メディアグランプリ

想像力の翼を羽ばたかせ、幸せの原点を探し求める旅


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:益田和則(ライティング・ゼミ日曜コース)

 
 

世界一の大富豪、アマゾンの創始者ジェフ ベソス、第二位のマイクロソフトの創始者、ビルゲイツの共通点は、『お金持ち』だけではありません。二人とも、毎日、楽しみながら『皿洗い』をやっているそうです。ゆったりとした心で皿を洗う。『今、ここに集中する』ことが、彼らの想像力の源になっていると、よく言われています。いわゆるマインドフルネスの効用ですね。
私も、常々、創造性のある生活を送りたいと思っていますので、日常の中で、彼らの『皿洗い』に相当するものを見つけようと試みました……。その結果、
 

『皿洗い』は、ダメでした。
外出ができない今日この頃ですから、自然と自宅で食事をする機会も増え、洗う皿の数も増えます。「やった。創造性を高めるチャンスではないか」と思ってみても、いざ、シンクの中の汚れた食器の山を見ると、げんなりします。確かに、洗剤をつけて洗う時、滑らして食器を割らないように、手元に心を集中させるのですが……。
残念ながら、事後の爽快な気分、心地よさと言うようなものを感じたことはありません。この経験から得たことは、『楽しむ』という心持がない限り、期待する効果は得られないということです。
『しょうがないから洗っている』
この気持ちを払拭できない私。
要するに、皿洗いを楽しむことができない私には、皿洗いから何かを得ることはできないということですね。
 

そんな気持ちを抱きながら、近所を散歩していると、『ベジファーム』という一種の体験農園の看板を目にしました。最近、東京近郊で増えているそうですが、農家の方が畑を小さな区画に区切り、一般の人に貸して、野菜を作ってもらおうという試みです。園主の方が、野菜を育てる手順を教えてくれて、必要な農具や、種なども用意してくれます。お料理教室や絵画教室の、農業版という所です。
一区画、3mx10mの広さの畑に、いろんな野菜を植え付けていきます。30区画あまりあるのですが、外国人の方も参加し大盛況です。春、秋、二回、収穫できますが、春は、大根、カブ、キュウリ、ネギ、玉ねぎ、枝豆、サトイモ、トウモロコシ、レタスなどの野菜の種を播きました。狭い区画に多種類の野菜を植えるのですが、二人家族だと、それぞれの野菜の収穫期には、食べきれないぐらいの野菜が取れるようです。
と言っても、参加費用は収穫できる野菜の価値に比べ、はるかに高く、元は取れません。野菜を作るノウハウを教わる授業料とも考えられますが、私の実感としては、『畑仕事の喜び』を味わうための対価というところですね。
 

種をまく前に、鍬(くわ)を使って土地を耕し、畝(うね)を作ります。私は、夕暮れ時、人がいない時に農作業をすることにしています。広い畑で、一人、無心に、鍬を振り上げて、地面をうがちます。慣れない作業なので、すぐに腰のあたりから、鈍く重たい疲労感が広がっていきます。一休みして、茜色に染まった空を見上げながら腰を伸ばし、また地面を耕し始めます。
終わった後は、作り上げた畝を見ながら、快い疲労感と共に、ささやかな達成感を味わいます。なぜか、気分が軽く、機嫌がよくなります。
『やったあ、見つけた私のマインドフルネス!』
強いられて畑を耕すのであれば、私の皿洗いと同じように、爽快感は味わえないと思います。自分で育てた野菜を収穫するイメージを抱きながら、自らの意思で黙々と畑を耕すことで、生まれてくる爽快感。
 

この時、私は、予想していなかった、もう一つのお宝に巡り合うことができたのです。それは、まさにマインドフルネスが喚起した想像力のたまものかもしれません……。
『夕暮れの大地に佇み、快い疲労感の中で感じるこの幸せの正体は何だろう?』と考えた時です。
幼い頃の情景が脳裏に浮かんできました。
私は、田舎の兼業農家のうちに生まれました。夕暮れになり、夕飯の支度をしていた母親が私に、「もうすぐご飯だから、畑にいるお父さん、呼んどいで」と言います。私は、畑までかけて行って、「父ちゃん、ごはんだよー」と声をかけます。無心に農作業をしていた父が、振り向き、満面の笑みを浮かべて私を見ます。
笑顔が、喜びが、父の体全体に広がっていきます。そして、私を見て喜んでくれる父を見て、私も幸せを感じるのです。
私にとっての『幸せの原型』が、そこにあると思い至りました。
家族のために、無心に農作業をすること、それが父のマインドフルネスであったのでしょう。爽快な気分になったところで、愛する子供と接する。子供は、父親の愛を感じ取る。
 

今回、みずから鍬をもって大地を耕すことで、固く硬直した私の意識の表層を耕し、昔、両親が見せてくれた『幸せの原型』を掘り起こすことができたように思います。

 

『今、ここにあるもの』、『今、できること』に、無心で向かい合うことによって、
想像力の翼を羽ばたかせることができたなら、
自分にとっての幸せの原点とは何か、それを問い直してみるのも、いいかもしれませんね。
 

***
 
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2020-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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