メディアグランプリ

交差点を翔けるサラブレッドたち


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記事:Ryosuke Koike(ライティング・ラボ)

私は競馬が好きだ。もちろん賭けごとの面で好きではあるのだが、それ以上に馬が走る姿を見るのが好きだ。

北九州にある小倉競馬場に行くことがある。
京都や中山、東京の競馬場とは違い重賞はほとんどなく、若い馬や未勝利馬のレースばかりだが、ゴール前を疾走するときに届く地響きはたまらない。テレビ画面では感じることのできない迫力が眼前に迫っては、あっという間に駆け抜けていく。

ゴールになだれ込む馬たちの眼は、本気だ。

昼休み、天神の交差点で立ち止まって信号を待っていると、青信号とともに、それらは私の目の前に一斉に飛び出してきた。
青毛(黒色)の尻尾をたなびかせてやってきた。
そして、蹄を鳴らして去って行った。

黒い髪を後ろでまとめる。黒いスーツに、白いシャツ。
その姿をみると、あー、春がやってきたなぁと思う。今年はスケジュールが後ろ倒しされているとは聞いているものの、毎年見る光景とあまり変わらない。

就職活動中の女子大生?を見ると、びっくりするぐらい皆同じ姿をしている。
鹿毛や栗毛がいてもいいのに。後ろでまとめなくてもいいのに。

就職活動をしているであろう男子大学生の姿をみて驚かないのは、就職後もスーツだからかもしれない。
女性の場合、普段、個性を出し、きらびやかな出で立ちをしているのに、この時期だけは没個性的に同じような格好になり、そして就職後は元のようになることが多い点で違和感があるのかもしれない。

会社で採用の仕事をしたこともないのでわからないが、髪を染めていたり服装が目立ったりすると、それだけで選考上マイナスに働くということなのだろう。確かに身だしなみや所作といった基本的な部分は、相手に対する礼儀という点で重要であるとつくづく思う。しかし、それだけでその人の価値がわかるものでもないだろうに。

一方、考えてみれば、没個性ではなく「就活生」という地位の表現である気もしてきた。
この時期にスーツ姿であることは、社会人一歩手前の状態である目印である。自分にも他人にも、これから社会へ出て行こうとする挑戦者であるように映っているのではなかろうか。

そういう人は、なんとなく応援したくなるものである。そういえば、その昔自分が就職活動で2週間ぐらい東京に滞在していた時、毎日行く定食屋があった。自分の置かれている状況を話すと、店のおばちゃんがビールを無料で出してくれたことがあった。福岡での試験の時も、前日に親戚のおっちゃんが焼肉をおごってくれた。

挑戦者の彼女らの顔を何気なく見ていると、期待と不安が交錯している感じが見て取れる。毎日が勝負なのだろう。この国ではまだ新卒・既卒の壁は厚く、そして溝は深い。若くして、この時期の選択で進む方向が大きく変わってしまう。そのことに是非はあるが、とにかく現時点においては若さを活かし、体にムチを打って全力で当たっていくしかないのだ。

ん?
若い?
鏡に映る自分を見つめる。自分はまだ若い方だと思っているけれども、とうの昔に初々しさは消え、着慣れたスーツも若干よれている気がする。地下鉄では椅子を求めるようになったし、徹夜もしんどくなってきた。
もう十分な古馬だ。
私は、入社したときから人間として成長しているだろうか。入社が決まったときの社会人としての心を忘れてはいまいか。
反省。反省。
体はともかく、気持ちだけでもあの時のままでいたいものだ。

春が終わり、夏が近づいてくると、交差点で見かける頭数も徐々に少なくなる。
競馬でも未勝利の馬が残って競走し、そして残った馬でさらに競走することが続く。
競争である以上仕方がない。

帰宅のため地下鉄に乗ると、目の前に就活生らしき人をみかけた。
うたた寝しているところを見ると、ずいぶんと大変なのだろう。
一生懸命であることは、人として輝いている証である。応援したくなる。

頑張ってほしい。
いつか自分が望んだターフを翔けめぐる日がくると信じて。

***

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