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新型コロナで自宅待機中の友人が「宅コス」してた

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:さとう(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
昨今の東京は、国から「緊急事態宣言」がいつ発令されるのか
戦々恐々としている。
 
私も、明日から出社できなくても済むように、
前倒しで仕事を片付け、帰路につく。
 
電車に乗り込めば、意外なほどの乗客の多さに
自分と同じように、勤務先に行かないとならなかった人の存在を知り
勝手に共感してしまう。
 
そんな折、友人からLINEのメッセージが。
 
「お仕事お疲れ様です! 実はひとりで“宅コス“チャレンジしました(笑)」
 
……疲れ切った私の脳みそは、新しい情報をすぐに処理してくれない。
 
えっと……、宅コスってなんですか?
宅配ピザみたいなもんですか?
 
とも聞けず、Googleで検索。
 
宅コス(たくこす)とは
イベントやスタジオに行くのではなく、自宅でコスプレを行うこと。
 
あ、自宅でコスプレすることね〜。
へぇ〜。そんな分野があるんだね〜……。
 
と、ひとしきり説明文を読んでから、
メッセージとともに届いていた画像に気づく。
 
そこに写っていたのは、鮮やかな金髪で、青い瞳の美少年。
顔だけしか分からないが、国籍はイギリス人っぽい感じ。
少女漫画に出てきそう。是非ともお近づきになりたい。
 
……あれ?
さっきのメッセージからすると……。
 
これって私の友人か??
 
新型コロナウィルスの影響で勤務先に行けず
自宅待機中だった友人(30代女性)は、私の知らぬ間に
イギリス人(しかも美形)へと変身していた……。
 
私の友人は、どちらかといえば恥ずかしがり屋。しかもかなりの。
コスプレとは結びつき難い。
 
例えば、私と彼女は何度もショッピングに出かけたことがあるが、
いざ彼女の洋服を選ぼうとすると
「私の分は結構です」
と言って、目を離したすきにその場から去ってしまう。
 
聞けば、店舗で試着をしながら店員さんと会話をすることに抵抗があるらしく
洋服は全て、インターネットで購入しているらしい。
 
彼女自身、メイクもファンデーションを中心に
必要最低限しかしない。
 
「オシャレするお金があれば、漫画やゲームに投資したい!」
と話していたこともある。
 
元が可愛らしいのだからもったいないな〜と思いつつ
彼女自身、着飾ることに興味がないのだろうと思っていた。
 
そんな彼女がなぜ「宅コス」を始めたのか。
 
聞けば、彼女が宅コスを始めるきっかけとなったのが
テレビ番組「月曜から夜更かし」内のコーナー
「マツコ会議」だったらしい。
 
その番組では、コスプレイヤーが集まることで有名な
栃木県にある旅館を紹介。
インタビューの中では
「普通の人が行う趣味」としてコスプレを紹介していた。
 
彼女もその番組を見ていて、一緒に見ていた母親に対して
コスプレに興味があると伝えたところ
「へぇ〜。どんなのに興味があるの?」
と、すんなりと受け入れられたらしい。
 
もともとコスプレには興味があったらしく、この出来事をきっかけに
自分で調べ、気軽にできる「宅コス」に行き着いたそうだ。
 
宅コス、つまり自宅でコスプレをすると言っても
そのレベルには相当な個人差がある。
 
すごい人は、自宅に照明器具や撮影機材があり
さながら写真スタジオのような環境で撮影する人もいるらしいが
 
彼女の場合は、ウィッグを被り、メイクを施し、
顔まわりだけ写真撮影(自撮り)してキャラクターになりきる。
 
写真には、スマホアプリを使って加工を施すので
肌の色や目の大きさを調整することはもちろん
例えば口元など、気になる部分があれば
スタンプなどで隠すこともできる。
 
キャラクターに似ているかまでは分からなかったが
送られて来た写真は、本当にクオリティが高かった。
 
もともと目がパッチリとしていて、磨けば光る感もあったが
まさかこんな形で変身した姿を見ることになるとは思わなかった。
 
「え〜! すごいね! これ本当に**ちゃん?!」
 
LINE上に、そんな言葉を打ち込む。
 
お世辞ではなく、手放しで称賛する一方で
新しいことを始め生き生きとした様子の友人に
どこか置いてけぼりにされてしまったような寂しさも感じる。
 
思えば、出会った当初からこうだった気がする。
 
彼女とは、約10年前に知り合った。
当時、私は体調を崩しひと月ほど入院をしていた。
彼女は病院の休憩室の片隅で、一人イラストを描いていた。
話しかけたのは、なぜだったか。
 
初めは彼女の人見知りもあって、なかなか会話が進まなかったけど
好きなゲームの話で盛り上がったことを覚えている。
笑ってくれたことが嬉しくて、私ばかり話していた。
 
退院してからも半年に一回くらいのペースで会っていた。
彼女にはその度に変化があって
「Twitterを始めてみました」
「心無い人の誹謗中傷に傷つくこともあります……」
 
「オリジナルの同人誌を出すことにしました」
「専門学校時代の友達にダメ出しをされたけど、好きでやってることだから
自分なりに続けたいと思います」
 
「ついにコミケに当選しました」
「冬場は本当に寒くて辛くて、早めに帰ってしまいました(笑)」
 
会話の端々から、一歩ずつ、傷つきながらも前に進む
彼女の姿がうかがえた。
 
そのうち、リアルの友達の話もあれば
インターネット上の「フォロワー」との会話も入り混じる。
彼女はそうやって、社会人になってからも新しいことを始めて
着実に自分の世界を広げ続けていた。
 
羨ましいなぁ、なんて思う。
 
私が最後にコスプレをしたのはいつだったか。
確か約5年ほど前で
ちょうど渋谷がハロウィンの聖地と騒がれ始める頃くらいに
会社の同僚とハロウィンのコスチュームを着て、渋谷を歩いたっけ。
 
最近はニュースなどで、ハロウィンに報道される迷惑行為を見ては
「本当に困ったもんだよね〜」
なんて、言ってる側だ。
 
昨今の新型コロナウィルスの感染拡大で
外出できず、友人たちに会う機会も減ってしまった。
できないことが増えて行くと感じていた一方で
こういう環境下でも、新しいことを始めている友人もいた。
 
自分には、何ができるのだろうか。
こんな時だからこそ、人の想像力が試されるのかもしれない。
 
私も何か、新しいことを始めたいと思った。
 
 
 
 
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2020-04-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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