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読書感想文の書き方が分からなくなった

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:文旦(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 

書を読んで、感想を文にする。
誰でもできる。
小学生でもできる。
私もできる。いや、できていた。
それなのに、いつから書けなくなったのか。
読書感想文をつけようとして、自分の作文能力の無さに絶望した。
 

私は自己啓発系の話が大の苦手だ。
自己啓発本やセミナーには興味がない。
どこの誰だか知らない人が、それっぽいことをそれらしく言う。
科学的な根拠があること、論理的なことであればまだしも、
精神論になってくると騙されているような気持ちになってしまう。
 

「できる男になるために!」
「あなたがもっと輝くために……」
 

こういった類のキラキラした言葉には、気持ちがスッと離れてしまうのを感じていた。
そんな私が、「人生が変わるライティング・ゼミ」なんていう絶対に自分からは近づかないタイトルを冠した講座に申し込むほど参っていた。
 

その頃、読んだ本の記録をつけたくて、読書アプリを使用していた。
最初は読んだ本を登録するだけ。
そのうち、感動した、面白かったという気持ちを一緒に残したい、どこかの誰かと共有したいと思うようになり、登録する際に感想も入力するようにした。
ちょうどシリーズ物の小説を読み終え、気持ちが盛り上がっているところ、
この気持ちを残したい!と150字程度の感想を一緒に登録することにした。
 

書いては消し、悩み、また書く。
少し不完全燃焼な感じはするが、限界を感じて保存。
短い文章にも関わらず、1冊に15分以上かかることもあった。
 

それを続けること2ヶ月。
ある日、自分の記録を読み返してみて愕然とした。
 

「物凄く面白かった!」
「グッときた」
「良かった」
「めちゃくちゃ面白かった」
「すごかった」
「笑った」
 

小学生か! と思うような言葉のオンパレードだった。
大体8割が「面白かった」と「良かった」で終わらせている。
いや間違ってはないのだけれど、なんというか、あの時の感動が全く伝わってこない。
もっと面白かったのに、もっと素敵な話だったのに、
自分の文からは全く伝わってこない。
感想を言葉にするってこんなに難しかった?
 

記憶は遡って、中学1年生の夏休み。
宿題は溜め込むタイプだった私は、最終日に走り書きで読書感想文を書いた。
本は家にあった『盲目の犬 太郎』というタイトルの本。
盲目で保護された犬が、飼い主や他の先輩犬の愛情を受けて幸せになるという話。
 

この時、下書きもせずに超スピードで書き上げた読書感想文が県で準優勝し、表彰されたのだった。
授賞式の日は、お偉い先生方から有難い講評を受けた。
私は配布された作品集に掲載された自分の文字が汚すぎることが、恥ずかしくて仕方がなかった。
しかし、こんな適当に書いた文でも評価されるのか、と。
作文って簡単だなと勘違いするきっかけになってしまっていた。
 

その後成長するにつれ、ほとんどの人がそうであるように文章を書く機会は格段に減っていった。
ブログ、Twitter、Facebookと個人が情報発信をする場は増えていったが、あまりマメではない私はそういった物は見るのみ、
自分で書くという発想は無かった。
しかし、子供の頃の成功体験とは恐ろしい物で、
私も書こうと思ったら書ける、と思い込んでいたのである。
それも、面白く、魅力的に。
 

たかが一冊の本の感想を述べるだけ。
それがこんなに難しいことだなんて。
今まで何とも思わなかった本屋のポップやTwitterでの日常の呟き、Amazonの商品レビューまで、あらゆる人の文が全て輝いて見えるようになった。
その語彙力、センス、編集力はどこで身に付けたの?
そんな授業あった?
教えて皆様、
教えて小学生の頃の私ーーーー!
 

それにしても、よくよく考えると読書感想文ってかなり難易度が高い。
特に、不特定多数が見るようなアプリやS N Sに記録する場合は、ネタバレを防ぎながらも大体の内容が分かるように上手くあらすじをまとめなければならない。
そして自分の感想を書く。
嘘偽りなく、素直に。
 

感想文を書こうとすると、いつも言葉が思いつかなくて困ってしまう。
シンプルな言葉ほど厄介だ。
 

「面白い」
「良い」
「深い」
 

全て自分の中では最上級の褒め言葉なのだが、相手に伝わっている気がしない。
いつも不完全燃焼というか、なんだか言葉が浅く思えるのだ。
 

そうかと言って、
「実に興味深い」
「感嘆した」
「いとをかし……?」
 

などと書いたところで年寄り臭い文になってしまうし、自分の本当の言葉では無い気がする。
心のままに書くと、やはり「面白い」とか「良かった」となってしまうのだ。
足りない部分を補うためには……
語彙力よりも文章力を磨くしかない。
 

というわけで、ただ読書の感想を良い感じに記録したい、という物凄く小さな目標から
「人生が変わるライティング・ゼミ」という壮大な講座に申し込みをしてしまった私。
場違いな所に来てしまったと感じつつも、期待をしてしまっている。
 

大人になると、子供の頃に出来ていたことが、いつの間にか出来なくなっていることがある。
気がつけば逆上がりが出来なくなっていたように。
いつか回れなくなるなんて思わなかった。
そんなこと誰も教えてくれなかった。
 

今、私にとって読書感想文は逆上がりのようなものである。
どうやって足を上げるのか、どこに力を入れるのか。
この年齢からもう一度始めるには、頭で考えなければならない。
けれども、もう一度回るぞ。
もう一度書くぞ。
 

人生が変わらなくてもいい。
ただ、小学生の頃の自分のように、本を読んで感じたことを素直に書き残したい。
文章から受け取った気持ちをまた文章に。
それが誰かに届いたら嬉しい。
 
 
 
 

***
 
この記事は、天狼院書店の大人気講座・人生を変えるライティング教室「ライティング・ゼミ」を受講した方が書いたものです。ライティング・ゼミにご参加いただくと記事を投稿いただき、編集部のフィードバックが得られます。チェックをし、Web天狼院書店に掲載レベルを満たしている場合は、Web天狼院書店にアップされます。
 

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2020-04-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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