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英語を話せるようになりたかったら、外国語学部へ行くな


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記事:フジタナユミ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「英語を話せるようになりたい」
一度は思ったことがある人が多いのではないだろうか。
 
留学に行きたい、そして英語が話せるようになって、英語を使った仕事をしたい。
わたしは子どもの頃からずっとそう思っていた。
外国語学部のある大学で英語を学ぶ。高校生のわたしにとって、これしか進路の選択肢はなかった。
 
晴れて外国語学部の英語学科に合格し、在学中にアメリカの大学へ留学した。
卒業後は大学の留学に関する仕事に就き、日々のメールの相手は海外の人がほとんどで、海外出張へも行くようになった。
掲げた目標は今や、無事に達成された。
しかしわたしは言いたい。
「英語を話せるようになりたいなら、安易に外国語学部へは行くな」と。
 
大学へ入学してからは、ネイティブスピーカーの先生との会話の授業を始めまさに英語だらけの世界で、これを求めていた! とわくわくした。
アメリカへの1年間の交換留学のチャンスをつかんだのは3年次。外国に長期滞在するのは初めてで、不安ももちろんあったが、夢を叶えられる期待のほうが大きかった。
 
留学先はアメリカの東海岸の小さな田舎町にある日本人どころかアジア人もほとんどいない大学で、同じ時期からその大学に集まった留学生はヨーロッパ圏からの学生がほとんどだった。
彼らはビジネスを学びに来ていた。英語が話せるようになることはあくまでもその留学目的の付随的な位置付けだった。
わたしが「英語を勉強したくて留学に来た」と伝えると一瞬、うん? と表情を見せたあと、「英語の先生になるの?」と聞かれた。
 
そこで自分の考えの浅さにようやく気づいた。
 
外国語学部でも、もちろん語学のクラスばかりではない。
一般教養科目や、自分の専門語学を話す国地域の文化や歴史を学ぶ授業もある。だが授業の多くは、話すテクニックを身に付ける方法だった。
まるで、料理人なのに食材を入れないままにフライパンをどう動かすかだけを練習しているかのごとく。
 
留学先では、英語と並行して興味のあった歴史、特に美術史を専攻するクラスに在籍したものの、興味がある程度の知識しか持ち合わせていなかったわたしはディスカッションに参加するなんてとてもじゃないけどできなかった。
言語を学ぶ=その言語の教員を目指すというのは留学生仲間だけでなく、アメリカ人の友人も共通認識で、その認識と自分の心情の差をうまく伝えられる語学力を兼ね備えてなかった当時のわたしは、だんだん説明するのも面倒になり、「英語の先生になる」と嘘をつくこともあった。
将来どんな仕事に就いてどう英語を使いたいかは、自分の中にぼんやりとしたイメージしかなく、英語であれ日本語であれ、うまく言葉に変換できなかった。
 
話すテクニックばかり身につけていても、自分の中に話す中身がなければ会話はできない。
日本語でだって、話題がなければ会話は続かない。
別に日本語が話せないわけではないのに、だ。
母国語で考えれば至極当たり前のことなのに、そんなことが分かっていなかった。
語学はあくまでも道具で、道具を使って中身をどう伝えるかのほうがよっぽど大事なのだ。
 
語学を勉強すればいいという短絡的な思い込みを悔いたことから始まった留学生活だったが、同時に転機を与えてくれたのも、そんな過去の自分だった。
 
それは主に入学したばかりのアメリカ人学生や留学生を対象に、エッセイや論文の書き方を学ぶ英語の授業(日本で言うと国語の授業)でのこと。
その授業では、課題のエッセイを学生同士で読み合い、文法をチェックしたり批評し合ったりする時間があった。
ネイティブの子の文法ミスなんて見つけられるわけがない……と思っていたわたしの手元に回ってきたアメリカ人学生のエッセイには、3単現のsがない文章が並んでいた。
3単現のs、日本だと中学生くらいに習う、3人称単数を主語に置くときの現在形の動詞にはsを付ける文法ルール。
そのルールが適用されていないのだ。ほぼすべての文章で。
母国語が英語の子なのに。
でも自分に置き換えて考えると、たとえば日本語の「てにをは」を文法的に説明しろと言われてもうまくできない。
ネイティブだってミスをする。当時は目から鱗だったが、そう気づいたら、一気に楽になったのを覚えている。
 
英語を話せるようになりたいという一心で勉強しておいたおかげで、エッセイの課題は文法ミスで減点されることはほとんどなく、内容がよければフィードバックで「クラスの中で1番の出来」と教授から褒めてもらったこともあった。
ネイティブだらけの環境でそう評されたことは、何よりも嬉しく自信になった。
そしてほかの授業でも、教科書を読むことは問題なくできたので、少しずつだが知識を増やし授業にも参加できるようになっていった。
エッセイを書くことも長文を読むことも、英語を身に付けられていたからこそできることだった。
外国語学部に入って、英語を学んでいてよかったと、そのときようやく心から思えた。
 
やりたいことがあり、それを叶えるために道具の使い方を学ぶ。
道具の使い方を学んだあとに、やりたいことを見つける。
順番が違うだけでずいぶんと見えてくる道は違う。
 
英語を話せるようになりたい。
そう思ったら、英語を話せるようになって自分は何がしたいのかをまずはじっくり考えてみてほしい。
語学はあくまで道具であり、何に使うかのほうがずっと重要なのだから。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-02 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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