メディアグランプリ

「締め切りとトリカブト」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:進藤雄介(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
私は、締め切りが嫌いだった。
 
今までの人生
締め切りに追われてきたからだ。
 
思えば小学生の頃から追われている。
 
夏休みの宿題は、
毎年8月28日あたりから取りかかり始めた。
 
絵日記は夏休み前半の約1ヶ月前のことを
思い出しながら書くのに苦労したし、
 
計算ドリルにいたっては、
私が数字を読み上げて父が計算機を使って終わらせた。
(父親は常識にとらわれない人だ)
 
中高生の頃はテスト勉強の時に、
何度、一夜漬けをしたかわからない。
 
いや、一夜漬け以外をした記憶がない。
 
大学生の頃は、
就職活動のエントリーシートに追われ、
締め切りの消印有効ギリギリに
郵便局に持っていっていた。
 
締め切りに追い込まれないと
動けなかった。
 
社会人になってからは、
今まで以上に締め切りが
重くて辛いものになってきた。
 
仕事なので、今までと違って
「締め切りに間に合いませんでした」
ということが許されない状況になったからだ。
 
私は求人広告の営業の仕事に就いたのだが
週に3回くらい広告の原稿締め切りがある仕事だった。
 
いつも締め切りに追われてソワソワしていた。
 
それでも、なぜか締め切り間際まで行動ができないので
結局ギリギリまで何もしないのだが、
 
締め切りまでにやらなきゃという追われる感じがあり、
脳内のメモリーを消費していた。
 
私は、締め切り間際にバタバタするのが嫌になり
プレッシャーから逃れるために
毎日、少しずつやっていく作戦も試した。
 
でも、それは失敗だった。
 
結局、毎日締め切りのことを考えてる割には
行動しないという状態になったからだ。
 
そんなこんなで
締め切りが嫌いだ!という人生を
30年くらい続けてきたのだが、
 
昨年、締め切りの概念が変わった。
 
嫌いで、追われる対象だった締め切りのことを
今では、かなり好意的に見れるようになってきた。
 
毎回経営者100名以上が参加するセミナーを開催している
尊敬する経営コンサルタントのTさんと話したことがきっかけだ。
 
私「週末のセミナーではどんなこと話されるんですか?」
「もうスライドも完成したんですか?」
 
Tさん「いや、まだ全然。」「スライドは前日に作るって決めてるんだよ」
 
私は耳を疑った。
 
(100人以上の参加者がいるセミナーのスライドを
前日まで何も手をつけないなんて!)
 
そこで私は思った疑問を投げかけた。
 
私「前日まで何もしなかったら不安じゃないですか?」
 
Tさん「今までやってきて締め切り直前じゃないと書けないってわかってるから、前日にしっかり時間とってるんだよ」「締め切りは最高だよ」
 
さらっと言うTさんの言葉に
驚きを隠しきれなかった。
 
Tさんは私と違って
締め切りを良いものと捉えて
最大限活用しているのだ。
 
思い返してみると、
自分にも心当たりがあった。
 
今まで、締め切りに追われて
ギリギリに追い込んでやったことは
なんだかんだで形になって間に合っていた。
 
締め切り効果ですごい力が発揮されていたのだ。
 
「締め切り最高!」
「締め切り大好き!」
とまではいかないが
 
その話をきっかけに、締め切りに対する意味づけを
少し変えようと思った。
 
そして、締め切りをいかに効果的に使えるかを
今の仕事でテストし始めた。
 
いきなり、提出日の前日まで何もせずに
前日からとりかかって間に合わなかったら怖いので、
締め切りを何個も作って、さらに人とのアポイントにした。
 
具体的にいうと、
1ヶ月後に仕上げないといけないちょっと重めのものがあった時に
1週間おきにチームメンバーとのミーティングを設定して、
そこまでに何をするか伝えておく。
 
そして、ミーティングの前日にそのタスクをするための時間を確保する。
 
こうしておくと、ミーティングの前日以外は
そのことを考えなくていい。
 
このやりかたをやり始めてから、
締め切りに追われている感覚がなかった。
 
締め切りのことが
常に頭の中にある状態とは違って
目の前のほかの仕事に集中できるのだ。
 
そして、締め切りがあるから
直前にはかなり集中できた。
 
そして、これを繰り返していると
自分に自信が生まれてきた。
 
今までやったことがあるようなことであれば
細かい締め切りも必要なく
前日に全部やってしまうことも可能になった。
 
締め切りはトリカブトみたいだなと思った。
 
トリカブト保険金殺人事件で一躍有名になった
毒性の強い植物だ。
 
食べると死に至る毒薬でもあるが、
なんと漢方薬にもなるらしい。
 
まさに、毒にも薬にもなる。
 
自分の使い方次第だと思った。
 
でも、まだすべてのことに使えていない。
 
いまだに締め切りのことを憎んでしまうこともある。
 
もっと締め切りと仲良くなっていきたい。
 
 
 
 
***
 
この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 
http://tenro-in.com/zemi/103447
 

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2020-03-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事