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非常勤講師の職が舞い込んできた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:葉田さつき(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
『非常勤講師のお願い』
メールを開けると、えっ? と 思われるタイトルが飛び込んできた。
 
送り元は私立のA大学の客員教授の田村先生、元国立大学の教授で私がいる業界では有名な先生だった。
 
「先日のセミナーではどうも有難うございました。本大学のB先生が急にやめること(転出)することになりまして、そのあとを来年は非常勤講師で埋めようと思っています。葉田先生、非常勤講師を引き受けていただけますか。」
 
B先生は私もよく知っている先生で、A大学の所属学部にはあまり関係ない分野で活発に学会発表や講演、執筆活動を行い、有名になっている先生だった。
 
「B先生は本来の分野にもどられるのかな?」
 
と、なるほどと思った転出であったが、その余波が私に来るとは思っていなかった。
 
大学の教員になるということは、検査業務が主である小さな研究機関に勤めている者にとっては、とてもいい話だった。みんながうらやましがるようなことである。
私もいい話だと思った。
 
でも、B先生は専任教授だったので週4日間の講義と実習を担当していた。
「今の職場をやめる気がないので、週4日は無理だ」
「今の職場で、まだやりたいことがいっぱいある」
せっかくの話だったが、非常勤講師をあきらめようと思った。
 
田村先生からメールが届いた。
 
「1科目だけの担当でも、実習は月、水、木とありますが、曜日ごとの担当でも構いません。よろしくお願いします」
 
「講義は候補の先生が複数いらっしゃるので、実習の先生をできればお願いします」
 
私は足が少し悪いので講義の方が良いと思ったが、私の経歴と実績では、講義の候補の先生が誰かわからないけど選ばれるわけがない、と判断した。
「ここで、講義を選んで、落とされるよりも、確実にこの職をゲットしておいた方が、症例的に絶対良いはずだ」
 
私は、講義担当をあきらめて、木曜日朝9時から12時半までの実習を選んだ。
 
足が悪い上に、朝苦手な私が、朝1時間以上早く家を出ないといけないので大変だが、将来のことを考えると「履歴にA大学非常勤講師がと記入できること」、「定年後の職探しに役立つかも」、「非常勤講師の依頼が来たことで職場の人たちの私に対する見方が変わるかな」等、プラス面が多いと思われた。
 
職場のOKもとった。
 
田村先生からも、
「よろしくお願いします」
と返事がきた。
 
「田村先生、華々しい経歴のない私に非常勤講師の声をかけてくれてありがとう」
メールのやり取りをしながら、ずっと考えていたことがあった。
 
「田村先生は、なぜ私を候補者の一人に選んだのだのろうか? ほかに候補となりうる有名な先生は何人もいるのに」
 
思いついたことが一つあった。
 
「私のまいた種が芽をだしたんだ!」
 
田村先生からの最初のメールに「先日のセミナーではお世話になりました」とあったことを思い出した。先日のセミナーって言っても、1年半前のセミナーで、私は講演者の一人、田村先生はコーディネーターだった。講演は、私にとって初めてのテーマで、新たな切り口で構成したものだった。難しかったけど、一生懸命を準備し、内容的にも良い講演ができたと自認していた。田村先生とお話したのもこのセミナーが初めてであった。
 
セミナー終了後、田村先生と他の講演者の先生に、自分の講演内容のポイントとアドバイスがあれば教えてほしいと挨拶代わりに簡単に書いた後、「先生方のお話が大変勉強になりました」という趣旨の御礼メールだした。
 
勉強になったので感謝の意を伝えるとともに、後日、また、講演講師に招いてくれたらいいな等と思い、その種をまいておこうと思って送ったメールであった。
 
「あの時の御礼メール、私のまいた種が芽をだしたんだ!」
 
事実、田村先生からの最初の依頼メールは、この御礼メールの返信で書かれていた。
田村先生とは、セミナーの後の1年半の間、学会で2回お会いしていた。軽くあいさつしただけなので、セミナーの後の御礼メールの方が印象に残っていたのかもしれない。
 
実は、私はこのような御礼メールを前から出している。相手は、セミナーや学術学会であった人、訪ねてくれた人、取材をしてくれた人等である。学閥や後ろ盾がない私が、少しでも好印象を残し、知り合いを作っていくにはどうすればよいかと考えて思いついたことである。人に頼るのではなく、自分で知り合いを増やしていける。しかも、自分が良いと思った人には、その良いと思ったとことや心情を伝えることができる。でも考えすぎると、メールが書けなくなるので、簡単な基本の文章を作ってある。
 
御礼メールの基本の内容は、いたって簡単で、
「興味深いお話をありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願い致します」
である。
 
このような文章がデフォルトで、相手ごとに少しアレンジして送っている。返事をくれる人もいれば、くれない人もある。返事をくれた人もそれきりで終わることがほとんどである。でも、簡単なことでも、私という人間を印象がよく、インプットされる可能性がある。
やめればつながりはなくなることが多い。簡易な文章でも、メールを送ることが大切だ。
 
ちょっとした思いつきで出した「御礼メール」という種が、非常勤講師の依頼という小さな芽を出してきた。A大学は来年度、多分常勤教授を公募するだろう。私の経歴では常勤教授は難しいので、このまま、教員を兼務するのは厳しいだろう。この非常勤講師のポジションは半期だけの可能性が高いと思われる。
 
でも、種から芽吹いた小さな苗、大切に大きく育てていきたい。
 
「この苗を間引かれないためにも、学生、田村先生をはじめ周りの先生、事務担当者の皆様に好印象を持ってもらえるように一生懸命勤めよう。そうだ、B先生に連絡を取って、いろいろ教えていただこう!」
 
6か月後には、履歴に「A大学非常勤講師」の履歴が残ることになる。
経歴でなく教育機関で専門教育を行ったという実績だ。
これは、今までなかった実績でとても大きいものに思われる。
 
そこからも、簡単な「御礼メール」、種まきを続け、仕事を広げていこう。
これは人に頼らず、自分ひとりでできることだ。
非常勤講師をしている間にも、今の仕事中にも、種がまける。苗を育てられる。
簡単な、自分ひとりでできることから、種をまき、そして育てていこう。
 
 
 
 
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2020-02-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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