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「もしも、貴方が運悪くサイコパスに出逢ってしまったら」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:MIYABI(天狼院ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「MIYABIさん、大丈夫? なんだか、顔色が悪いけど」
Sリーダーは、とても心配そうに私を見て、優しく声をかけた。
 
だが、私は、そんな彼女の横で、唇を噛みしめ、何も答えはしなかった。
何故なら、Sリーダー。その人こそが、私の精神を苦痛のどん底にまで追いやった、張本人だったからだ。
 
「サイコパス」
「潜在的攻撃性パーソナリティ」
皆さんは、こんな言葉を聞いたことはあるだろうか?
 
彼女は、そういった性質を持ったいわゆる「異常人格の持ち主」だった。
 
特徴を、ざっと挙げると
 
・人の身体ではなく、心を殺す「殺人者」である
 
・羊の皮を被ったオオカミに例えられる
(自分の残虐な本性は、なかなか明かさない)
 
・人を「人間」と思わず、ただの「駒」だと思う為、抜群の成績や数字を挙げる
 
・部下の手柄を横取りして、自分の支配下に置きたがる
 
・自分の保身の為には、平気で嘘をつく
 
こんな、とんでもない特徴を持った人たちなのだ。
この特殊な人たちは、日本では実に「百人に一人」の割合で存在するそうだ。
 
そうして、運悪く、
三年前の或る日、私は、一見とても優しそうなサイコパス「Sリーダー」に遭遇してしまった。
当時、転職をしようと、通った職安の前で、声をかけられたのだった。
 
「こんにちはぁ。素敵な人ですね。ちょっと、宜しいですか」
 
人を疑うことをせず、無垢な「赤ずきん」だった私は、「Sです」と爽やかに名乗る彼女に、うっかりと心を許してしまった。
彼女は、現在57歳といったが、対面の仕事をしているせいか、それよりは若く見えた。
とてもおっとりとした喋り方をする、優しそうな女性だった。
「私、こう見えても、年収一千万円なんですけど、生命保険のお仕事とかに興味ありませんか?」
もちろん、生命保険になんて、まったく興味はない。
だが、年収一千万円という仕事には、正直にいうと魅かれた。
それに、目の前の女性は、とても誠実で、信用出来そうな人物に思えた。
 
こうして、赤ずきんは、まんまと、「優しいおばあさんの皮を被って変装したオオカミ」に、招かれて、うっかりと会社に行ってしまったのだ。
 
「優しいおばあさん」の、上司の部長と所長は、皆。とても、熱心に、会社に入ることを私に勧めた。
Sリーダーは、抜群の成績を誇る、ベテランの上司であり、この道25年間で、実に、50人以上の正社員をスカウトしている。と私に教えてくれた。
 
感心した私は、部長に尋ねた。
「50人以上ですか! 凄いですね。
そうすると、今、Sリーダーのグループには、何人の部下がいるのですか?」
 
私が聞くと、部長たちは、何故か、気まずそうに
今は一人もおらず、私がその一人目の部下になるのだという。
 
……うん? なんだろう?
この違和感。
 
その時。横にいる、優しいSリーダーの目が、一瞬、狼の如く、異常に大きくてギラギラとしているように感じた。
……いや、気のせいだ。
 
次に、入社が決まって、60人もの先輩の皆さんに、初めて挨拶をした時のこと。
私は、「優しくて親切なSリーダーのもとで、一生懸命に頑張りたい……」
そう、口にした時だ。
何故か、社内が一斉にざわついて、部屋の空気がグワッと大きく揺れた。
「えっ? 私、なにか変なこと言ったっけ?」
 
焦った私は、隣に立って微笑んでいる、Sリーダーの耳がとても大きくて、長いことに瞬間。気付いたのにも関わらず、スルーしてしまった。
 
事実、一週間はまだ、彼女は優しかった。
 
しかし、周りの皆が、Sリーダーだけを避けていることに気付き始めて
そうして、二週間経った頃だろうか、
或る日、私は「優しいお婆さん」だった筈のSリーダーの口元が、狼の様に大きく張り裂けていたことを知ってしまった。
 
キッカケは、Sリーダーが、私が受け持った区域のお客様に同行してくれた時だ。
800万円という、割と大きな契約をいただいた時に、まだ、新人だった私を、ベテランらしく横からサポートしてくれた。
「Sリーダー、有難うございました」
私が、お礼を言うと、
彼女は、ニッコリ笑って
「良いのよ。その代わり、ここのお客様の契約は、大きいから、私と折半の数字よ」
「……はい?」
 
最初の、部長たちの説明と大きな食い違いがあったので、「確認」をしてみると、案の定、そんな制度は全くないという。
所長から、Sリーダーには直接「説明」をして貰えるということで、私はホッとした。
しかし、その翌日。
私は、朝礼が終わった後に、リーダーに、一人。別室に呼び出された。
 
彼女の顔は、とても青ざめて、強張っており、もはや、どこにも「優しそうな影」なぞ見当たらなかった。
「MIYABIさん! 私が、いつ貴方の数字を半分欲しいなんて言ったのよ」
「えっ? Sリーダー、言いましたよね? 」
と言うと、凄い勢いで、腕を強く掴まれた。
「私は、そんなこと、一言も言ってないわよね?」
仕方なく、言ってません。と認めるまで、Sリーダーは私を部屋から出さなかった。
 
『……一体、彼女は?』
人間、理不尽な目にあった時に、湧き出る感情は、ただの「恐怖心」であることをその時、知った。
もはや、自分に理解の出来ない人間は、得体のしれない「モンスター」でしかないのである。
 
そして、この出来事こそが、Sリーダーのパワハラの幕開けだった。
 
いったん、自分の「グループ」という手中に獲物を捕らえたオオカミは、平気で
「赤ずきん」をなぶってくる。
「あらぁ。MIYABIさん、どうしたの? なんか、顔色が悪いけど、大丈夫なの?」
 
言葉としては、部下を心配している、とても優しい上司の声掛けだ。
しかし、青ざめて、無言で唇を噛みしめている私の様子を、斜め上から窺い見る、Sリーダーの目と口元は、いびつな笑いによってグニャリと歪んでいる。
 
もし、貴方が、こんなとんでもないサイコパスに出逢って、「パワハラの被害」にあってしまったら、私は、真っ先にあなたにこう勧める。
 
「今すぐ、会社を退職して、サイコパス上司の元を立ち去りなさい」と。
 
これは、二年後。
私が退社する前に、市ヶ谷でお世話になった、心療内科のクリニックの院長先生の、一番のオススメの対処法でもある。
現に、私の先輩にあたる、Sリーダーの部下50名は、とても賢い選択をして、皆。それぞれ、1カ月以内で会社を辞めていた。
私の様に、馬鹿みたいに、二年間も他の優しいリーダーや上司に励まされながら、耐えて耐え抜いて、そうして結局、身体を壊すなんて愚かなことはしていない。
 
最後に、私が、クリニックの院長先生に聞いた面白い話がある。
サイコパスの実態について、先生に聞いて、そんなとんでもない人たちが沢山、世の中にいるなんて信じられない。とぼやいた時だ。
「でもね、MIYABIさん。【適材適所】って言葉があるけど、サイコパスの彼らにも、実は、とても活躍できる場所が一つだけあるんだよ」
「一体、どこですか?」
と聞く私に、先生はニヤリと笑って答えた。
「戦場」
なるほどね。と、私も笑った。
 
人間を、「人」とは思わずに、ただの「標的」として、機械の様に、どんどんと「殺せてしまう」殺戮マシーン。
確かに、戦場では、英雄になれる。
 
しかし、やはり、この日本の社会で貴方が運悪く、遭遇した時には、「三十六計逃げるに如かず」であることだけは、間違いない。
 
 
 
 
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2020-04-16 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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