私はあまりお菓子やスイーツに興味がない。もちろん嫌いではないし、小腹が空いた時につまむことはある。だけど、自分から食べたいと思うことはあまりない。
 
もちろん、夫はこの事を知らない。私をスイーツ好きの女子だと思っているし、それは今後も変わらないだろう。
 
こういうのは「嘘も方便」になるのだろうか。
 
私なりに、夜のティータイムに貢献しているつもりである。
 
 
 
 
***
 
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2020-02-21 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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