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メディアグランプリ

これこそが、エリートの本懐


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記事:山田THX将治(ライティング・ゼミ書塾)
 
 
2003年のこと、AFI(American Film Instituteアメリカ映画協会)が創立100周年を記念して、アメリカ映画史上のベストヒーローを選んだ事が有った。
会員の投票によってベストヒーローに選出されたのは、『レイダース・シリーズ』のインディ・ジョーンズでも『007・シリーズ』のジェームス・ボンドでもなく、意外なキャラクターだった。
その、アメリカ映画史上のヒーローベスト1の人物とは、1962年に製作された『アラバマ物語』(TO KILL A MOCKINGBIRD)の主人公アティカス・フィンチ弁護士だ。名優グレゴリー・ペックが、アカデミー主演男優賞を獲得する熱演で記憶に残る作品だ。
映画は、黒人差別が色濃く残る、世界恐慌真っただ中の1932年アラバマ州が舞台だ。暴行事件で訴えられた黒人青年トムの弁護を任されたのが、白人弁護士のフィンチだった。黒人への偏見根強い地での弁護は、風当たりが強かった。
フィンチ弁護士は、怒りや問題意識を振りかざすことなく、しかし、決して諦めることなく、粘り強く淡々とトムを弁護する。派手さは無いが、実に心強いヒーローだ。
100年の歴史で、ベストヒーローというのも納得が出来るというものだ。
 
『アラバマ物語』が製作されてから58年後の今年、『黒い司法 0%からの奇跡』(JUST MERCY)が公開された。両作品の共通点は、作品の舞台が共にアメリカ南部のアラバマ州ということと、黒人が被告の裁判映画であることだ。相違点は、フィンチ弁護士がバリバリの白人だったのに対し、ブライアン・スティーブンソン弁護士(『黒い司法 0%からの奇跡』)が黒人の新人弁護士ということだ。また、『アラバマ物語』には『モノマネ鳥を殺すには』という原作小説があるフィクションなのに対し、『黒い司法 0%からの奇跡』は1980年代に実際有った冤罪事件をモチーフにしたノンフィクションだ。
 
ただ驚くことは、『黒い司法 0%からの奇跡』の時代背景が、1980年代ということだ。何故なら、黒人に対する差別や偏見は、『アラバマ物語』が作られた1960年代や、舞台背景となった1930年代なら納得がいく気がするからだ。
ところが、『黒い司法 0%からの奇跡』はノンフィクション作品なのだから、実際は1980年代まで黒人に対する差別や偏見が残っていたことになる。
 
また、『黒い司法 0%からの奇跡』に登場するブライアン・スティーブンソン弁護士の経歴が、ヒーローめいていて好感が持てる。
彼は、苦労の末、アメリカ随一の難関・ハーバード大学の法学院(ロースクール)を卒業している。一般的なハーバード大学卒業生は、ニューヨークやシカゴの金融街で、多額の報酬を得る為に働いていると考えられがちだ。勿論、多くのハーバード卒業生は、お決まりの様にそういった道を歩んでいる筈だ。映画の中でスティーブンソン弁護士の母親も、大都市での仕事を蹴り南部へ赴く進路を選んだ息子を、快く思ってはいない。
しかし、彼は、母親の息子には裕福になって欲しいという思いを、困った人達の役に立つという仕事で、恩返しをしようと試みている様に感じる。中古車に沢山の本を積んで実家を去る際にも、母親に対し毅然とした態度で自らの目標への理解を求める。
とても小さな行動だが、実際にはなかなか出来るものではない行動を、スティーブンソン弁護士は、実に格好良く成し遂げている。
 
ハーバード大卒の肩書を持つ者が最強のエリートであることは、アメリカだけでなく国際的な認識でもある。しかもそれが、法学院卒ならなおさらだ。
アメリカだけではなく日本でもそうだが、エリートが高額の報酬を受け取ることを、一般市民は当然のことと認識しながらも、どこか羨ましく感じているものだ。しかし、エリート達が高給を得ることは、間違いなく世の中の役に立っている。何故なら、高給には高額納税が付き物だからだ。
 
『黒い司法 0%からの奇跡』の主人公ブライアン・スティーブンソン弁護士は、もっと直接的方法で世の中の役に立とうとして、あえて貧しい南部に法律事務所を開設する。彼には、
「貧しい人にこそ、法の庇護が必要だ」
という、曲げることが出来ない信念が有るからだ。勿論、高額の報酬など望めない。しかしながら、彼の意志には一点の曇りも無い。
映画を観賞していた私には、この人生こそが、スティーブンソン弁護士にとって、社会に対するエリートの本懐と信じ切っている様に感じてならなかった。その証拠に終映後の観客の顔は、どこかすがすがしく感じた。
 
大きな公開とはならなかった『黒い司法 0%からの奇跡』。この春一番のおすすめ作品です。
是非一度、凛々しいエリートの姿を皆さんに御覧になって頂けることが出来れば、紹介した私は、映画ファンの本懐を感じることだろう。
 
 
 
 
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2020-03-19 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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