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「飛行機=揺れる」この嫌な方程式を変えるには?


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:大和田絵美(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あなたの乗る飛行機は絶対に揺れますよ!」
テストの合否を告げられる時のようにきっぱりと
その人は言った。
私が言葉を挟む余地はなかった。
それはまるでもうずっと前から決まっていたことのようで、
理由など、おそらくない。
「当たる」と評判の占い師の言葉だった。
 
ガタガタと風が窓を揺らす音で目が覚めた。
前日は職場の後輩と遅くまでお酒を飲んでいた。
帰り道、風は全く吹いておらず、綺麗な星空を眺め、「やっぱり田舎はいいな」と思ったりしていた穏やかな夜だった。
一晩明けると、この強風。
今日は、お昼過ぎの飛行機で大阪に行くことになっている。
ANAのスマホアプリで「運航の見通し」のページを開く。
「やっぱり……」
「仙台空港は強風のため、運航の遅延・欠航の可能性があります」と表示されていた。
その時点で、風速は7メートル。
「飛ぶかな」そう判断して、予定通りに出発の準備を始める。
 
テレビでは、オリンピックの聖火が宮城県に届いた様子が生中継されていた。
強風で、何度も消える聖火。
挨拶の原稿もビュービューと風に舞い、当然聖火の点灯もうまくいかず、困った様子のアナウンサーが、「東京2020聖火リレー公式アンバサダー」として式典に参加していた芸人のサンドウィッチマンに盛んに助けを求めていた。
少し前に飛んだブルーインパルスが描いた空中の五輪マークも、強風でうまく描けなかったという。
 
「あなたの乗る飛行機は絶対に揺れますよ」
心の中で占い師の声が聞こえる。
地元でこんなビックイベントのある日に、飛行機に乗ると決めたことをちょっぴり後悔した。
 
仙台駅に出てみると、空港に行く「仙台空港アクセス線」以外は、全ての路線が強風で運転を見合わせている状況。
私は無事に空港に向かえたが、風はどんどん酷くなり、飛行機に乗り込んだ時には、風速は14メートルまで強まっていた。
 
「上昇中、機体が大きく揺れることが予想されております。揺れましても飛行には何の問題もありませんので、ご安心下さい」
離陸前に、アナウンスが入る。
私も周りの人もギュッとシートベルトを締めた。
こんな強風なのだから、揺れるに決まっている。
そして、離陸。
機体は大きく傾きながら、仙台空港から飛び立った。
右に左に激しく揺れながら、上に上にと上がっていく。
シーンとした機内。
悲鳴を上げるほどではないけれど、やはり揺れる。
私は手すりを握って、ため息をついた。
「あなたの乗る飛行機は絶対に揺れますよ」
あの占い師の言葉を、また思い出す。
 
15年前、名古屋の駅前の喫茶店で、
私は友達と「当たると評判だという」占い師に会った。
その占い師は、名前と生年月日、手相を見て、友達の職業を当てた。
当てたという表現は適切ではないかもしれない。
看護師としてホスピスで働く友達に、「人の死に接することが多い、医療関係のお仕事ね」と言ったのだ。
この占い師、「本物」かもしれない。
そんな占い師に、「私の乗る飛行機は揺れる」と突然宣告されたのだった。
 
それまでも、私の乗る飛行機は揺れることが多いなと思ってはいた。
一緒に乗った友人や家族に「こんな揺れる飛行機初めて」「今日は揺れたね」と言われることが多かったからだ。
私にとって飛行機は揺れるもの。
飛行機に乗っている間、「ベルト着用サイン」が消えないことも多いし、消えたとしても通常よりも揺れが激しいとのことで、ドリンクサービスもホットはなくコールドだけということも珍しくなかった。
そんな私に、この決定的な宣告。
妙に腑に落ち、納得してしまった。
 
飛行機は揺れる前に様々なアナウンスが入る。
「何分後から揺れます」と教えてくれる時もあるし、「何分後に揺れなくなります」と言われる時もある。
そんな「揺れる」アナウンスに敏感になり、詳しくなった。
天気予報みたいに、「揺れる」アナウンスにも様々なバリエーションがあるのだ。
「機長の指示で、乗務員も着席させて頂きます」
私にとってはよく聞くアナウンスで、私の感覚では、これはあまり酷い揺れにはならない。
なので、そんなに身構えない。
最近一番気になったのは、「飛行中、ベルト着用サインは消えないことが予想されているため、お手洗い等は必ずお済ませ下さい」という空港でのアナウンス。
乗り込む前に何度もアナウンスされ、最終的には「搭乗時刻に遅れても構わないから、トイレには行って来い」というような指示になっていた。
さすがにこの時は揺れに揺れた。
自分の運命を呪った。
 
飛行機が揺れるのが怖いという人は多い。
揺れる機内に怖がる人を見ると、私のせいではないのに、何となく申し訳ない気持ちになってしまう。
でも、私も怖い。
何回乗っても、いつも揺れていても、怖いものは怖いのだ。
 
飛行機は滅多に落ちない。
それは知っている。
日本国内では、1日2700機の旅客機が飛んでいるにも関わらず、墜落事故は1985年の「日本航空123便墜落事故」以降はなく、飛行機で死亡事故に遭遇する確率は10万分の1未満とも言われている。
私が乗った飛行機がいくら揺れても、墜落する可能性は無いに等しい。
それでも揺れたら怖いし、その揺れに未だ慣れることが出来ない。
まるで暗闇でジェットコースターに乗せられているように、浮遊感からくる胃の底から込み上げる不快感と先の見えないモヤモヤした不安感。
飛行機を降りた後に感じる、車酔いした時のような、頭が痺れもやっとした嫌な感覚。
揺れる飛行機に乗ることのデメリットは大きい。
でも、出張が多い私の仕事で、「飛行機に乗らない」という選択は出来ない。その圧倒的な速さは、何よりのメリットなのだ。
仕方なく、今日はどんな風に揺れるのかな……そんな想像をしつつ、また飛行機に乗る。
 
占い師は、飛行機が揺れることだけを教えてくれたわけではない。
実は、飛行機が揺れなくなる方法も一緒に教えてくれた。
 
その方法が、なんと、改名である。
「絵美」から「絵未」に改名するだけで、飛行機が揺れなくなると言うのだ。
 
揺れる飛行機に我慢し続けるか、親からもらった名前を変えるか。
この15年間、飛行機に揺られながら、考え続けている。
 
 
 
 
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2020-03-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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