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メディアグランプリ

かつて「夢」を諦めてしまったあなたへ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:かのこ(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「あいつ、漫画描いとるらしいで」
 
男子たちに笑われていることを知ったあの日から、わたしは夢を諦めてしまった。
 
まだ中学生だった頃だ。友人たちに回覧していた自作漫画が、いつのまにか、男子の手に渡っていたらしい。学年でいちばん美術の成績が良かったわたしは、漫画を描いているという事実そのものを笑われたことに、とてもとても腹が立った。
 
漫画を描くことが好きというだけで、どうしてそのことを笑われなくてはならないのだろう。あんたたちだってワンピースが好きじゃんか。どうして漫画を描くことそれ自体を、笑われなくてはならないの。
 
憤る気持ちもあったけれど、それ以上に、やっぱり「自分が笑われている」ことそのものが耐えられなかった。なんでも大体それなりにできる優等生で、絵が上手いと言われていて、スクールカーストもそれなり。だからこそ、嘲笑の対象にはどうしてもなりたくなかったのだ。貶められることがゆるせなかった。誰かの上に立つことが、当時の勝者だったから。
 
男子たちに笑われていることを知った翌日に、わたしは漫画をシュレッダーにかけた。憧れて買ったGペンも、トーンも、全部捨てた。「漫画家になる」という、ある程度絵を描ける人なら誰もが憧れた夢を、自分ですっぱり捨てたのだ。
 
「夢」を語ることは、値踏みされる場所に立つこと。
 
そう悟ってしまって以来、わたしは余計に、無性に、「夢」を語る人に憧れるようになってしまった。アイドルや、若手俳優や、駆け出しの作家さん。自分の夢を見付けて、しっかり公言して、ひたむきにその夢を追いかける人にこのうえなく憧れてしまう。
 
彼ら彼女らはずっと「自分の夢」を公言していた。環境がガラッと変わることだってあったし、抱いている「夢」が正しいかどうか迷いを見せたときもあったけど、それでもずっと、夢を目指してひたむきに走っていた。だからこそわたしにとっては眩しかったし、応援していたい存在だった。
 
でも、売れていない人たちが語る「夢」に、みんなみんな、厳しかった。
 
「全然可愛くないじゃん、ブスじゃん。なんでテレビ出てるの?」
「そりゃ売れるわけないよね」
「夢は武道館、とか口だけにも程がある」
 
……世間がそうやって雑に消費しながら笑うたびに、悔しくて、悔しくて! 努力している彼ら彼女らは、ただ「売れていないから」というだけで否定されるのだと知った。そのことに頭の片隅で納得してしまったことも悔しかった。
 
売れていない夢、叶っていない夢は、笑われる。
そうして人は「夢」を語る機会を奪われる。
 
身近で誰かが「夢」を語るたび、応援したい気持ちとやめときなよと言いたい気持ちとがせめぎ合って、上手にリアクションできなかった。口先だけの「がんばって!」はやっぱりどこかむなしくて。
 
誰かの「夢」がわたしの目の前で叶う日を、わたしは、ワガママなまでに欲していたのである。
 
――そんな折。友人が本を出すことが決まった。
 
ずっと「本を出したい」と言い続けてきた友人だ。
夢を公言して、夢を追いかけ続けて、そしてついに夢を手にした強い人。
 
全力で「おめでとう!」と言いながら、なぜだかどこか悔しかったから、友人に「どういう経緯で本を出すことになったの?」と問うてみた。彼女は、うーん……と悩む素振りを見せてから、ゆっくり、言葉をつむいでくれた。
 
「私、自分の本出したい! ってずっと言っとったやん?」
「うん、知っとる。SNSでも言ってたもんな」
「そうそう。SNSでも言ってたし、自分のブログでも言っててん。そしたらそのうちに、SNSでライター友達がいっぱいできて、そのうちの一人が編集者さんを繋いでくれて……なんていうんやろ。私の夢を応援してくれる人らと、いっぱい出会えたんよなあ」
 
“夢を後押ししてくれる人たち”と、”出会えた”。
 
夢を公言すると笑われて叩かれる。今までの経験からそう思っていたわたしは、友人がキラキラした瞳でそう言うものだから、なんだかちょっと拍子抜けしまった。
 
「ずっと”本出したい”って言ってたやん。口にするん、怖くなかったん?」
 
彼女は苦笑いしながら返してくれた。
 
「怖かったよ! めっちゃ笑われてたもん、あいついっつもなんか書いてんぞって。作家になりたいらしいでって。でも、私は私、夢は夢、努力してあいつら見返してやろーって思ってた!」
 
……あんまりにも眩しかったから、思わず泣いてしまった。うろたえている彼女に、わたしはようやく、心からの「おめでとう」を口にできたのだ。
 
夢は公言すると笑って叩かれる。そうして人は、夢を語る機会を奪われてゆく。周囲だけでなく自分にも嘘をつきながら、夢なんて持っていませんよという顔を見せながら、次第に空気になっていく。……でもそんなの、誰もハッピーになれない世界でのことだ。
 
ポジティブな発信をする人の周りには、きっと、ポジティブにその発信を受け止められる人が集まるのだろう。夢がある人、もしくは誰かの夢を支えたい人、いろんな人がわらわらと彼女の元に集って、彼女の夢を一緒に叶えようとしてくれた。きっかけを与えてくれたのは友人だったかもしれないけれど、そのきっかけだって、作ろうとしたのは彼女自身だ。
 
ネガティブな意見を吹き飛ばすほどの、ポジティブパワー。夢に向かっていく求心力はすさまじいもので、公言すればするほど、夢に向かっている姿を見せれば見せるほど、周囲を巻き込んで大きくなっていくのだろう。
 
実際に夢を叶えた彼女にならって、わたしもここで、今の「夢」を書いておきたい。
まだ恥ずかしいからあんまり人には言えてない夢ではあるけれど。
 
わたしは、どこかの媒体で「連載」を持ちたい。
ライターとして、ちゃんと根っこを張った状態で、誰かを救えるような話を書いていたい。わたしみたいにネガティブな人が、すこしでもポジティブになれるように。ほんのすこしでもいいから、過去の醜い感情を吹っ切ることができるように。
 
……かつて「夢」を諦めてしまった、あなたへ。
 
「夢」を語ることは何も悪くない。あなたが諦めない限り、あなたの「夢」はずっと隣で、あなたが口にしてくれる日を待っているのだから。
 
 
 
 
***
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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